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気象研究所研究開発課題評価報告

台風の進路予報・強度解析の精度向上に資する研究

中間評価

評価年月日:平成28年9月27日
  • 副課題名1 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究
  • 副課題名2 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究

研究代表者

高野 功(台風研究部 部長)

研究期間

平成26年度~平成30年度

中間評価の総合所見

pdfファイル:199KB

研究の動機・背景

自然災害による被害の中でも台風災害は大きな割合を占めており、その軽減のため、台風に関する防災気象情報の精度向上が求められている。気象研究所は、気象庁業務である台風の進路予報や強度解析の精度向上に資するための研究を行うことにより、社会の要請に応える必要がある。

(副課題1) 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究

台風進路に関する理論的研究は成熟しつつあるものの、気象庁現業における台風進路予報には改善の余地が残されている。特に熱帯海洋上の現場観測データは非常に少ないことから、大気解析・予報システムにおける気象衛星観測データの利用促進、データ同化手法の高度化と大気物理過程の精緻化は、台風の解析・予報精度を改善する上で重要な研究項目である。

(副課題2) 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究

台風強度に関する研究においては、気象衛星データによる強度推定には誤差が含まれていることが古くから知られている。その改善には台風発達過程を考慮する必要があるものの、特に台風の急発達過程は未解明であり、このことが台風強度推定に加え、強度予報の活路が見出せない原因となっている。台風の構造変化と台風強度変化の関わりや急発達過程における物理過程の果たす役割の解明は、強度推定及び強度予測の精度向上において鍵となる。

研究の成果の到達目標

(副課題名1) 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究

全球解析・予報システムと領域解析・予報システムを用いて、台風進路予報の精度向上に資する研究を行う。

1-a)

雲降水域での衛星データ、特に、ひまわり8号のデータを全球大気データ同化システムへ導入する。初期場の改善により台風進路予報の改善を図る。次世代につながる新しいデータ同化手法の開発に着手する。

1-b)

気候モデルで効果のあった積雲対流スキームを全球モデルに導入する。その他の物理過程についても、気候モデルで効果のあったスキームを導入する。それらにより、台風進路予報の改善を図る。

1-c)

台風進路予報のため、領域非静力データ同化システムを開発する。雲降水域の衛星リモセンデータを領域非静力データ同化システムへ導入する手法を開発する。初期場の改善より台風進路予報の改善を図る。

1-d)

台風進路予報誤差が大きかった事例等について、TIGGEデータや特別観測プロジェクト等のデータを用い、誤差要因とその改善方策に関する知見を得る。

(副課題名2) 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究

台風の強度・構造変化の予報の改善に必要な、台風強度推定の精度向上、急発達・構造変化過程の解明、及び台風強度等の予測可能性に関する研究を行う。

2-a)

台風強度推定手法の改善: 衛星観測データによる既存の台風強度推定法の検証に現業ドップラーレーダーデータを活用すると共に、検証結果を元に推定手法を改良し、その精度向上を図る。

2-b)

プロセス解明・予測可能性の検討:台風の急発達・構造変化過程について、観測データ解析及び数値シミュレーションを用いてプロセスを解明するとともに、モデルパラメータ設定や物理過程の影響を調べることにより、強度予報の精度向上に資する知見を得る。

2-a)

