所長あいさつ

気象研究所は、気象業務に関する技術の改善・高度化のための研究・開発を行う気象庁付属の研究機関です。
昨年(2025年)は、日本の年平均気温が2024年(1位)、2023年(2位)に次いで3番目に高い値となりました。特に夏は顕著な高温となり、北・東・西日本では統計を開始した1946年以降、それぞれ1位の高温となりました。
また、2025年8月には九州地方などで線状降水帯が発生し、大雨特別警報が発表されて、土砂災害や浸水による被害が発生しました。
さらに、2025年7月にカムチャツカ半島東方沖の地震で発生した津波により、日本沿岸は長時間影響を受けることとなったほか、12月には青森県東方沖の地震の発生に伴い北海道・三陸沖後発地震注意情報が初めて発表され、次に発生する可能性のある大地震への備えが呼びかけられました。
このように、日本に生きる私達は、自然災害から逃れることはできません。地球温暖化が進行する近年、気候変動への適応が求められる状況にもなっています。
そのような中、気象研究所は、地球科学分野の専門家集団として、自然災害の誘因となる気象・地象・水象に関する現象の解明及び予測の研究、ならびに関連技術の開発に取り組み、気象業務の技術基盤の高度化に貢献してきました。線状降水帯については、令和3年度から4年度にその機構解明を主題とする緊急研究に取り組み、その後も大学や研究機関等と協力して線状降水帯の観測を実施するとともに、数値モデルや観測データを用いて、線状降水帯の発生要因や発達・維持等のメカニズムに着目した事例解析を行っています。また、国内外の研究機関と積極的に連携して気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による評価報告書の作成などの国際的な活動にも積極的に参画しています。さらに、令和6年能登半島地震に伴う津波の分析や、緊急地震速報の改善にも取り組んでいます。
また、平成30年に交通政策審議会気象分科会から提言された「2030 年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」、そして近年の社会動向を踏まえて昨年(令和7年)「補強」として追加された施策の実現に貢献すべく、数値予報精度向上をはじめとした研究開発を推進しています。
このような背景のもと、当所におきましては、令和6年度から開始した中期研究計画のもと、①線状降水帯、台風等喫緊の課題への重点的な取り組み、②社会経済活動への貢献、温暖化への適応策などの課題への対応、③地震・津波・火山対策の強化に資する研究の遂行等、「2030年目標」の達成に向けて、研究開発を着実に推進しているところです。
気象研究所では、気象業務の高度化に向け職員一丸となって取り組みますので、今後とも、ご指導とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
気象研究所長 鎌谷紀子
