一般向け情報雲科学・気象学の教材として利用できそうな解説資料,空・雲・雪などの観察方法の解説,関連する資料等を掲載しています.広く一般向けの情報のほか,子ども向けの情報等があります.気象学の学習などにご活用ください. コンテンツ
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子ども向けの学習用教材等気象観察・教材ここでは小さなお子さまから小学生程度の学習用教材として参考になりそうなものを紹介します.長期休暇や休校期間中には,ぜひ気象に関する現象の観察をしてみてください.
雲関連の教材としては,以下の書籍がオススメです.
ぬりえ気象絵本「せきらんうんのいっしょう」と「ろっかのきせつ」のぬりえをA4サイズのPDFで公開しています.下の画像をクリックするとPDFが表示されます.印刷してお子さまとぬりぬりしてください.
気象学を学びたい方向け教材等ここでは主に気象学を志す大学生・大学院生や,気象予報士(受験生含む),気象庁やメディア,民間気象会社,自治体などで気象解説・防災業務に携わっている関係者をはじめ,気象学を学びたい方向け教材について紹介しています. 教科書・教材など気象学を学びたい方向けの教材として,オススメのものを紹介します.
科学的な自由研究ガイド「自由研究ってどうやればいいの?」とお困りのご家庭のために、学校では習えない「科学的な自由研究」の取り組み方をまとめました。ご家庭だけでなく、学校などでも自由に印刷して配布等できます。ぜひご活用ください。 以下は4枚まとめ版です。書き込める総ルビの詳細版はPDFでご用意しています。 雲や空を観察してみよう雲は身近な大自然です.そして天気は雲によって左右されています.雲のことを知ると,天気にふりまわされなくなるだけでなく,空も雲も楽しみながら生活できるようになります.ここでは,お子さまから楽しめる雲や空の観察のコツについて紹介します. 雲の名前を調べよう
もし長期休暇の自由研究など,継続して雲の観察をできる機会があれば,ぜひ同じ場所で毎日同じ時間(1日4回,9・12・15・18時など)に観察をして,記録してみてください.その日の気圧配置によって現れる十種雲形の種類が異なったり,1日のなかで時間によって特徴が変わるのが見えて来ると思います.もちろんこのような雲の変化は地域によっても異なる場合があります.ぜひ観察をして雲と空の特徴とその理由を考察してみましょう. 空の色を楽しもう空は時間帯や気象状況によって多彩な色に染まります.太陽から届く光にはさまざまな波長があり,そのうち私たちが目で認識できる光は「可視光線(かしこうせん)」と呼ばれています.光の色は波長によって異なり,それらが重なって白い光になっています.また,光が粒子にあたって進む向きを変えることを「散乱」と呼んでおり,光の波長よりも大きい雲の粒に光があたると,色(波長)に関係なく同じように散乱される「ミー散乱」が起こります.このため,雲粒で散乱される光は白い光となり,雲は白いのです.また,モクモクした雲の底は灰色になっていることがあります.これは,雲の中にさした光が弱まってしまって,雲の底まで届いていないためです.影が暗く見えるのと同じ理由です. 青い空に白い雲,当たり前のように見かけるこのような空にもワケがあります.光の波長より小さい大気分子や大気中の微粒子(エアロゾル)に光があたると,波長の短い光が強く散乱する「レイリー散乱」が起こります.空の青は,青い光が空で散乱したものなのです. 太陽高度の低い朝や夕方には,空が赤く染まることがあります.朝や夕方など太陽の高度が低い時間には,太陽からの可視光線の通る大気層の距離が長くなるため,レイリー散乱が効いて波長の長い赤い色だけが空に広がり,私たちの目に届くようになるのです.焼け空の赤は,光たちが壮絶な散乱を経て生み出されたものなのです. 空の焼け色がいちばん赤くなるのは,日の出直前の東の空と,日の入り直後の西の空です.太陽からの光が通る大気層の距離が長いほど赤くなるため,夕方では太陽高度が低くなるにつれて空が青から黄金色(こがねいろ)に変わり,日の入ごろにはきれいなオレンジ系に,そして日の入直後は深い赤に色づきます.また,巻雲や巻積雲,高積雲などの上層雲や中層雲が出ていて,太陽のいる方向の空の天気がよいときにはとてもきれいに空が焼けることがあります.日の出直前や日の入直後では,太陽光が高い空の雲でミー散乱し,その光がレイリー散乱の影響を受けながら私たちの目に届くため,深く美しい赤に染まるのです. 