顕著事例解析:日本に大きな影響を与えた台風事例について、観測データ解析・数値シミュレーションにより強雨・強風構造のメカニズム解明を行う。

1.研究の現状

(1)進捗状況
(副課題名1) 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究
  • 全球大気データ同化システムの診断のため、観測データのインパクト評価ツール(FSO)を開発し、本庁数値予報課へ移植した。誤差共分散行列の診断を行い、その結果得られた観測誤差相関を考慮する方法を開発した。
  • 気象庁の全球モデルを気象研究所に移植し、研究所で開発した積雲対流スキームなどの物理過程スキームを組み込んだ。台風を対象に性能評価を行い、台風進路予測等について良好な結果を得た。
  • アンサンブルを用いた変分法的同化法用のプログラムを開発し、予報解析サイクルを構築した。このシステムでマイクロ波放射計データを同化したところ、台風進路や降水分布の予想に改善が見られた。
  • 海外の気象センターの予測結果を含む複数の予測結果を用いて作成する決定論的台風進路予測(コンセンサス予測)の現業利用での有効性を示した。衛星画像の解析から得られる強度指数と全球アンサンブル予報を組み合わせて、2日先の台風発生予報を実現する研究に取り組んでいる。
(副課題名2) 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究
  • 強度推定手法の改善については、マイクロ波探査計や放射計を用いた手法を開発し、雲パターンに基づく推定と組み合わせた最適推定法の精度検証・本庁導入を行った。
  • 現業ドップラーレーダーデータを利用した台風強度推定システムを開発し、本庁に導入した。またドップラーレーダーデータを利用して、2015年台風第15号の急発達に伴う構造変化を明らかにした。この解析結果の一部は報道発表を行った。
  • プロセス解明・予測可能性調査については、上記衛星・ドップラーレーダーデータや、数値予報モデルを用いて進めており、台風の強度・構造変化プロセスに関する知見が得られた。
  • 強度予報ガイダンスを開発して本庁に導入し、検証・改良を行っている。
(2)これまで得られた成果の概要
(副課題名1) 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究
1-a) 全球大気データ同化システム開発
  • 赤外ハイパーサウンダAIRSの輝度温度データを用い、完全晴天域、及び下層雲より上の晴天域を対象とした温度・水蒸気の1次元変分法(1DVAR)計算を幾つかの観測事例について実施した。1DVARで得られた飽和湿度領域の高度がCloudSAT/CALIPSOデータによる近傍の氷雲高度によく対応していることが確認でき、1DVARによる温度・水蒸気推定が有効であることを示した。
  • 気象衛星センターがEUMETSATと共同で開発した雲解析アルゴリズム(OCA)を気象研で実行する計算環境を整備した。8月の台風事例におけるひまわり8号実データと全球客観解析値を用いたOCA試験計算を実施して、台風域の雲の光学的厚さ・雲頂・雲粒子の粒径を推定し、その時間変化を調べた。またひまわり8号水蒸気チャンネルを用いた水蒸気推定の評価実験を行うため、水蒸気チャンネルのヤコビアン計算をOCAプログラムに組み込んだ。
  • 全球同化実験システムを使って、赤外ハイパーサウンダAIRSデータの予報誤差感度の観測誤差依存性や他観測データとの関連性について調査を行った。1か月の実験の結果、統計的に予報誤差を改善する観測誤差依存性や他データとの関連性の特定には至らなかった。全球モデルの更新に対応して環境整備を開始した。
  • ひまわり8/9チャンネルに対応した放射計算コードとして、衛星センター開発中の雲解析アルゴリズム(OCA)の利用を検討した。OCAコードのプロトタイプを気象研に移植し、ひまわり水蒸気チャンネル(6.2, 6.9, 7.3μm)、及び水蒸気に弱い感度のある窓チャンネル(8.6μm)を用いた水蒸気1DVARコードの開発を開始した。
  • アンサンブルを用いた4次元変分法(4DVAR)を、気象庁現業システム(MRI-NAPEX)をベースに構築した。従来の4DVARと比較しながら、モード数とコストの収束の関係、背景誤差構造等の解析を行った。理論面では、統一的な定式化、非一様局所化手法、弱拘束との関係を明らかにした。気象庁全球週間アンサンブル予報モデルの摂動を用いてMRI-NAPEXで予報を実行し、その誤差相関構造を調査した。その結果、変数や高度によって水平、鉛直、時間相関のスケールが異なることがわかった。
  • アンサンブルを用いた4次元変分法(4DVAR)導入のため、基軸システムである気象庁現業システム(MRI-NAPEX)を気象研究所の新計算機上に構築した。現業高解像度版に加え、効率的な研究実施のため水平低解像度システムを構築した。MRI-NAPEX移植に際して問題になったFortranプログラムの計算機環境依存等は数値予報課と情報共有した。次に、MRI-NAPEXをベースに構築したシステムを気象研究所の新計算機に移植した。水平解像度をこれまでの55kmから20kmに高解像度化した。局所化関数のモード数は高解像度化に対して敏感ではないことがわかった。
