雪が降ったら雪結晶観測にご協力ください
雲研究に関する一般向け情報をまとめています.
顕著な大気現象が発生した際に速報的に解析を行い,報道発表をしています.
〒305-0052
茨城県つくば市長峰1−1
気象庁気象研究所
台風・災害気象研究部
第二研究室(5階)
雪結晶画像や天気などの気象状況の情報提供のお願い:#関東雪結晶 プロジェクト
気象庁気象研究所では,雪結晶画像や天気などの気象状況の情報を募集 しています(「#関東雪結晶 プロジェクト 」).お寄せいただいた情報から雲の特性を調べ,首都圏の降雪現象の実態を解明します.ここでは,本プロジェクトの概要と雪結晶の撮影方法,データ提供方法,関連する成果などについての情報を掲載しています.
お知らせ(2022年10月18日)
研究に必要な観測データ収集ができたため「#関東雪結晶 プロジェクト」によるデータ募集は終了します。成果については随時気象研究所ウェブサイトなどで発表します。なお「#関東雪結晶」というハッシュタグ自体の利用を禁止するものではありませんので、首都圏での降雪時に雪結晶の共有などにSNSで自由にご利用ください。
研究目的
首都圏では少しの積雪でも交通等に甚大な影響が及びますが,その正確な予測は難しいのが現状です.そもそも首都圏は小雪地であることから雪の観測が少なく,降雪現象の実態についての理解が十分には進んでいません.このため,気象庁気象研究所では首都圏の降雪現象の実態解明 を目的とした研究を進めています.
首都圏の降雪現象で特にわかっていないのが降雪をもたらす雲の物理特性 (雲の中の大気状態や雲・降水粒子,気流構造等)です.これを明らかにするためには既存のレーダー等による観測に加え,地上での雪結晶観測が必要です.「#関東雪結晶 プロジェクト 」では,市民のみなさまから雪結晶画像や天気などの気象状況の情報を募集し,降雪粒子の時空間変動・降雪雲の物理特性を明らかにすることを目的としています.このような市民参加型の研究手法はシチズンサイエンス(Citizen Science) と呼ばれています.これにより,首都圏の降雪現象の実態解明が進み,高精度に雨雪判別をする手法の確立 や,将来的に降雪現象の予測精度向上 に繋がります.
本プロジェクトにより得られた研究成果は,随時学術論文・研究発表等で発表するとともに,プロジェクト終了時を目途に本ページで発表いたします.研究内容についてのより詳細な説明は「
研究目的・意義の詳細 」をご覧下さい.
雪結晶観測に必要なもの
とりあえずスマートフォンがあれば雪結晶を撮影できます .最大ズームにして接写すれば研究利用可能な雪結晶情報が得られます.背景として暗い色の生地をご用意ください.また,100円均一の小売店などで入手可能なスマートフォン用のマクロレンズを使用すると,細かい雪結晶構造まで鮮明に見える画像が撮影できます.霰や凍雨等の大きさを調べるため,mm単位でスケールのわかるもの(ものさしや硬貨など) もご用意ください.
雪結晶撮影方法
暗い色の生地を背景にします.あらかじめ外で冷やしておくと雪結晶が融けにくくなります.
雪結晶が着地してすぐがシャッターチャンス です.
スマートフォンのカメラで最大ズームして接写して連写 します.
スマートフォン用マクロレンズなしだと約10cm,ありだと2〜3cmまで近づくとピントが合います.
少しの手ブレでもぼやけてしまうので連写 しましょう.
綺麗な樹枝状結晶だけでなく,綺麗ではない雪結晶も含めて沢山撮影 をお願いします.
個々の雪結晶をズームして接写 するだけでなく,硬貨が映る程度の少し遠目でも撮影 してみてください.
霰や凍雨,雹などはmm単位でスケールのわかるもの(ものさしや硬貨など) と一緒に撮影しましょう.
スマートフォンやカメラ等の撮影機材が濡れて故障しないようお気をつけ下さい.
しっかりと防寒し,周囲の安全を十分に確認の上で観測にご協力をお願いします.
※上記画像はスマートフォンで最大ズームして接写したものです.
雪結晶観測のコツ
雪結晶観測のコツ(撮り方,マクロレンズ使用法などなど)をポスターにまとめました.↓の画像をクリックするとPDFのファイル が閲覧できます.ぜひお近くの方にも印刷・配布してご利用ください.理科教材や自由研究にも利用できると思いますので,この資料はご自由にお使いいただければ幸いです.
参加方法
スマートフォン等で空や雪結晶等の写真を撮って,Twitter上でのハッシュタグ付き投稿,もしくはメール送付にて研究にご参加ください.
Twitterで「#関東雪結晶」のハッシュタグをつけて,撮影時刻・大まかな撮影場所を記載して投稿してください.