空はいつでもきれいですが,特にオススメなのが「薄明(はくめい)」の空です.日の出前や日の入後の時間は「薄明」と呼ばれており,英語ではトワイライト(Twilight)です.薄明は太陽高度によって3つに分類されています.太陽高度が0(地平線)から−6度は屋外で活動できる明るさの「市民薄明」,−6〜−12度は海と空の境界が見える明るさの「航海薄明」,−12〜−18度は6等星が肉眼で確認できない明るさの「天文薄明」です.特に市民薄明では,さまざまな空色を楽しむことができます. 薄明の時間帯は,光源となる太陽が地平線に隠れているため,影がなく暖かい色の空になり,魔法のように美しい空の写真が撮れるため,「マジックアワー」と呼ばれています.「ゴールデンアワー」と呼ばれることもあります.市民薄明の空は焼けるだけではなく,あたり一面が青に染まるブルーモーメントにも出会えます.ブルーモーメントは,焼け色のない日の出前と日の入後のわずかな時間に訪れ,天気がよくて雲が多くない状況で出会いやすい現象です.ブルーモーメントで空が濃い青色に染まる時間帯はブルーアワーと呼ばれ,この青色は大気によるレイリー散乱だけでなく,成層圏のオゾンの影響があると考えられています. このように,天気が良ければ1日に2回も薄明の時間の美しい空色を楽しめます.お住まいの地域や季節によって日の出・日の入りの時間は変化するため,「各地のこよみ(国立天文台)」などからお住いの地域の日の出・日の入りの時間を調べ,ぜひ綺麗な空の色を楽しんでみてください.
虹を見つけよう虹は偶然でしか出会えないと思われる方が多いかもしれませんが,虹に出会いやすくなるコツがあります. 虹とは,太陽と反対側の空で雨が降っているときに現れる,赤から紫までの色の並んだ円弧状の光のことです.「レインボー(Rainbow,雨の弓)」というように,太陽の光が雨滴の内部に入るときと出るときに屈折して,虹の光が生まれています.太陽の光が強いほど明るい虹色になり,ときにはダブルレインボーにも出会うことができます.ダブルレインボーは2重になっている虹のことで,内側の虹は主虹(しゅこう),外側の虹は副虹(ふくこう)と呼ばれています.よく見ると,主虹は内側が紫で外側が赤,副虹は内側が赤で外側が紫と,色の並びが逆になっています.色の並びが違いについて虹の弧のてっぺん付近で考えると,主虹の虹色は,雨滴の上部から入った光が内部で1回反射して下部から出るとき,副虹の虹色は,雨滴の下部から入った光が内部で2回反射して上部から出るときに生まれます.よく雨滴内部での反射回数で色の並びの違いを説明されることが多いのですが,主虹と副虹の色の並びが異なるのは雨滴の中で光が逆方向に回って色が分かれているからなのです.また,主虹のさらに内側の空は,雨滴で屈折した光が重なって明るくなっています.一方,主虹と副虹の間の空は光が集まりにくいために暗く,「アレキサンダーの暗帯(あんたい)」と呼ばれています. このように,虹は太陽と反対側の空で雨が降っていて,太陽の光がさしているときに出会うことができます.つまり,レーダーの雨量情報を確認しながら雨雲が通り過ぎるタイミングで太陽と反対側の空を見上げれば,虹と出会う確率が飛躍的に上がるのです.テレビの天気予報などで「大気の状態が不安定」と言われるような場合には,積乱雲による通り雨が起こる可能性があります.そんなときにはいつもより少し空の様子を気にかけ,身の安全を確保しながら虹を探してみてください. 雨が降っていないときでも,空に虹色の光が現れることがあります.空の彩りは雨滴だけではなく氷の結晶(氷晶)によっても生まれ,太陽や月の光が氷晶で屈折・反射して生まれる光の現象は,総じて「ハロ」と呼ばれています.その種類や形状は実に多様で,太陽の高度によっても姿が変わります.ハロを2種類に大きく分けて,太陽を中心に22度・46度の位置に現れる光の輪だけをハロ,そのほかのものをアークと呼ぶこともあります. ハロやアークは氷晶によって生まれるため,上空に巻雲や巻層雲,巻積雲がいるときに出会えることが多くあります.巻層雲だけが出ているときにはほぼ必ずハロが見られます.また,巻積雲から氷晶でできた尾流雲が発生したりすると,局地的にとてもきれいなアークが現れることもあります.太陽に対してハロとアークの現れる位置は決まっているため,高い空に氷の雲が出ているときには,ぜひハロやアークを探してみてください.この際,太陽は直視しないように十分気をつけて観察しましょう. 