  • アンサンブルカルマンスムーザーを、気象庁現業システム(MRI-NAPEX)をベースに構築している。アンサンブル生成のための計算量は、アンサンブルを用いた4DVARよりアンサンブルカルマンスムーザの方が小さいことを確認した。MRI-NAPEXをベースに構築したシステムを気象研究所の新計算機に移植した。水平解像度をこれまでの55kmから20kmに高解像度化した。
  • アンサンブル生成のためのデータ同化と決定論的なデータ同化をともに変分法同化で統一的に行う同化システムを開発した。一か月間の解析、予報サイクル実験をMRI-NAPEX上で実施し、従来の4DVARに比べ、解析、予報精度が向上するという結果を得た。統一により開発や運用資源を一つのシステムに集中できることは、現業システムを考える場合にも大きな利点である。
  • 観測データのインパクト評価のため、最新の気象庁現業システムにインパクト評価スキーム(Forecast Sensitivity to Observations: FSO)を移植し評価を行った。2010年以降の5世代の同化システムについてのFSOを比較し、GPS掩蔽観測、赤外干渉計データが重要な観測となっていることを示した。また、観測システムシミュレーション実験(OSSE) として、3種類のOSSE手法を構築し、既存、仮想(将来)観測の解析、予報精度への影響を評価した。輝度温度やラジオゾンデのインパクトは、定性的には3つの手法で良く一致した評価結果が得られるが、定量的には観測誤差等のパラメータの調整やアンサンブルスプレッドの過小性の考慮が必要であることがわかった。
  • FSOを気象研究所の新計算機に移植した。水平解像度をこれまでの55kmから20kmに高解像度化した。高解像度化したシステムで、2014年8月と夏と2015年1月の一か月ずつの評価を行い、評価ノルムへの依存性(乾燥及び湿潤トータルエネルギー)、観測領域、観測時刻依存性などを明らかにした。評価結果については、数値予報課データグループ会合、予報部観測部との懇談会、推本データ利活用G、施設等機関報告会等で共有した。ECMWFとの比較等から、気象庁システムでは水蒸気に感度をもった輝度温度データの利用等に、改善の余地があることが改めて示された。
  • 上記インパクト評価で明らかになった問題点の改善のため、誤差共分散行列の診断を行い、観測誤差相関の水平及びチャンネル間相関距離を計算した。チャンネル相関については、気温に感度を持つ輝度温度観測については、概ね無相関の仮定が成り立っているが、水蒸気に感度をもつ観測については、成り立っていないことがわかった。また、水平相関については、50km程度で無相関とみなせるという結果が得られた。これを受けて間引き距離を現行の250kmから変更した解析予報サイクル実験を複数の設定で行い、現行密度の4倍程度のデータ利用までは概ね解析、予報精度が向上する結果が得られた。
  • 同化システムの中で観測誤差相関を考慮する方法として、観測誤差共分散行列の非対角項を顕に導入する方法と、特殊なアンサンブルを使うことで相関を考慮する方法を検討した。後者については解析予報サイクル実験を行い、良好な精度が得られることがわかった。
  • 数値予報システムの精度評価において、評価結果が仮定した真値(観測データや解析場)に依存することが従来から広く問題となっている。これについて、対初期値検証が誤った結果に帰する条件の考察と、ラジオゾンデだけでなくすべての直接観測データを用いた検証ツールやERA-INTERIMを用いた検証ツールの開発を行った。
  • 観測システムシミュレーション実験(OSSE)のための同化システムを気象研究所の新計算機に移植した。
  • 衛星搭載風ライダーのOSSEの実施に向けて、簡易な品質管理処理を開発し現業同化システムに組み込み、同化実験を行った。同化実験結果の検証やデータ品質調査により、ライダーシミュレーションデータの問題などが明らかになってきた。
  • アンサンブルデータ同化、及び予測における信頼度を評価するために、観測に対するアンサンブル平均の平均二乗誤差の寄与を、バイアス、アンサンブルスプレッド、観測誤差、残差の影響に分割した。データ同化のように予測時間が短い期間で信頼度を評価する場合、観測誤差の情報を適切に取り込むこと、また信頼度を改善するためにはモデルに起因する誤差成長を考慮することが重要であると分かった。
1-b) 全球モデル物理過程改良
  • Yoshimura et al. (2015)の対流スキームとTiedtke雲スキームを使用したNAPEX実験を行い、台風進路予測について現行モデルと比較して良好な結果が得られた。気温バイアスは改善と改悪の両方が見られ、熱帯域の下層の低温バイアスは改善された。
    地球シミュレータにおける7km解像度台風予測実験で、場合により発現する台風の過発達は、雲スキームでの降水蒸発の上限値を廃止することにより軽減されることを確認した。(一部の成果は、JAMSTEC「地球シミュレータ特別推進課題 複数の次世代非静力学全球モデルを用いた高解像度台風予測実験」関連)
  • 気象研究所地球システムモデルの境界層過程に、乱流エネルギー予報式とアップドラフトモデルのオプション、及び地表面過程に2種類のオプションを開発・導入し、長年の問題であった地表面付近の湿潤バイアス、900hPa付近の乾燥バイアスが低減することを確認した(一部の成果は、重点課題C1-1関連)。
1-c) 領域大気データ同化システム開発