Twitterでの投稿の場合,撮影場所に関しては市町村名くらいでも大丈夫です.個人情報(位置情報)として問題のない範囲で記載いただければ幸いです.ご投稿時には居住地・現在地などの個人情報にご注意ください. ご投稿いただいた雪結晶画像や天気等の気象状況の情報について,論文や研究発表資料として画像を使用させていただきたい場合には,画像提供とクレジット表記について個別にお問い合わせすることがあります.
ぜひTwitterに投稿し,他の方が投稿された雪結晶画像もあわせて眺めて楽しんでみてください .
メール等で撮影時刻・撮影場所の情報とあわせてオリジナルファイルを送付してください.
大量の画像を提供いただける場合や,Twitterの利用が困難な場合には,メールで情報提供をお願いします.
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撮影場所・撮影時刻の情報 とあわせてオリジナルファイルを上記アドレスに送付してください.タイトルを「#関東雪結晶 撮影者のお名前」 などとして送付願います.大量の画像を送付いただける場合には,何らかのファイル共有サービスをご利用いただけると幸いです.可能であれば撮影された画像全てをお送り下さい .また,論文や研究発表資料として画像を使用させていただく際のクレジットの表記方法(氏名,ハンドルネーム,匿名など)についてもご連絡ください.
なお,メールによる情報提供においても,雪結晶に加えて天気などの気象状況の情報を募集しています.観測項目等については「空ウォッチを活用したシチズンサイエンスによる気象研究 」のページをご覧ください.
個人情報の取り扱い
気象研究所は,雪結晶画像の撮影者の個人情報(ご氏名,ご連絡先,撮影時刻,撮影場所等)について,「#関東雪結晶 プロジェクト」における研究を目的とした活動にのみ利用します.
気象研究所は,あらかじめ撮影者様の同意のある場合,または法令に基づく開示請求があった場合,不正アクセス,脅迫等の違法行為があった場合その他特別の理由のある場合を除き,収集した情報を上記の利用目的以外の目的のために自ら利用し,又は第三者に提供いたしません.ただし,統計的に処理された研究結果,撮影位置等の情報については撮影者様の氏名が分からないようにした上で公表することがあります.個人情報の確認,訂正などを希望される場合には随時上記メールアドレスまでご連絡ください.
雪結晶画像サンプル
スマートフォン用のマクロレンズを使用し,ズームして接写した雪結晶画像のサンプルを置いておきます.気象に関する普及・啓発資料での使用を希望される場合には,出典を明記の上でご利用ください.報道等,商用目的の場合には荒木 までお問い合わせください.
樹枝六花.2018年1月22日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
角板.2019年2月11日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
四花.2018年2月2日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
角板付樹枝.2019年2月11日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
扇付角板.2019年2月11日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
針による雪片.2019年2月9日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
放射交差角板.2018年1月22日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
角柱.2019年2月9日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
角板鼓(かくばんつづみ).2018年1月22日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
樹枝六花(じゅしろっか).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
樹枝六花による雪片(せっぺん).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
雲粒付着(うんりゅうふちゃく)した十二花.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
雲粒付着した六花(雲粒付六花:うんりゅうつきろっか).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
融解しかけた樹枝六花.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
濃密雲粒付着した枝付角板(えだつきかくばん).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
濃密雲粒付着した広幅六花(濃密雲粒付六花).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
針状(しんじょう)結晶による雪片.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
凍雨(とうう).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
濃密雲粒付着した柱状(ちゅうじょう).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
塊霰(かたまりあられ).2017年2月11日新潟県長岡市.撮影:荒木健太郎.
紡錘霰(ぼうすいあられ).2017年2月11日新潟県長岡市.撮影:荒木健太郎.
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雲粒付着した十二花が融解する様子.スマートフォン用のマクロレンズを使用してiPhone6で撮影.
2017年1月20日茨城県つくば市.撮影:荒木健太郎.
雪結晶の種類・読み方
典型的な雪結晶としてよく知られているのは樹枝状結晶ですが,実は雪結晶には多くの種類があります.近年用いられている雪結晶のグローバル分類では,氷晶やみぞれ,雹なども含めて大分類8個,中分類39個,小分類で121個にもわけられています.
「#関東雪結晶 プロジェクト」では気象アプリ「空ウォッチ」を利用しており,アプリ投稿時に選択可能な雪結晶については「空ウォッチを活用したシチズンサイエンスによる気象研究 」のページをご覧ください.
(右図)雪結晶の分類.荒木健太郎「ろっかのきせつ」 より.
「雪は天から送られた手紙である」 (物理学者・中谷宇吉郎博士)という言葉があります.これは,雪結晶の成長する大気の気象状態(気温・水蒸気量)によって結晶の形が変わるため,地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握できるということによっています.