宇宙から空を見てみよう地上から空を見上げるのも楽しいですが,気象衛星を使って宇宙から空を眺めてみるのもオススメです.日本付近だけでなく地球全体を見てみるとどこかに必ず低気圧に伴って渦巻く雲がありますし,カルマン渦列や波状雲など大気の流れを可視化している雲を眺めるのはとても楽しいです.また,ひまわり8号による日本付近の画像は2.5分間隔なので,雲の時間変化がよくわかります.何か不思議な雲を見かけたときには宇宙からも眺めてみて,その雲がどのような広がりでどこで生まれているのかを確認するのも楽しいです.以下で紹介しているサイトでは過去に遡っても空を見ることができますので,なかなか外で空を見上げられないときなどにぜひ活用してみてください.
空から天気を予想しよう天気予報がまだない時代,天気の変化は空や雲の様子を見たり,動物の行動を観察することで予想されていました.こうして経験的に培われてきた天気の変化を予想する技術を「観天望気(かんてんぼうき)」と呼んでいます.なかには信憑性に欠けるものもありますが,雲や空は大気の状態を反映しているものなので,雲や空にまつわる観天望気は科学的根拠のあるものが多くあります. たとえば,「太陽や月のまわりに光の輪がかかると雨」という観天望気があります.これには,低気圧が西からやってきているときはまず巻層雲が広がってハロが現れ,段々と雲が厚くなって低気圧による雨が降るという,科学的根拠があります.逆に,低気圧がやってきて天気が西から下り坂になる予報が出ているときには,天気が崩れる前に巻層雲に伴うハロと出会えるチャンスでもあるのです.
富士山に発生する笠雲・吊るし雲については研究がなされており,雨や突風の前兆になることが多いと考えられています.日本海に低気圧があるときにこれらの雲が発生しやすく,雲発生後に寒冷前線による荒天がもたらされるからです.この雲を見かけたら,とりあえず天気予報をチェックしましょう.レンズ状になっている吊るし雲は上空の風が強いという証拠なので,特に登山中に見かけたら天気の急変などに注意が必要です. このほか,「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」と言われることがあります.低気圧が西からやってくるとき,西から雲が厚くなって天気が下り坂になります.この状況で,朝焼けが見えるということは東の空が晴れていて西から雨になる可能性があり,夕焼けが見えるということは西の空が晴れていて翌日も晴れる可能性があるということだそうです.しかし実際にはそうならないことも多いので,天気が気になるときは天気予報を確認するのがベストです.
まず,雄大積雲の頭に帽子のような雲がかかることがあります.これは「頭巾雲(ずきんぐも)」と呼ばれ,雄大積雲の上昇気流が湿った空気の層を持ち上げることで生まれます.つまりこの雲が出ているときには雄大積雲はまさに勢いよく発達しているところで,大気の状態が不安定であることが読み取れます.また,積乱雲が限界まで発達するとかなとこ雲を伴いますが,かなとこ雲は上空の風に流されます.青空のなかである方向から濃い巻雲(濃密巻雲)が広がってきたら,その先には発達した積乱雲がいる可能性が高いです.さらにその雲が厚くなり,雲の底にコブ状の「乳房雲(ちぶさぐも・にゅうぼうぐも)」が現れたら要注意です.乳房雲は積乱雲の進行方向の前方に発生するため,これが真上の空に現れたら自分のいる地域に積乱雲がやってくる可能性が高いのです. このような雲を見かけたら,天気の急変の可能性があると考えて外出時などは特に早めに安全確保をしていただきたいのですが,現代はレーダー観測の技術も発展しています.スマートフォンなどで「レーダー」で検索すれば手軽に雨雲の位置や動きを確認できるので,自分のいる地域に積乱雲が迫ってきていないかぜひチェックしてみてください.予測の難しい大雨は「ゲリラ豪雨」と呼ばれることがありますが,雲や空の変化に気づき,レーダーの雨量情報を使って予め雨が降ることがわかっていれば,ゲリラ豪雨もただの通り雨になるのです. 一方で,レーダーの雨量情報を使っていると,雨雲が通り過ぎるタイミングもわかるので,綺麗な虹に出会えるようになります.このように,虹のような美しい現象を楽しむために気象情報を使っていると,綺麗な景色に出会えるようになるだけでなく,いざというときに自分の命を守ることにも繋がるのです. ![]() 積乱雲の観天望気.「せきらんうんのいっしょう」より.