  • アンサンブルの各メンバーの解析値を計算するプログラムを開発し、アンサンブルを用いた変分法的同化法の予報解析サイクルを構築した。台風0404号事例等について、本同化法によるマイクロ波放射計データのOSSEを行なった。その結果、本同化法によって、台風0404号周辺の降水予報が6時間以上向上することが分かった。
  • アンサンブルに基づく変分法的同化法プログラムに、全球週間アンサンブル予報の摂動を取り入れる改良を行なった。また、2014年台風第11号事例等について、本同化法によるTRMM及びGPMマイクロ波放射計輝度温度データの同化実験を行なった。その結果、台風周辺の降水や海上風速予報に対して24時間以上のインパクトがあることが分かった。(一部の成果は、A1-2と「文部科学省:HPCI(次世代スーパーコンピュータ)戦略プログラム(分野3)防災・減災に資する地球変動予測 超高精度メソスケール気象予測の実証」関連)
  • 気象庁非静力モデルに基づく局所アンサンブル変換カルマンフィルター(NHM-LETKF)に,台風の中心気圧、位置データを直接同化する手法を組み込んだ。台風の中心気圧を地上気圧観測データとみなして同化する従来手法に比べ、データ同化によるインバランスが軽減された。さらに,台風の強風半径情報を同化する手法を新規に開発し、2011年台風第12号の事例に応用し、進路予報に正のインパクトがあることを確認した。
  • NHM-LETKFに1次元海洋モデルを組み込み、2014年台風第11号について事例解析を実施した。海洋混合層スキームのパラメータを調整することにより、海面水温予報値のバイアスが軽減し、海面水温予報値を次の解析に使用することが可能となった。このように海面水温予報値を引き継ぐことにより、台風強度変化がベストトラックと整合するようになった。またNHM-LETKFに海洋層モデル・波浪モデルを組み込み、2008年台風第13号について事例解析を実施した。波浪結合の効果は台風強度変化に現れたのに対し、海洋結合が台風強度解析に与える効果は、海面水温初期値を引き継がない場合は小さく、海面水温予報値を引き継ぐことにより、強度を弱めるように作用することがわかった。さらにLETKF部にて海面水温を制御化するように変更し、AMSREのGDS2.0 L2Pプロダクト(バージョンv7a)を用いて、海面水温制御化が台風解析に与える効果について調査した。海面水温を制御下することにより、海面水温解析場は台風による海面水温低下域を良好にとらえ、また解析された台風中心気圧変化は、気象庁ベストトラックにより近づいた。
  • マイクロ波放射計データから、非降水を仮定し、海上風速、海面温度、可降水量、凝結水量、及び降水域の推定プログラムを開発した。また、このプログラムを応用して、マイクロ波放射計データから、雲降水の有無を判定するアルゴリズムの開発を始めた。
  • マイクロ波放射計データの前方計算値の精度を上げるため、TRMMの観測データと、GANALの地表面気温、可降水量、海上風速などの統計的な比較を行なった。その結果、陸上の輝度温度の計算値に地表面気温に依存したバイアスがあること、海上の輝度温度の計算値に可降水量に依存したバイアスがあることが分かった。
  • アンサンブルを用いた変分法的同化システムにおいて、衛星シミュレータ(Joint-simulator)を実行できるよう改良した。これにより、衛星搭載降水レーダーの同化が可能となった。JMA-NHMとJoint-Simulatorを用いて計算した反射因子と、衛星搭載レーダーGMP-Core/DPRの観測データを比較したところ、JMA-NHMは大粒子の氷を過剰に生成し、氷散乱による反射因子が過度に強くなっていることが分かった。
  • アンサンブル変分法同化システムに、反射因子データを品質管理する処理を導入した。201年台風第11号に対して、DPR反射因子データとマイクロ波放射計GMI輝度温度を直接同化したところ、輝度温度データは水蒸気場などを広域で修正する一方で、輝度温度データは台風中心付近の降水場を詳細に修正すること、それぞれ個別に同化するよりも両者を同化した場合に最も進路予報誤差が減少することが分かった。
1-d) TIGGEデータ等を用いた予測可能性研究
  • 海外の気象センターの予測結果を含む複数の予測結果を用いて作成する決定論的台風進路予測(コンセンサス予測)の現業利用での有効性を示した。研究成果を受け、2015年の台風シーズンから気象庁の現業予報においてコンセンサス予報が積極的に使用されるようになり、結果として、1日先から5日先までのすべての発表予報がこれまでで最も高い精度となった。
  • 現業の全球中期アンサンブル(TIGGE)による熱帯低気圧の発生とその後の進路予報(併せて活動予報と呼ぶ)の利用可能性、及びマルチセンターグランドアンサンブル予報の有効性を調査した。結果、2週目の予報においても気候学的予報に対してアンサンブル予報が有効であること、及びマルチセンターグランドアンサンブル予報は最も精度の良かった単独のアンサンブル予報よりも精度が良いことが分かった。一方、予報精度はアンサンブル予報結果から熱帯低気圧を定義する際の風速の強さに敏感であること、また気象庁のアンサンブル予報では、予報後半予報頻度が減少するというバイアスが顕著であることが分かった。研究成果を受け、2016年度より台風活動予報プロダクトの台風委員会メンバー国への提供を開始した。
  • 早期ドボラック解析と現業の全球中期アンサンブル(TIGGE)を用いた2日先の台風発生予測の利用可能性を調査した。早期ドボラック解析でT数=1と解析された熱帯擾乱は、2日以内におよそ56%の確率で台風となるが、全球アンサンブルがその熱帯擾乱を予測してれば発生確率は約80%になるなど、早期ドボラック解析に加えて現業の全球中期アンサンブル(TIGGE)を用いることで的中率を高められることが分かった。
