台風強度変化
台風の進路予測は、科学技術の発展により着実にその精度は向上しています。しかしながら台風の強度予測については、ここ数十年の間に関していえば、目立った改善は見られていません。台風を直接観測する手段は極めて限定され、困難であるという問題に加えて、数値予報に使われるシステム(データ同化システム+予測モデル)が緻密になればなるほど、その仕組みを理解することが困難になるという現実問題が、台風の強度予測精度の改善を妨げていると私は考えています。
この現状を打開するためには、地道な作業となりますが、1つ1つの台風事例について、その強化プロセスや海洋との相互作用システム、構造変化及び温帯低気圧化に着目した調査研究が必要となります。私は非静力学大気モデルに波浪モデル、簡単な海洋モデルを結合した非静力学大気波浪海洋結合モデルを用いた数値実験や数値シミュレーションを実施することにより、この課題に取り組んでいます。
最近の研究成果
- 第12回環境研究シンポジウム「気候変動と科学技術~考えよう地球の未来!~」にて、「2013年台風第30号(ハイヤン)の数値シミュレーション」というタイトルでポスター発表しました。
- 「2011年と2012年の台風シーズンにおける台風による海面冷却:観測による実証と海面冷却が台風シミュレーションに与える効果に関する数値的研究」が招待論文として、PEPS誌に掲載されました
- 2014年2月のOcean Science Meetingで2013年台風第18号の数値シミュレーション結果について発表しました。
発表ポスターはここにあります。
発表ポスターはここにあります。
海洋環境場(初期値として与える海洋データ)や海洋結合(台風による海水温低下プロセスを再現することが可能)の効果により、台風強度予測結果だけでなく、近畿北部での豪雨の再現性も異なることを示しました。