実際に地上で観測される雪結晶は雲粒付着していることや,あられのように丸くなっているものもあります.雲粒付着の程度を調べることで,上空に過冷却雲粒(0℃以下の液体の水の雲)があるかどうかを判断することができます.このように雪結晶を読み解くことで,結晶が成長した雲の特性を調べることが可能となります.
これらの詳細は以下の動画解説 で紹介していますので,ぜひご覧いただければ幸いです.
雪結晶の種類と気温,氷飽和を超える水蒸気量との関係(小林ダイヤグラム:Kobayashi, 1961を改変).荒木(2018)「世界でいちばん素敵な雲の教室」 より.
雪結晶の読み方.雪結晶の形からはその結晶が成長した雲の気温・水蒸気量,雲粒付着の程度からは過冷却雲粒の有無などが読み取れます.
動画解説
「#関東雪結晶 プロジェクト」の取り組みや雪結晶撮影方法,#霜活について解説しています.空ウォッチ で観測する雪結晶以外の項目については別途解説動画を公開しています .
雪結晶の撮影方法(6分29秒)
スマホを用いた雪結晶の撮影方法を解説しています.
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「#関東雪結晶 プロジェクト」(16分20秒)
気象研究所「#関東雪結晶 プロジェクト」の取り組みについて紹介しています.
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#霜活(12分56秒)
霜結晶をスマホで撮ってSNS投稿する「#霜活」について解説しています.
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研究目的・意義の詳細
気象研究所では,課題解決研究「台風・顕著現象の機構解明と監視予測技術の開発に関する研究 」(2019年度〜2023年度)の「副課題2:顕著現象の実態解明と数値予報を用いた予測技術の研究」の一環として,首都圏の降雪現象解明の研究に取り組んでいます.「#関東雪結晶 プロジェクト 」はこの取り組みのひとつとして実施しています.
首都圏の降雪現象は南岸低気圧 と呼ばれる低気圧の接近・通過に伴って発生することが知られていますが(荒木 2016 ),その正確な予報は難しい現象 です(気象庁 2015 ).首都圏で雨が降るか雪が降るかは大気下層の気温場が非常に重要ですが,下層気温場はメソスケール現象であるCold-Air Damming(荒木 2015a )や沿岸前線(荒木 2015b )の強さや位置によって大きく左右され,これにより雨と雪の地域も大きく変化します.これらを正確に予測するためには,南岸低気圧の位置・発達度合,低気圧に伴う雲・降水,地表面の温度・状態などを全て正確に予測する必要があります.
ところが,これらの中でも特に雪を降らせる雲の物理特性についてはよく理解されていない というのが現状です.雲の物理特性を理解するためには,航空機観測や雲粒子ゾンデ観測(気球による雲観測)など,雲・降水粒子の直接観測が必要不可欠ですが,観測データ不足により理解が進んでいません.
一方,地上で観測可能な雪結晶の情報は雲物理特性を理解する鍵でもあります.「雪は天から送られた手紙である 」という言葉がありますが,これは雪結晶の成長する大気の気象状態(気温・水蒸気量)によって結晶の形が変わるため,地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握できるということを意味しています.
これまで雪結晶観測は研究者が個々人で行っていました.しかし,個々人の研究者による観測では特定の地点における雪結晶の時間変化は把握できるものの,関東甲信地方という広域における雪結晶の時空間変動は不明です.首都圏に雪を降らせる雲は関東甲信地方の広い範囲に及び,かつ地形の影響やCold-Air Damming,沿岸前線などのメソスケール現象の影響を受けて変化することも考えられます.これらの背景から「#関東雪結晶 プロジェクト 」を立ち上げ,雪結晶画像を募集することにしました.
このような市民参加型の研究はシチズンサイエンス(Citizen Science) と呼ばれており,得られた雪結晶をはじめとする気象観測データと従来のレーダーや降水粒子観測データ,高分解能数値シミュレーションの結果と組み合わせて解析を行うことで,これまで未知であった関東甲信地方における降雪粒子の時空間変動・降雪雲の物理特性を明らかにすることが可能です.これにより,本プロジェクトでは,気象研究所課題解決研究課題 の目標として,シチズンサイエンスデータを活用して首都圏の降雪現象の実態解明 を行います.本研究成果は,高精度に雨雪判別をする手法の確立 や,将来的に関東甲信地方の降雪現象の予測精度向上 に繋がります.
#関東雪結晶 Q&A
Q:気象アプリ「空ウォッチ by 3D雨雲ウォッチ」の活用はどうなったのか?
A:気象研究所「#関東雪結晶 プロジェクト」では,2019年2月14日より気象アプリ「空ウォッチ by 3D雨雲ウォッチ」を活用したデータ募集 を行ってきました.