  • 気象庁の台風進路予報誤差が他の数値予報センター(たとえば、ECWMFやNCEP)と比べて極端に大きかった、2013年の台風第3号に着目し、初期値・モデル代替実験を行った。初期値には、気象庁、ECMWF、ALERA、モデルには、気象庁GSM、NICAM、ALERAを用いた。結果、どのモデルを用いても、気象庁の初期値から予報を行った場合、実際の進路よりも西寄りの予測となり、ECMWFの初期値を用いると予報誤差が緩和されることが分かった。
  • Yamaguchi et al. (2012)では、気象庁全球モデルとECMWFの初期値を用いた台風進路予測実験を行った。これに倣って、中国気象局の全球モデル(GRAPES)を用いて初期値代替実験を行った。台風周辺の高度場と風の場だけをECMWFの初期値に変えるだけでも進路予測が大幅に改善することが分かった。
  • 海外の気象機関を含め、台風進路予測において北上バイアスが顕著であった2014年7月31日00UTC初期値の台風第11号に注目し、TIGGEデータを用いて台風の環境場や台風自体の構造に関して解析を行った。台風第11号は、鉛直シアが比較的大きい環境場にありながら急発達をしていた。アンサンブル内で北上バイアスが特に顕著だったメンバーは、暖気核構造が弱く、背の低い鉛直構造の特性を持っていた。鉛直シア下で急発達する台風は、数値モデルの中で鉛直シアに対抗して背の高い台風構造をモデルが表現できない場合、より下層の指向流の影響を受け誤差の大きい進路予報となる可能性があることが分かった。
(副課題名2) 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究
2-a) 強度推定手法の改善
  • TMI輝度温度データによる台風強度推定法の応用として、SSMIS輝度温度データによる台風強度推定法を開発した。741個のパラメータを主成分分析してそのスコアを説明変数、ベストトラック最大風速を被説明変数とする回帰式を作成することにより、独立資料で6.3m/s程度の推定精度が得られた。
  • 気象庁ベストトラックデータを用いて、台風急発達の出現に関する統計調査を行い、出現特性に季節依存性があることが分かった。また、TMI輝度温度データを用いた台風強度推定法で利用したクラスター分析の結果を用いて、各パターンについての急発達出現の特徴を調べ、急発達が発現する可能性のあるパターンと発現しないパターンがあることが分かった。
  • 台風強度推定・予測の検証資料となる気象庁ベストトラックデータへの影響が大きい気象庁のドボラック解析について調査を行った。1980年代の航空機観測と再解析CI数の比較から、現在使用されているCI数と台風中心気圧の関係式は妥当であることが示された。ただし近年のベストトラックデータにおいても解析はその関係式に忠実に行われており、結果的に特に強い台風の解析が行われにくくなっている可能性も指摘された。
  • TMIデータを用いた台風強度推定法で使用した輝度温度パターン分類を用いて、沖縄近海の台風の構造の調査を行った。この海域では眼の小さい典型的な構造の台風は9月を除いて少なく、全期間を通して比較的眼の大きな台風が多いこと、また8月には活発な対流域が進行方向の後方にのみ偏った事例が多いことがわかった。それらの構造変化にはアジア大陸の影響を受けた環境場の差異が寄与していることが明らかになり、またこの構造変化によりこの海域の台風の強度が弱まる傾向があることが示唆された。
  • AMSUよりも空間解像度が高いATMSを用いた台風中心気圧推定手法の開発を行い、2012~2014年の台風事例を用いてプロトタイプを作成した。独立事例(2015年台風第1号~25号)に対する評価を行った結果、AMSU推定よりも対ベストトラックRMSEが小さくなる傾向、強い台風については過小推定が改善する傾向などが確認された。
  • 衛星観測を用いた強度推定値をより効果的に利用するため、ドボラック法及びAMSUによる台風中心気圧推定値からコンセンサス(最適推定値)を導出する手法の開発を行った。独立事例(2012~2014年)を用いた検証の結果、発達ステージを示す台風の雲パターン毎に求めた中心気圧推定誤差(対ベストトラック誤差(RMSE))に基づく重みを用いた手法を採用することにより、ドボラック法単独による推定よりも推定誤差が減少することがわかった。
  • SSMISによる2007~2011年の輝度温度パターンの主成分分析を用いた台風強度推定法の特性調査を行った。強度推定に用いた第6主成分までのうち、第1主成分は台風の眼の壁雲やインナーコアバンドの発達に対応し、第2主成分は台風の水平スケールの大小に対応していること、また非対称性も第5主成分などで一部は表現されていることなど、それぞれ台風の構造の特徴を反映していることがわかった。
  • 現業ドップラーレーダーのドップラー速度データのノイズ除去法、折り返し補正法の改善を行いつつ、ドップラー速度を用いた台風強度推定システムを開発した。このシステムで、2006年から2014年までに日本に接近した台風ののべ28事例で強度推定を行った結果、従来のドボラック法やAMSUによる推定手法と同程度かそれ以上の精度で強度推定できることがわかった。特にこの手法では、最大風速半径が20-70kmの台風に対して推定精度が著しく良い(RMSEで5.55hPa)ことがわかった。このシステムは本庁予報部に導入され、現在は試験的に準リアルタイムで動作しており、実利用に向けた検証が行われている。
