C3 地球環境監視・診断・予測技術高度化に関する研究

  • 副課題1:エーロゾルの監視
  • 副課題2:オゾン及び関連物質の監視
  • 副課題3:大気・海洋の炭素循環に関する観測と診断解析
  • 副課題4:化学輸送モデル・同化技術の開発・高度化

期間

平成26年度~平成30年度(5年計画第2年度)


研究代表者

眞木貴史 環境・応用気象研究部第1 研究室長


担当研究部

副課題1:環境・応用気象研究部、気候研究部、気象衛星・観測システム研究部
副課題2:気象衛星・観測システム研究部
副課題3:海洋・地球化学研究部
副課題4:環境・応用気象研究部、海洋・地球化学研究部


目的

東アジア、西部北太平洋におけるエーロゾル、オゾン、温室効果ガス等の観測を通じ当 該物質の実態把握と変動メカニズムを解明すると共に、化学輸送モデルとデータ同化・ 解析技術を用いて地球環境の監視・診断・予測技術を高度化させ、サイエンスコミュニ ティや気象業務等に貢献する。


C3 概念図

目標

各種新規観測装置を導入することによって地球環境監視能力を向上させる。既存の観測も含めた観測データベースを構築する。観測データベースを用いて化学輸送モデルの検証・改良を行い、データ同化手法を開発して順次本庁における業務化を目指す。

(副課題1)

  • エーロゾル粒径、組成、混合状態、光学特性、鉛直分布のデータ蓄積とデータ公開
  • エーロゾル素過程、物理・化学過程を考慮した詳細モデルの開発
  • 視程情報高度化に向けたもや・煙霧・黄砂現象を区別する観測手法の開発

(副課題2)

  • 対流圏オゾンライダーによる観測の継続によるデータ蓄積とデータ公開
  • 対流圏NO2 ライダーの開発
  • ライダー観測データを用いた化学輸送モデルの改良への貢献

(副課題3)

  • 二酸化炭素同位体連続観測の実施と温室効果ガス観測データベースの構築
  • 上記データベースを用いた温室効果ガス発生源の観測的評価とモデル診断解析
  • 水中グライダーによる高頻度の海洋内観測の実現や分光光度法によるpH 測定法の高効率化など、海洋物質循環観測の高度化による大気・海洋炭素循環過程や海洋酸性化実態の理解の促進

(副課題4)

  • 全球化学輸送モデル(エーロゾル、オゾン)高度化及び大気化学統合モデルの開発
  • オンライン領域化学輸送モデル開発とオフライン領域化学輸送モデルの高度化
  • 全球化学データ同化の高度化(現業化)及び領域化学データ同化手法の開発
  • 化学輸送モデルとデータ同化技術を用いた応用研究(大気組成再解析、視程、放出量逆推定等)の実施

平成27年度の目標

(副課題1)

  • 【モニタリング・電顕分析】つくばで連続観測、個別粒子分析を行う。データの公開を行う。
  • 【長距離輸送エアロゾル】東アジア起源のPM2.5、黄砂等を対象に、西日本・山岳での観測、サンプル分析を行う。
  • 【予測モデル開発】3モーメントビン法の導入のため、コーディング及び動作テストを行う。
  • 【視程情報高度化】つくばで、偏光OPC,サルフェートモニター、視程計(測器センター)による連続測定を実施し、電顕分析との比較を行う。春季に西日本(福岡)での観測を実施する。
  • 【光学特性観測】放射・光学特性観測点の機器の更新、保守を行う。放射・光学特性観測点で連続観測を行い、データを解析し、データベースを作成する。
  • 【鉛直分布観測(ライダー)】ライダーによる観測を継続し、気象研エーロゾルライダーを用いたエーロゾルモデルの検証方法を検討する。

(副課題2)

  • 【オゾンライダー観測】新たに開発するNO2観測用ライダーとの同時観測が可能になるよう、対流圏オゾンライダーの構成・配置を変更する。対流圏オゾンライダーによる観測を継続し、観測データを副課題4の化学輸送モデルの結果と比較する。
  • 【NO2 ライダー観測】地球温暖化や越境汚染に関連した大気微量成分(NO2)を観測するためのライダーを開発し、試験観測を行う。

(副課題3)

副課題3-1(大気炭素循環解析)

  • 【微量気体の観測】綾里・与那国島・南鳥島・父島の大気観測所におけるラドン濃度と水素等の微量気体(父島)の観測を継続し、過去のデータと併せてデータベースを更新する。
  • 【観測技術の標準化・高度化】二酸化炭素安定同位体測定装置の性能試験を継続する。気象庁と標準ガス比較実験を年2回実施し情報交換を提供する。現業化を見据えた次世代の観測技術(酸素、ハロカーボン類、14CO2等)の確立のために、気象庁と協力して航空機観測や大気観測所で採取した実大気試料を用いた検証分析を継続して実施する。
  • 【微量気体変動の解析】観測で更新されたラドンのデータベースを用いて、数日スケールの短周期変動におけるラドンと他の微量気体組成との比に着目し、アジア大陸の発生源の変化をより定量的に抽出するための解析手法の改良を検討する。
  • 【アジアの微量気体発生源の評価】発生源のより高解像度で精度の高い情報を得るために、4次元変分法(4D-Var)によるデータ同化システムを導入した逆解析手法について検証実験を継続し、その手法の改良と高度化を図る。

副課題3-2(海洋炭素循環解析)

  • 【水中グライダー運用試験】水中グライダーの構造や運用方法を習熟する。慣熟するため南伊豆で実海域試験を行うとともに、運用形態と電池消費速度の関係について検討する。
  • 【観測手法高度化】pH測定装置や全アルカリ度測定装置に使用している分光光度計の応答の線形性について実験で評価し、非線形領域で測定を行った場合の補正方法について検討する。
  • 【亜熱帯域トワイライトゾーン】亜熱帯域の表層および亜表層における全炭酸濃度・溶存酸素濃度・栄養塩濃度の季節変化・年々変化と、それらの海洋物理場との変化の関係について解明する。
  • 【モード水形成域】海洋表層や亜熱帯モード水など海洋内部の炭酸系パラメーターや溶存酸素濃度の変動を解析し、人為起源CO2の蓄積や気候変化による物理循環変化の影響を評価する。また、海洋内に蓄積された人為起源CO2が、海洋循環を経て表層に再出現する効果について、湧昇域等における全炭酸濃度増加などから考察する。

(副課題4)

  • 【全球化学輸送モデル】全球エーロゾル輸送モデル(MASINGAR-mk2)、全球化学気候モデル(MRI-CCM2)の改良を行うと共にモデル相互比較実験等に参画してモデルの性能評価、改良を行う。
  • 【領域化学輸送モデル】オフライン版領域化学輸送モデル(NHM-Chem)の改良を行うと共に、オンライン版の開発にも取り組み、プロトタイプを構築する。
  • 【データ同化】アンサンブルカルマンフィルタを用いた全球化学輸送モデル(エーロゾル、オゾン、CO2)の改良に取り組むと共に、NHM-Chemのデータ同化システムの構築に着手する。
  • 【応用研究】逆推定技術を用いた大気微量成分放出量推定技術の開発を行い、いくつかの微量物質に関する動作試験を実施する。

研究計画の詳細は以下のファイルをご覧ください。

地球環境監視・診断・予測技術高度化に関する研究_研究計画(PDF 399KB)



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