今般,気象アプリ「3D雨雲ウォッチ」のメンテナンスにより,「空ウォッチ」が一時閉鎖されることとなったため,2019年12月以降の「#関東雪結晶 プロジェクト」では参加方法を一時的に従来のSNS・メールを活用した方法に戻すこととしました.
Q:これまで「空ウォッチ by 3D雨雲ウォッチ」を通して募集したデータは研究に利用されないのか?
A:これまでアプリを通してお寄せいただいたデータは研究に有効活用させていただきます.
Q:「空ウォッチ by 3D雨雲ウォッチ」は一時停止とのことだが,再開はするのか?
A:再開の目途が立ち次第,改めて気象研究所ホームページなどでお知らせします.それまでは従来の参加方法で研究にご協力をお願いします.
Q:提供した画像の著作権はどうなるのか?
A:投稿いただいた写真の著作権は撮影者さまに帰属します.研究に画像データそのものの利用を希望する場合,事前にご連絡することがあります.メールでお寄せいただいた画像データの使用に際しては,ご連絡時に記載いただいたクレジットを表記の上で使用いたします.
Q:関東甲信地方以外も対象なのに「#関東雪結晶」なのか?
A:全国の降雪現象を対象に研究を進める場合には「#日本雪結晶」と名前を改めることも考えられますが,今後の研究計画の策定のなかで検討していきたいと思います.
Q:雪結晶画像がなくてもレーダーや衛星で十分ではないのか?
A:雪結晶画像がなければ実際に地上で何が降っているかはわかりません.近年は偏波ドップラーレーダーにより上空の降水粒子を判別する試みがなされていますが,降雪粒子(たとえば雪片)を形成する雪結晶が何か,雲粒付着の程度はどのくらいかなど,偏波レーダーによるリモートセンシングでは現状はわかりません.また,降水レーダー・マイクロ波放射計を搭載した極軌道衛星による雲の解析なども行われていますが,衛星観測でも同様で関東に降雪をもたらす雪の詳細構造はわかりません.
このほか,地上観測としてディスドロメータによる降水粒子観測があります.ディスドロメータでは降水粒子の粒径(粒子の大きさ)・落下速度を得ることができます.これらの観測結果から雪の種類を推定する試みもなされていますが,これは室内実験などにより得られた粒径・落下速度の関係の経験式を用いています.そのため,実際に何が降っているかということは雪結晶画像がないとわかりません.
首都圏における降雪現象の実態解明のためには,降雪をもたらす雲の物理的特徴を把握することが必須であり,雪結晶画像は必要不可欠です.これに加えて,レーダーや衛星,地上降水粒子観測,数値シミュレーションなどを組み合わせて総合的に研究を進める必要があります.
Q:送付した雪結晶画像を使った研究成果はどのように公開されるのか?
A:解析結果は学術論文や各種研究発表,一般向け講演,気象研究所HPなどで随時公開します.
雪結晶観測の練習:「#霜活」
マクロレンズをつけたスマホによる雪結晶撮影では,ピントの合う距離が被写体から数cmとかなり近くまで寄る必要があるため,慣れるために練習が必要です.しかし,そもそも首都圏では年に数回程度しか雪が降らないため,いざ雪が降ったときに雪結晶撮影を上手くできるよう,冬季は頻繁に観測でき,雪結晶とサイズが同程度の霜結晶 を対象とした「#霜活 」という取り組みを行っています.
#霜活ではスマホで撮影した霜結晶の写真をTwitterやFacebook,インスタグラムなどのSNSに「#霜活」というハッシュタグをつけて投稿 しています.このタグで検索してみると,多くの方の撮影された霜結晶を手軽に閲覧できます.
霜結晶を観察しやすい条件・場所としては,
気象条件:晴れた日の風の弱い朝で,最低気温が数℃以下
場所:空がひらけた草地など
見るところ:地面に近い植物の葉っぱの表面など
などが挙げられます.晴れた日の夜には,地表から宇宙に熱が逃げる放射冷却によって地面の温度が下がり,地面に近い空気から冷えていきます.天気予報やアメダスで観測される気温は地上高1.5mのもので,朝の最低気温が数℃以下(霜注意報の発表基準が概ね最低気温2〜4℃)だと地面付近は0℃以下に冷え,植物の葉っぱの表面にある繊維状の構造を芯にして霜結晶が成長します.このとき,霜結晶は空気中の水蒸気が昇華して氷になっています(なお霜柱は土壌中の液体の水が凍ったものです).風が吹いていると地面に近い空気がそれより上の高温な空気と混ざってしまい,霜結晶が成長しにくくなります.翌日の天気予報を見て,予想最低気温と風の強さをチェックして「#霜活」をお試しください.