2-b) プロセス解明・予測可能性検討
  • MTSATラピッドスキャンデータを使って、画像間隔を5、10、及び15分として算出した台風内の上層AMV(上層赤外風、水蒸気風)を、ゾンデ風を用いて検証した。AMV算出に使用するMTSAT画像の時間間隔が短いほど算出数は増える一方ベクトル差は増加傾向にあること、上層AMVが対流圏界面直下付近の風の場を反映していること等が分かった。また、上層AMVを用いていくつかの台風事例(T1324等)の上層の風の場の特徴を調査し、急発達していた時間帯に、台風中心近傍の対流強化に伴って上層接線風速と動径風速が急激に増大していたことが確認された。
  • ひまわり8号のターゲット領域観測データを用いて算出した上層AMV(5分間隔の画像から算出)の風速、高度等について、MTSATデータを用いて算出した上層AMV(15分間隔の画像から算出)のものと比較した。2015年台風第7号に関して調査した結果、ひまわり8号の上層AMVの方が、僅かに風速が強く算出高度範囲が広い傾向などの特性の違いを確認した。
  • MTSATの上層AMVから求めた台風上層の最大接線風速から地上最大風速を診断する可能性を調査した。2011~2014年の計27個の台風事例を用いた調査から、上層最大接線風速とベストトラック地上最大風速の間には高い相関(約0.73)があること、上層AMVから求めた上層アウトフローの強さと台風発達率との間には正の相関(約0.55)があることなどがわかった。また、ひまわり8号のターゲット領域観測データを用いて算出した上層最大接線風速・動径風速は、MTSATから求めたものと整合していることがわかった。
  • 三重眼構造となった2012年台風第15号について、現業ドップラーレーダーのドップラー速度からリトリーブした風速場を利用して、眼の壁雲付近に存在する渦ロスビー波の解析を行うとともに、台風のトロコイダル運動と環境場の鉛直シアーに伴って台風渦の鉛直傾きの向きや眼の壁雲の非対称性が変化している可能性を指摘した。
  • 環境場と台風の内部構造との関係や構造変化過程を明らかにするために、2015年台風第6号について、地上観測及びレーダーデータを使用して、強度及び内部構造の解析を行った。先島諸島で台風が再発達した証拠を示すとともに、その際に強い鉛直シアー(10m/s以上)の状況下において、波数1に相当するメソ渦に伴って鉛直シアー上流側でも降雨帯が発達していたこと、さらにその降雨帯の通過と台風の速い移動速度(~20m/s)に伴って下地島で著しい暴風(最大瞬間風速58.6m/s)が吹いた可能性があることを明らかにした。
  • 気象研究所非静力学大気モデルに局所アンサンブル変換カルマンフィルターを適用した大気データ同化システム(NHM-LETKF)を台風研究に活用できるよう、気象研究所計算機システムに同化システムを構築し、実際の台風事例(2008年台風第13号及び2009年台風第14号)に適用した。また非静力学大気波浪海洋結合モデルを用いて2013年台風第30号の数値シミュレーションを実施した。水平解像度2.5kmのモデルを用いて最大強度を再現するためには、非静力学大気モデルにおける乱流熱フラックススキームでは不十分であること、Bao(2000)の海面飛沫のスキームを導入することにより、現実的な最大強度を再現することができることが明らかとなった。
  • 2012年と2013年の台風のうち急発達をした事例を選び、気象研究所非静力学大気モデルを用いて数値実験を実施した。水平解像度を5㎞と3㎞と変えて実験した場合、3㎞を用いることで発達率は大きくなった。しかし、ベストトラックで見られたような急発達過程を再現するには至らない事例がほとんどであった。要因の1つとして、数値モデルは台風の眼を大きく再現してしまうために中心気圧が下がらないことがあり、これまでに海面摩擦や境界層過程の物理スキームの変更では改善できていないことから、初期値での適切な表現またはスピンアップが重要であることを示した。
  • 2013年台風第30号の数値シミュレーションを行い、海洋表層における貯熱量(TCHP)が60kJ/cm2を超える海域では熱帯低気圧は強化しやすいこと、熱帯低気圧直下でのTCHPの値は熱帯低気圧の最大強度に影響を与えていたことが明らかとなった。
  • 2014年台風第19号について、水平解像度を変えてアンサンブル実験を行い、台風発達率・サイズに対する水平解像度依存性を調査した。解像度を3㎞まで上げた場合、発達率は大きくなり、また最大風速半径の収縮や風速15m/s半径の拡大に有意な変化が見られた。また、メンバー間のばらつき要因を調べると、解像度2kmの場合は初期の最大風速半径の影響が予報後半まで残り、解像度10kmの場合は初期の水蒸気場に対する感度が5kmより高解像度のものと異なることが分かった。
  • 先島諸島通過時に急発達した2015年台風第15号について、ドップラーレーダーデータによる詳細な構造変化解析を行った。急発達開始前後には、対流圏下層のみで最大風速半径の急収縮が起きていた。壁雲付近とその外側の境界層直上ではアウトフローが卓越しており、それに伴って接線風の強い領域が収縮していた。急発達が進行すると、壁雲のすぐ外側の対流圏下層のアウトフローがインフローに変わり、接線風の強い領域が次第に外側に拡大した。その後、新たな第二壁雲の形成が見られた。