スマホで観察するミクロな世界マクロレンズで遊ぼうスマートフォン(以下,スマホ)のカメラと100円ショップなどで売っているスマホ用マクロレンズを使うと,手軽にミクロな世界を楽しむことができます.100円ショップなどで売っているスマホ用マクロレンズの倍率は約10倍のものが多く,たとえばちりめんじゃこの中に紛れ込んでいるチリメンモンスターや,昆虫,花,塩の結晶なども鮮明に観察・撮影することができます. 以降では,スマホとスマホ用マクロレンズを使った雪の結晶や霜の結晶の観察について紹介します.
雪の結晶を見てみよう雪の結晶というと顕微鏡のような特殊な装置がないと観察できないように思われがちですが,実は肉眼でも観察することができ,スマホとスマホ用マクロレンズがあればより鮮明にその姿を見ることができるのです.
スマホとスマホ用マクロレンズを使用して撮影した雪の結晶をいくつか掲載しておきます.これらはいずれも茨城県つくば市で撮影したもので,関東平野でもきれいな樹枝状の結晶のほか,角板状,角柱状,針状などさまざまな雪の結晶に出会えます.さらに,スマホで便利なのは動画撮影も簡単にできるということです.そのため,スマホ用マクロレンズを使うと,雪結晶が融解する様子なども撮影することができます. 雲粒付着した十二花が融解する様子.スマホ用のマクロレンズを使用してiPhone6で撮影. 2017年1月20日茨城県つくば市.撮影:荒木健太郎. 雪の結晶の撮影時のポイントは以下の通りです.
雪の結晶の撮影方法のポイントやコツをまとめた資料を以下に掲載しておきます.気象研究所では,首都圏の降雪現象の実態解明を目的に,雪結晶画像や天気などの気象状況の情報を募集する「#関東雪結晶 プロジェクト」を実施しています.雪結晶を撮影したらぜひご参加ください.
![]() 雪の結晶の撮影方法.「ろっかのきせつ」より. 霜の結晶や朝露を観察してみよう冬の朝には足元が白くなってキラキラ輝いていることがあります.そこをよく見てみると,成長した霜の結晶たちと出会うことができます.霜の結晶は雪の結晶とサイズが同程度で,冬季に頻繁に観察できるので雪の結晶の撮影の練習にもぴったりです. そこで,「#霜活」という取り組みも行っています.#霜活ではスマホで撮影した霜結晶の写真をTwitterやFacebook,インスタグラムなどのSNSに「#霜活」というハッシュタグをつけて投稿しています.このタグで検索してみると,多くの方の撮影された霜結晶を手軽に閲覧できます. 霜結晶を観察しやすい条件・場所としては,
霜結晶は大きく分けると,うろこ状,針状,羽状,扇子状の4種類です.これらは雪結晶と同様に気温や水蒸気量によって形が変化します.このほか,細長い葉っぱの先端付近などでは,植物の生命活動に伴って気温の下がる朝には朝露ができ,それが凍った凍結水滴(凍露)が見られることがあります.凍結水滴は雪結晶のグローバル分類における二十面体氷晶に似た構造を持っていることがあり,表面で霜結晶が成長していたりとその姿は様々です.