霜結晶は大きく分けると,うろこ状,針状,羽状,扇子状の4種類です.これらは雪結晶と同様に気温や水蒸気量によって形が変化します.このほか,細長い葉っぱの先端付近などでは,植物の生命活動に伴って気温の下がる朝には朝露ができ,それが凍った凍結水滴 (凍露)が見られることがあります.凍結水滴は雪結晶のグローバル分類における二十面体氷晶に似た構造を持っていることがあり,表面で霜結晶が成長していたりとその姿は様々です.
霜結晶や凍結水滴たちは,朝陽がさすと融けながら虹色の美しい輝きを放ちます.このような時間を私はシンデレラタイム (荒木健太郎『雲を愛する技術』(光文社新書) )と呼んでいます.儚く美しい朝の時間をぜひ楽しんでみてください.
自然現象として発生する霜は12月〜3月頃によく観測され,暖候期には出会えません.しかし,アイス菓子の表面などで成長した霜結晶であれば,真夏でも#霜活を楽しむことができます(荒木健太郎『雲を愛する技術』(光文社新書) ).
雪結晶観測の練習:「#露活」
冬季には「#霜活」で雪結晶観測の練習ができますが,暖候期では朝露 でマクロ撮影の練習ができます.これを「#露活 」と呼んでおり,同様にSNS上にハッシュタグをつけて投稿します.朝露は天然の魚眼レンズですので,水滴を通して見る景色が楽しいです.また,太陽光を受けて虹色に輝きます.ぜひミクロな世界を楽しんでみてください.
成果・受賞・広報等
報道発表
論文・研究発表・講演
荒木健太郎, 2019: 南岸低気圧による大雪研究の現状と課題. 気象研究ノート, 241 , 605-614.
Araki, K., 2019: Study on heavy snowfall associated with "South-Coast Cyclones": Present state and future work. Meteor. Res. Notes , 241 , 605-614.
荒木健太郎, 2019: シチズンサイエンスによる高密度雪結晶観測. 気象研究ノート, 241 , 551-555.
Araki, K., 2019: Dense ground snow crystals observation by citizen science. Meteor. Res. Notes , 241 , 551-555.
荒木健太郎, 村上正隆, 2019: 南岸低気圧に伴う関東甲信地方大雪時の降雪・雲物理特性. 気象研究ノート, 240 , 323-338.
Araki, K., and M. Murakami, 2019: Characteristics of snowfalls and cloud microphysical properties during heavy snowfall events in the Kanto and Koshin regions associated with "South-Coast Cyclones". Meteor. Res. Notes , 240 , 323-338.
荒木健太郎, 2019: 南岸低気圧による大雪研究のこれまで. 気象研究ノート, 239 , 1-45.
Araki, K., 2019: Review on heavy snowfalls brought by "South-Coast Cyclones". Meteor. Res. Notes , 239 , 1-45.
荒木健太郎, 中井専人(編), 2019: 南岸低気圧による大雪 V:雪氷災害と予測. 気象研究ノート, 241 , 日本気象学会 , 220pp.
Araki, K., and S. Nakai (Ed.), 2019: Heavy snowfall brought by ”South-Coast Cyclones” part III : Disasters and prediction. Meteor. Res. Notes, 241 , Met. Soc. of Japan , 241pp.
Araki, K., 2019: Application of 1DVAR technique using ground-based microwave radiometer data to estimating thermodynamic environments in winter convective clouds. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling , 49 , 1.03-1.04.
荒木健太郎, 2019: シチズンサイエンスによる雪結晶の高密度観測. 気象業務はいま 2019, 123.
荒木健太郎, 2019: 雪結晶を撮影しよう!「#関東雪結晶 プロジェクト」. 理科教育ニュース, 少年写真新聞, 1062 , 2-3.
荒木健太郎, 2018: 南岸低気圧による首都圏降雪現象の実態解明のための研究. 三重大学大学院生物資源学研究科博士論文, 110pp.
荒木健太郎, 佐藤陽祐, 2018: エアロゾル・雲・降水相互作用の数値シミュレーション. エアロゾル研究 , 33 , 152-161.
Araki, K., and Y. Sato, 2018: Review of numerical simulation studies of aerosol impacts on clouds and precipitation. Earozoru Kenkyu , 33 , 152-161, (in Japanese).
荒木健太郎, 2018: シチズンサイエンスによる超高密度雪結晶観測「#関東雪結晶 プロジェクト」. 雪氷 , 80 , 115-129.
Araki, K., 2018: Ultra-dense ground observation of snow crystals by citizen science "#KantoSnowCrystal project". Seppyo , 80 , 115-129, (in Japanese with English abstract).
荒木健太郎, 2018: ろっかのきせつ. ジャムハウス , 32pp.