  • 台風急発達過程がドップラーレーダーで捉えられた2015年台風第15号について、水平解像度2㎞、1㎞、0.5㎞及び境界層スキーム、海面フラックスを変えた数値実験を実施した。これらの感度実験から、海面フラックスが強度及び強度変化に最も影響が大きく、現業MSMで使用されているBeljaars and HoltslagからCOAREversion3に変更することで、観測で見られた強度に達することが分かった。1kmより低い解像度では、気圧低下を十分に再現できないものの、最大風速半径の収縮と風速の増加はある程度再現されていることがわかった。0.5km解像度では、衛星観測で見られたような多重壁雲を捉え、それが消滅すると外側壁雲の収縮が始まることがわかった。
  • SHIPS(台風強度を予報する統計力学モデルの一つ)開発者の協力のもとSHIPSコードを移植し、気象庁現業全球モデル(GSM)の予報値を用いて最大風速及び中心気圧を予報するSHIPSを開発した。中心気圧を予報するSHIPSの開発は初めての試みであり、新しい変数を導入することで精度の改善を図った。このSHIPSを本庁予報課に納品した。
  • 米国の開発者から提供いただいたベースコードを利用して、GSM予報値や静止気象衛星を用いて台風が24時間以内に急発達(RI)する確率(RIインデックス)を算出するシステムを開発し、本庁予報課に納品した。
  • SHIPSに衛星データを効果的に組み込むことでその精度改善を図ることを目的に、GSMaPデータを使用して、台風の強度変化と関連のある物理パラメータを調べた。その結果、台風の軸対称度が大きいほど、24時間先までの強度変化量が大きいという関係が見出された。
  • 軸対称モデル(CHIPS)を用いた台風強度予報実験を5年分行い、気象庁の発表予報や予報部の現行の統計ガイダンスと比較した。CHIPSは台風事例によっては急発達をよく表現できるものの、RMSEも大きくなることが分かった。また、GSM、統計ガイダンス、CHIPSの単純平均した強度予報は発表予報よりもRMSEが小さくなることが分かった。
    LGEM(台風強度を予報する統計力学モデルの一つ)の開発にあたり、予報方程式中の成長項の比例係数(κ)の導出にはSHIPSの説明変数を利用する手法での導入を目指すこととした。中心気圧の予測についても中心気圧の可能最大強度(MPI)の経験式を、JRA55の海面水温データと気象庁ベストトラックデータを用いて最大風速のMPIと同様の手法で作成して実行可能とした。2013年~2015年までの3年間の北太平洋領域の台風に対して統計検証を実施したところ、中心気圧のRMSEは2日予報でおよそ16hPa、5日予報ではおよそ22hPaであった。
  • 台風周辺の解析場の向上のため、ひまわり8号のターゲット領域観測によるAMVデータを全球データ同化した。単発の事例で台風ボーガスの代わりに同化したところ、台風強度予測を改善する結果が得られた。
2-c) 顕著台風事例解析
  • 沖縄本島に強い強度での接近が予想され特別警報が発表された2014年台風第8号について、衛星及びドップラーレーダーにより強度推定を行った。AMSUとTMIによる推定では、台風の発達のピークは南西諸島接近の1日程度前であったことが示された。一方、ドップラーレーダーの解析では、台風が久米島付近を通過した後にやや再発達した可能性が示唆された。また南西諸島通過時の非対称構造と南側の大雨について、客観解析値等を用いて解析を行い、チベット高気圧に伴う沈降の影響で台風の非対称性が大きくなっていたことを示した。
  • 2014年の台風第8号等について、非静力学大気モデルによる再現実験を実施した。海面水温に対する感度実験を行い、水平解像度が粗いほど感度が大きいことを示した。また、初期値を気象庁全球客観解析とメソ解析と変更した数値実験を実施した結果、台風の発達が初期場に強く依存する事例がみられた。
  • 2016年の台風10号について、現業MSMと同じ予報領域で再現実験を実施したところ、過発達傾向であった。そこで、現業で使用されている海面水温解析値(MGDSST)よりも水温低下を捉えている高解像度の海面水温解析値(HIMSST)を用いて再現実験を行った。実験結果は大きくて5hPaの過発達を抑える程度であった。この事例では、海面水温データの入れ替えのみでは台風による海面水温低下の効果を十分に表現できていないことが分かった。
  • 石垣島に顕著な最大瞬間風速(71.0 m s-1)をもたらした2015年台風第15号について、現業ドップラーレーダー及び極軌道衛星搭載マイクロ波放射計データを使用して、台風の構造・風速場の解析及び台風強度推定を行った。その結果、台風は先島諸島を通過した前後の17時間に約30hPaの中心気圧低下が起きていたことが示唆され、またその急発達直前には壁雲交換が起きていたことがわかった。このことについて、2015年9月29日に報道発表を行った。
  • 平成27年9月関東・東北豪雨に関連する2個の台風とその周辺の場の解析を行った。日本海で温帯低気圧化した台風第18号と東海上の台風第17号の影響により上層のトラフ・リッジの振幅が増大するとともに東日本上空で北向きジェットが強まったこと、中層で低相当温位・高渦位空気が流入したことにより東日本上空で大気が不安定化したことなどがわかった。
(3)当初計画からの変更点(研究手法の変更点等)

