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「TidalStrain」のバグ修正報告

2019/08/27に,地表からコアマントル境界(深さ2891 km)までの任意の深さ・任意の断層面上における理論潮汐応答を計算するFortranプログラム「TidalStrain」をリリースしました.

その後,バグがいくつか発見されました.

本ページは,「TidalStrain」のバグ修正報告です.

バグ

  • 「TidalStrain」では,海洋潮汐荷重効果の計算についてはGOTIC2(2001.05.16バージョン)[Matsumoto et al., 2001]に基づいて改良していました. その結果,GOTIC2由来のバグを内包していました(GOTIC2のバグの詳細は国立天文台松本晃治氏HPの「13. 更新履歴」をご参照ください).
  • 深さ10 km以浅のイベントを計算する際にエラーとなるバグがありました.
  • 計算機環境によっては,エラーとなって正しく計算できないケースがありました.

修正/改良

  • 修正版「TidalStrain.2」では,GOTIC2(2004.10.25バージョン)に基づいて再構築し,上記のバグは全て修正済みです. バグあり版と修正版の比較は下図を参照ください.
  • 「TidalStrain.2」のリリースに伴い,潮汐位相角,潮汐レベル,主応力の算出コードも同封しました.

謝辞:プログラム「TidalStrain.2」のうち,海洋潮汐荷重効果の計算については国立天文台松本晃治氏作成のGOTIC2[Matsumoto et al., 2001; Matsumoto, 2004]のサブルーチン(version 2004.10.25)の多くを使用させていただきました. 手を加えたサブルーチンは,source_mod2020/*_mod2020.fの名を持つ15個です.

参考文献
Matsumoto, K., T. Sato, T. Takanezawa, and M. Ooe, 2001, GOTIC2: A program for computation of oceanic tidal loading effect, J. Geod. Soc. Japan, 47, 243-248.
Matsumoto, K., 2004, https://www.miz.nao.ac.jp/staffs/nao99/, 2020年6月3日閲覧

バグあり版(TidalStrain)と修正版(TidalStrain.2)の比較


図1.バグあり版(Old: TidalStrain)と修正版(New: TidalStrain.2)の結果比較.

トンガ・ケルマディック海溝沿いの661地震について結果を比較しました.固体潮汐も加味しています.上段はイベント発生時の潮汐位相角を比べたもの,下段はイベント発生時の振幅を比べたものです.
数値は微妙に異なりますが,両者に大きな違いはないため,Hirose et al. [2019, JGR]の結論は変わりません.

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