山下克也, 當房豊, 荒木健太郎, 佐藤陽祐, 三隅良平, 前田麻人, 岩田拓己, 森樹大, 岩本洋子, 村田浩太郎, 折笠成宏, 田尻拓也, 齋藤泉, 端野典平, 島伸一郎, 武田和弥, 郭朋君, 川合秀明, 山内晃, 藤原智貴, 堀田陽香, 熊谷幸基, 猪又淳之助, 大芦宏彰, 高橋麗, 酒井健人, 2018: 「2017年度エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会」報告. 天気 , 65 , 521-528.
K. Yamashita, Y. Tobo, K. Araki, Sato, Y., R. Misumi, A. Maeda, T. Iwata, T. Mori, Y. Iwamoto, K. Murata, N. Orikasa, T. Tajiri, I. Saito, T. Hashino, S. Shima, K. Takeda, P. Guo, H. Kawai, A. Yamauchi, T. Fujiwara, H. Hotta, S. Kumagai, J. Inomata, H. Ooashi, R. Takahashi, and, K. Sakai, 2018: Report on "Workshop on the Interaction of Aerosols, Clouds, and Precipitation in 2017 fiscal year". Tenki , 65 , 521-528, (in Japanese).
荒木健太郎, 2018: 世界でいちばん素敵な雲の教室. 三才ブックス , 160pp.
荒木健太郎,2018:雲研究と防災リテラシー.人と国土21,2018年3月号(第43巻6号),11-16.
荒木健太郎, 2017: 雲を愛する技術. 光文社新書 , 344pp.
荒木健太郎, 2017: 予測の難しい関東の雪 解明のカギは「天から送られた手紙」 ―市民科学が切り拓く降雪研究の新展開―. 世界気象カレンダー2018年版, 日宣テクノ・コムズ .
大島和裕, 堀正岳, 佐藤和敏, 浅井博明, 荒木健太郎, 2017: 2017年春季「極域・寒冷域研究連絡会」の報告 -マルチスケールで考える,都市における降雪・積雪-. 天気 , 64 , 823-826.
荒木健太郎, 當房豊, 山下克也, 佐藤陽佑, 鈴木健太郎, 瀬戸里枝, 川合秀明, 山内晃, 小池真, 三隅良平, 三浦和彦, 島伸一郎, 橋本明弘, 田尻拓也, Tzu-Hsien Kuo, 岩田歩, 折笠成宏, 木ノ内健人, 2017:「エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会」報告. 天気 , 64 , 483-491.
Araki, K., Y. Tobo, K. Yamashita, Y. Sato, K. Suzuki, R. Seto, H. Kawai, A. Yamauchi, M. Koike, R. Misumi, K. Miura, S. Shima, A. Hashimoto, T. Tajiri, K. Tzu-Hsien, A. Iwata, N. Orikasa, and K. Kinouchi, 2017: Report on "Workshop on the Interaction of Aerosols, Clouds, and Precipitation". Tenki , 64 , 483-491, (in Japanese).
荒木健太郎,上野健一,縫村崇行, 2017: シンポジウム「関東の大雪に備える」報告. 天気 , 64 , 193-200.
Araki, K., K. Ueno, and T. Nuimura, 2017: A report of the symposium "Preparing for heavy snowfalls in the Kanto region". Tenki , 64 , 193-200, (in Japanese).
荒木健太郎, 2019: 南岸低気圧による首都圏降雪時の降雪結晶の特性と環境場の関係. 日本気象学会2019年度秋季大会, A402.
荒木健太郎, 田中沙央里, 小池佳奈, 2019: シチズンサイエンスのための気象アプリ「空ウォッチ」を通した降雪研究. 日本気象学会2019年度秋季大会, P311.
荒木健太郎, 2019: 南岸低気圧による首都圏降雪時の降雪結晶の特性と環境場の関係. 三重大学セミナー.
荒木健太郎, 2019: 降雪・積雪・雪氷災害状況のリアルタイム監視に向けて. 「日本海寒帯気団収束帯による豪雪対策のための研究開発」研究集会.
Araki, K., 2019: Innovative progress in ground observation of snow crystals and weather conditions by citizen science. JpGU Meeting 2019, MGI37-10.
Araki, K., S. Satoh, and T. Tajiri, 2019: Case study of environmental conditions and cloud microphysical properties of winter convective clouds developed in the Kanto plain. JpGU Meeting 2019, AAS06-04.
荒木健太郎, 2019: エアロゾル・雲・降水相互作用の数値シミュレーション. 2018年度エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会.
荒木健太郎, 2018: 首都圏降雪現象の実態解明の研究. 第13回航空気象シンポジウム.
荒木健太郎, 清野直子, 2018: 冬季首都圏降雪時におけるメソスケール環境場の時空間発展の観測研究. 日本気象学会2018年度秋季大会,A351.
