A2 顕著現象監視予測技術の高度化に関する研究
- 副課題１：診断的予測技術に関する研究
- 副課題２：監視・予測技術改善のための研究・開発
- 副課題３：次世代観測システム構築に向けた研究
期間
平成26年度～平成30年度（5年計画第2年度）
研究代表者
角村悟 気象衛星・観測システム研究部長
担当研究部
副課題1：予報研究部
副課題2：気象衛星・観測システム研究部、予報研究部、火山研究部
副課題3：気象衛星・観測システム研究部、予報研究部、台風研究部、火山研究部
目的
局地的大雨・集中豪雨や竜巻等の突風など甚大な災害に直結する顕著現象の監視予測技術の高度化により、国民の安心・安全への貢献を目指す。また、次世代の気象監視予測をになう観測システム構築に資する技術を開発する。
目標
現業観測や数値予報資料に基づく統計的研究および新しい観測測器による研究観測を総合的に活用し、顕著現象について、数時間程度の短時間の監視・予測技術の開発・向上を目指すとともに、降水の高分解能観測・水蒸気観測の開発およびひまわり８，９号による観測の利用等を元に、顕著現象の短時間の監視・予測に有効な観測システム構築に資する研究・開発を行う。
| （副課題1） | 数値予報や客観解析資料、さらに高解像度非静力学モデルを活用して豪雨発生および終焉要因について統計的に調査し、気象庁予報担当者の予報現業での診断的予測技術向上に資する知見・手法を得る。 |
| （副課題2） | 二重偏波レーダー、GPS 視線方向遅延量、高密度観測網等を用いて、顕著現象をもたらす積乱雲等のじょう乱の発生・発達にとり重要な要素である水蒸気・雨水・固体粒子といった水に関する高精度観測を行い、現象の時空間分布・発生機構の解明を行うとともに、顕著現象の検出・直前予測・短時間予報の改善に資する観測データ処理アルゴリズムを開発する。 |
| （副課題3） | フェーズドアレイレーダー・３次元雷センサ・水蒸気観測用ラマンライダー・衛星ラピッドスキャン等を用いて、激しい降水をもたらす積乱雲の微細構造を観測するための手法の開発、数値予報精度向上に資する水蒸気分布観測等最新技術の導入、および次期静止気象衛星観測の活用等様々な新しい観測技術の特性を把握するとともに、ＯＳＳＥなどの技術を用いて、それらの監視・予報精度向上への有効性について客観的に評価する技術を開発し、次世代観測システム構築に資する知見を得る。 |
平成27年度の目標
| （副課題1） | ① 引き続き、集中豪雨発生時、特に線状降水帯発生時の大気環境場の統計解析を行う。 ② 津口・加藤(2014)で抽出した集中豪雨事例について、非静力学モデルによるJRA-55からの力学的ダウンスケール実験を行い、さらに詳細な集中豪雨の発生要因についての解析を行う。 ③ 気象庁の予報業務研修での講義や各官署に出向き指導・教育することにより，予警報業務の課題やニーズを把握する。 |
| （副課題2） | ① 積乱雲の内部構造を観測し積乱雲および竜巻等突風・局地的大雨の解析を行う。さらに探知アルゴリズムとして、高速スキャンレーダーによる渦および降水コア検出のための要素技術の開発に着手する。 ② 雷詳細観測を行い、雷放電・発雷機構の解析をする。 ③ 衛星ラピッドスキャンデータの解析・処理ツール整備を進める。 ④ ドップラーライダーによる晴天ガストフロント検出アルゴリズム開発を念頭に、ドップラーライダー解析・処理ツール整備を進める。 ⑤ 副課題３－③の成果を用い、固体素子二重偏波レーダーによる関東地方の顕著現象の観測を行うとともに、H26年6月24日の東京の降雹などの過去の顕著現象の解析を行う。 ⑥ 副課題３－⑤の成果を用い、局地的な水蒸気の非一様の度合いと、豪雨や突風等の顕著気象との関係を調査する。 |
| （副課題3） | ① 可搬型ドップラーレーダーについて、セクタースキャンによる高速化・高PRFによる高分解能化、およびIQ取得機能付加を行い、可搬性を生かした観測を実施する。また、急発達する積乱雲および突風・局地的大雨等を最速10秒、100m以下の分解能で半径20-60kmの範囲を立体的に捉えることが可能なフェーズドアレイレーダーの取付調整および試験観測を行う。 ② 雷放電路３次元可視化機動ネットワークシステムの試験観測を行う。 ③ 二重偏波情報を用いた減衰補正手法の開発、竜巻検出・粒子判別アルゴリズムの開発、地形クラッタの位相を用いた下層水蒸気分布の推定アルゴリズムの開発を行う。 ④ 機動観測用水蒸気ラマンライダーを用いた試験観測を行い、観測精度などの評価を行う。 ⑤ リアルタイムで視線水蒸気量を解析する手法、海上での準リアルタイム水蒸気解析手法、反射波観測環境を評価する手法の開発を行う。 ⑥ ひまわり８,９号用の雲解析アルゴリズムOCAを気象研に移植し、気象研で開発した氷晶散乱データベースを用いた氷雲解析を開始する。エアロゾル・氷晶粒子モデルの散乱データベース構築を継続する。赤外サウンダデータから推定した火山灰物質情報をひまわり火山灰アルゴリズムに導入し、その効果を調べる。 ⑦ ひまわり8号の赤外輝度温度データの同化に向けて、晴天域で調査を始め、単純雲域同化も実装を始める。衛星搭載降水レーダーの同化に向けて、モデル・観測データの特性を引き続き調査し、その結果に基づいて品質管理処理・観測誤差設定を行う。 ⑧ 顕著現象の予測や実況監視などに最適な可搬型観測装置を選択するための手順を検討する。また、得られる観測データを想定した観測システムシミュレーション実験についてのアルゴリズムを調査・検討する。 |
研究計画の詳細は以下のファイルをご覧ください。
顕著現象監視予測技術の高度化に関する研究_研究計画（PDF 398KB）