自然現象として発生する霜は12月〜3月頃によく観測され,暖候期には出会えません.しかし,アイス菓子の表面などで成長した霜結晶であれば,真夏でも#霜活を楽しむことができます(荒木健太郎『雲を愛する技術』(光文社新書)). 霜が見られなくなった暖候期でも,朝露でマクロ撮影の練習ができます.これを「#露活」と呼んでおり,同様にSNS上にハッシュタグをつけて投稿します.朝露は天然の魚眼レンズですので,水滴を通して見る景色が楽しいです.また,太陽光を受けて虹色に輝きます.ぜひミクロな世界を楽しんでみてください. 雪の結晶を作ってみよう夏でも雪の結晶の観察をしてみたい場合には,少し準備して雪の結晶を作ってみましょう.気象絵本「ろっかのきせつ」に掲載している雪の結晶を作る実験方法について紹介します. ![]() 雪の結晶の作り方.「ろっかのきせつ」より. 「地震雲」を不安に思われている方へ雲は地震の前兆にはなりません.世間一般で地震雲として騒がれている雲は,実は日常的によくある雲で,全て気象学で説明できる雲です.地震雲なるものはまず定義が曖昧ですが,地震の前兆として現れる雲とするのであれば,「地震雲はあるのかないのか」という問いに対して答えるのなら,科学に中立な立場からは「地震雲は存在が証明されていない」という説明が正確です.ただし,存在しないことを証明するという問題は難しく,このように答えると「それなら将来的に存在が証明されるのでは?」と思われるかもしれません.地震雲の説明として地下深くの状態の変化に伴って大気中に電磁波が放出されて雲ができるといわれているようですが,このプロセスはよくわかっていません.もし仮に深い地中からの電磁波が雲に何らかの影響を与えていたとしても,少なくとも世間一般で地震雲と呼ばれることの多い雲はすでに力学的・雲物理学的に説明できるため,その影響を私たちが目で見て雲の形などから判断することは不可能です.そのため,雲は地震の前兆にはならないのです. では世間一般ではどのよう雲が地震雲と呼ばれてしまっているのかを見てみると,最も多いのが飛行機雲です.飛行機雲は上空が湿っていれば成長して太くなりますが,見ている方向と同じ向きに飛行機雲がのびていると,雲が空に立っているように見えます.さらに,風下山岳波など上中層の大気重力波に伴う波状雲も地震雲と呼ばれることが多いです.このような波状雲は地下の異常に伴う重力場変動で発生すると主張される方もいるようですが,大気重力波の発生には大気の状態が非常に重要であり,重力場の変動は無関係です.また,青空と雲の境界がはっきり分かれている場合も地震雲と呼ばれることが多いようです.このような雲は気団の境目で発生し,青空と雲域が綺麗に分かれるということはごくありふれた現象です.ほかにも,上空の流れに伴って発生する放射状,レンズ状の雲なども地震雲として怖がられることが多いようです.真っ赤な焼け空や深紅の太陽・月も地震に関係するといわれることがありますが,レイリー散乱で説明できます.最近では彩雲やハロ,アークなどの大気光象までもが「これは地震雲ですか?」と私のSNSアカウントに問い合わせが来ます.もはや雲ではないものも含め,何でもかんでも地震と結びつけられているようです. ここで紹介した雲たちは,普段から空を見上げていれば頻繁に出会える雲ばかりです.地震雲という考えは,日常的に空を見ていない方がたまたま空を見上げたときに目に入った雲や,大きな地震の後に見かけた至って普通の雲に当てはめられているように考えられます.認知心理学の分野で取り扱われるのが良いかもしれませんが,自分の知らない現象を不吉なものとしてカテゴライズして安心しようという心理が働いているのかもしれません.現に「これは地震雲ですか?」と質問をされた方に「これは普通の○○雲です」というとなぜか安心されます.それで安心して終わりなのではなく,地震が不安なら日頃から備えましょう.その上で雲は愛でましょう.雲を楽しみながら雲の声を聞けば,天気の変化を観天望気で予測することはできますし,充実した雲ライフが送れるようになります.
WEB会議などで使える雲壁紙100枚WEB会議などで使える雲壁紙100枚をご用意しました.これらの画像は,テレワーク・在宅勤務・遠隔授業などでのWEB・TV会議アプリケーション等の背景として,個人が使用することを目的として提供するものです.使用にあたってのお願いなどはリンク先のテキスト「はじめにお読みください」をご確認ください.ぜひお気に入りの雲や空を見つけてご活用ください.
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