荒木健太郎, 2018: 降雪研究のための降水種別シチズンサイエンスデータの観測特性. 雪氷研究大会(2018in札幌), P1-58.
荒木健太郎, 2018: シチズンサイエンスによる雪結晶観測「#関東雪結晶 プロジェクト」のこれまでとこれから. 第22回KYOTOオープンサイエンス・ミートアップ.
荒木健太郎, 2018: 低気圧に伴う那須大雪時の表層雪崩発生に関わる降雪特性. 日本雪氷学会関東・中部・西日本支部 支部賞受賞者講演会.
荒木健太郎, 2018: 南岸低気圧による首都圏降雪現象の実態解明のための研究. 三重大学セミナー.
荒木健太郎, 2017: 降雪研究のための市民科学データの観測特性調査. 日本気象学会2017年度秋季大会,P312.
荒木健太郎, 2017: 市民科学による超高密度雪結晶観測「#関東雪結晶 プロジェクト」. 雪氷研究大会(2017・十日町), P1-20.
荒木健太郎, 2017: 2016年11月24日関東降雪の発生環境場. 日本気象学会2017年度春季大会,B402.
荒木健太郎, 2017: 市民科学による超高密度広域雪結晶観測 −2016年11月24日関東降雪事例−. 日本気象学会2017年度春季大会,B201.
荒木健太郎, 2017: 市民科学による超高密度広域雪結晶観測. 日本気象学会2017年度春季大会, 極域・寒冷域研究連絡会「マルチスケールで考える,都市における降雪・積雪」.
荒木健太郎, 2017: 関東降雪の観測・数値モデル研究. 「エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会」.
荒木健太郎, 2016: 南岸低気圧による関東大雪の発生機構と予測特性. シンポジウム「関東の大雪に備える」.
荒木健太郎, 2019: SNSを通した気象研究と防災. FUKKO STUDY #1.
荒木健太郎, 2019: 雲を愛する技術. 宮崎こばやし熱中小学校.
荒木健太郎, 2019: 雲と防災. 三重大学セミナー.
荒木健太郎, 2019: 雲を愛する技術. 元村有希子のNEWSなカフェ.
荒木健太郎, 2019: 雲を愛する技術. 第16回麻酔科学サマーセミナー.
荒木健太郎, 2019: 雲を愛する技術. 福岡市科学館講演会.
荒木健太郎, 2019: 雲と共に生きる. 姫路科学館・科学講演会.
荒木健太郎, 2019: シチズンサイエンスのための気象アプリ「空ウォッチ」について. 気象キャスターネットワーク講演会.
荒木健太郎, 2019: 雪結晶で読み解く雲の心. 2018年度日本雪氷学会積雪観測&雪結晶撮影講習会.
荒木健太郎, 2018: こどももおとなも、冬の空をたのしもう!―雪は天から送られた手紙. 雲研究者 荒木健太郎 気象絵本『ろっかのきせつ』刊行記念イベント #銀座蔦屋雲の会.
荒木健太郎, 小沢かな, 2018: 雪の舞う冬空を楽しもう!. 気象絵本『ろっかのきせつ』刊行記念イベント.
荒木健太郎, 小沢かな, 2018: 空から舞い降りる雪の子に想いを馳せて. 『ろっかのきせつ』(ジャムハウス)刊行記念イベント, 本屋B&B.
荒木健太郎, 片平敦, 2018: 荒木健太郎と片平敦のお天気酒場. Loft PlusOne Westイベント.
荒木健太郎, 2018: 雲研究者という生き方. 第5回新人気象予報士発表会.
荒木健太郎, 2018: 雲を愛する技術. 倉敷科学センター科学講演会.
荒木健太郎, 佐々木恭子, 茂木耕作, 2018: 世界でいちばん雲愛まみれな教室. 『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)刊行記念イベント, 本屋B&B.
荒木健太郎, 2018: 浮世絵気象学. 浮世絵師 歌川広重 没後160年太田記念美術館×銀座 蔦屋書店トークシリーズ「歌川広重とあの人と。〜広重とのさまざまな出会い〜」第1回:雲研究者 荒木健太郎さんと歌川広重「広重が描いた江戸の空 #銀座蔦屋雲の会」.
荒木健太郎, 2018: 雲を愛する技術. 気象キャスターネットワーク講演会.
荒木健太郎, 2018: 雲研究と防災. 東京大学先端科学技術センターシンポジオン.
荒木健太郎, 2018: 雪結晶で読み解く雲の心. 2017年度日本雪氷学会積雪観測&雪結晶撮影講習会.
荒木健太郎, 佐々木恭子, 茂木耕作, 2018: ただひたすら雲を愛でる. 『雲を愛する技術』(光文社新書)刊行記念イベント, 本屋B&B.
荒木健太郎, 2017: 雪結晶で読み解く雲の心. 毎日メディアカフェ.
荒木健太郎, 2017: 顕著気象の雲科学. ボーンデジタルセミナー.
荒木健太郎, 2017: 市民科学による気象研究と気象防災. NHK気象キャスターによる気象情報研究会, NHK文化センター町田教室.
荒木健太郎, 2017: 空を楽しむための雲科学. 第2回気象サイエンスカフェin那覇.
荒木健太郎, 2017: スマホでのぞくミクロの世界. そら博2017.
荒木健太郎, 2017: 首都圏降雪のメカニズム. そら博2017.
荒木健太郎, 2017: 市民科学による雪結晶観測を通した雪氷知識の普及. 日本雪氷学会関東・中部・西日本支部 支部賞受賞者講演会.
荒木健太郎, 2017: 市民科学を通した首都圏降雪機構の解明「#関東雪結晶 プロジェクト」. 気象庁気象研究所一般公開特別講演会.
荒木健太郎, 2017: 関東降雪における総観・メソ気象と雲物理研究. 日本気象予報士会長期予報利活用研究会第68回例会.
荒木健太郎, 2017: 南岸低気圧による首都圏の大雪研究. カガクの粒サイエンスカフェ.
荒木健太郎, 斉田季実治, 2017: 気象災害0の未来に向けて. NHKカルチャー, NHK文化センター町田教室.
荒木健太郎, 2017: 雪結晶で読み解く雲の心 天から送られた手紙の受け取り方と読み方. 2016年度日本雪氷学会積雪観測&雪結晶撮影講習会.
荒木健太郎, 2017: 南岸低気圧に伴う関東降雪研究の最前線. ウェザーマップ研修会.
荒木健太郎, 2017: 南岸低気圧による大雪の研究. 気象キャスターネットワーク研修会.
荒木健太郎, 2016: 雪結晶で読み解く雲の心 〜天から送られた手紙を読む技術〜. NHKカルチャー, NHK文化センター町田教室.
日本雪氷学会北信越支部と関東・中部・西日本支部主催の「2018年度積雪観測&雪結晶撮影講習会 」(2019年2月2日開催)での講演.スマートフォンを用いた雪結晶観測方法,雪を降らせる雲のしくみ,「天から送られた手紙」である雪結晶の読み方,地域や雲の種類による雪結晶の違いなどについて解説しています.広く一般向け.
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KYOTOオープンサイエンス勉強会主催の「第22回KYOTOオープンサイエンス・ミートアップ 」(2018年8月22日開催)での講演.気象研究所「#関東雪結晶 プロジェクト」の概要や主な成果の他,オープンサイエンスの観点から見たシチズンサイエンスによる観測研究についても議論しました.広く一般向けですがオープンサイエンス関係者を想定して講演したものです.
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日本雪氷学会 関東・中部・西日本支部 活動賞受賞(2016年度)
公益社団法人 日本雪氷学会 関東・中部・西日本支部 より,2016年度活動賞を受賞しました(2017年5月15日).授賞理由は「市民科学による雪結晶観測を通した雪氷知識普及の功績」 です. この賞は,雪氷学の幅広い発展と知見において,雪氷研究の教育・普及活動に顕著な貢献を行った会員の活動に対して与えられるものです.
選定理由(日本雪氷学会より):
荒木会員は2016年度から気象研究所「#関東雪結晶 プロジェクト」を立ち上げ,関東甲信の市民を対象に降雪時の雪結晶の写真を募集し,首都圏の降雪現象の実態解明に関する研究を行っている.本プロジェクトにおいて荒木会員はスマートフォンを用いたごく簡易な雪結晶の観測手法を確立し,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通した観測協力の呼びかけ等により多数の市民が雪結晶観測に参加している.特に,2016年11月24日の関東降雪事例では5,100枚以上の雪結晶画像が集まり,世界で初めての市民参加による超高密度広域雪結晶観測が行われた.本プロジェクトの話題は新聞やTV,ラジオ,科学雑誌やwebニュース等の多くのメディアに取り上げられ,これにより雪結晶に関する知識や簡易観測手法が非常に多くの国民に広く普及された.さらに,荒木会員は2016年12月10日に関東・中部・西日本支部主催のシンポジウム「関東の大雪に備える」 の企画・運営で中心的役割を果たし,雪結晶を中心とした雪氷学の知識普及を行った.荒木会員は2017年2月11日の北信越支部との共催の積雪観測&雪結晶観察講習会 でも講師を行い,この他にも多くの一般向け講演や著書,SNSでの情報発信で雪氷知識普及を行っている.これらの雪氷学に関する教育・普及活動は顕著であり,活動賞に値するため選定した.
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