近年国際的には、5日先強度予報や数日先の台風発生予報を導入する諸国が増えつつあり、台風予測情報の高度化の動きが著しい。当庁が引き続き、RSMCとして我が国を含む北西太平洋域の台風災害の防止・軽減に引き続き主導的な役割を果たすためには、台風予報のさらなる改善が不可欠である。このような背景から、平成27年9月、本庁予報部及び気象研究所台風研究部は、台風予報・解析技術高度化プロジェクトチームを設置し、平成31年度までを目途として以下の5つの任務を遂行することとした。それにより、既存の副課題1-dにおいて、台風発生予測ガイダンスの開発および進路予報ガイダンスの高度化に関する開発を追加し、副課題2-bにおいて、5日先台風強度予報ガイダンスの開発を追加した。

  • 5日先台風強度予報ガイダンスの開発・現業導入
  • 台風発生予測ガイダンスの開発・提供等
  • 台風解析技術の高度化
  • 進路予報ガイダンスの高度化
  • 台風予報作業手順の改善等
(4)成果の他の研究への波及状況
  • 文部科学省:HPCI(次世代スーパーコンピュータ)戦略プログラム(分野3)防災・減災に資する地球変動予測 超高精度メソスケール気象予測の実証」の琉球大学伊藤耕介助教の研究で、領域大気データ同化システム開発のアンサンブルを用いた変分法的同化法で開発した、周囲のアンサンブルを使う手法が利用されている。(副課題1-c関連)
  • インパクト評価システム(Forecast Sensitivity to Observations: FSO)の水平解像度をこれまでの55kmから20kmに高解像度化した。この高解像度化したシステムの結果については、数値予報課データグループ会合、予報部観測部との懇談会、推本データ利活用G、施設等機関報告会等で共有した。同システムの本庁計算機システムへの移植を行った(数値予報課担当者)。WMO主催の観測データの数値予報へのインパクト評価のワークショップ(2016年5月上海)で主要数値予報センターや研究機関間の相互比較プロジェクトが実施され、本システムも参加している。(副課題1-a関連)
  • 本課題で開発されたNHM-LETKFをベースとした大気海洋結合同化システムは、科学研究費補助金若手研究B「大気海洋結合データ同化手法を用いた台風予測可能性の解明」及び科学研究費補助金基盤研究C「台風強度予測精度向上のための台風強化停止プロセスの解明」で活用されている。(副課題1-c関連)
  • 予報部で作成中の平成27年度数値予報課別冊報告で、台風の活動予報の精度に関して執筆した。(副課題1-d関連)
  • 平成28年度より全球アンサンブル予報による台風発生予測プロダクトを台風委員会メンバー国へ提供する計画である。(副課題1-d関連)
  • 副課題1-aで構築、運用しているMRI-NAPEXは、気象研究所で実施している他の研究課題(大気海洋結合同化システムの開発(c6))等でも基盤システムとなっている。
  • 観測部・予報部と気象研究所との研究懇談会において要望のあった「大気・海洋環境場の影響を受けた台風の強度・構造変化に関する研究」において、海洋環境場として海水温26℃以上の海水がもつ熱容量(Tropical Cyclone Heat Potential: TCHP)に着目し、5日平均TCHPと台風の発達率(気圧変化量で定義)との関係を調査し、RSMC技術報告書、量的予報技術資料、査読論文誌にまとめた。TCHPについては気象庁予報部予報課において試験運用のための習熟段階として利用されるようになった。(副課題2-b③関連)
  • 本課題で開発し、本庁予報部で現業化したAMSUによる中心気圧推定について、台風委員会メンバー(国・地域)向けにウェブサイト(NTPサイト)でのリアルタイムで提供を開始した(H27年5月~)。(副課題2-a関連)
  • ATMSを用いた中心気圧推定法について、プロトタイプを本庁予報部に提供するとともに、台風委員会メンバー向けにNTPサイトでのリアルタイム提供を開始した(H28年6月~)。(副課題2-a関連)
  • ドボラック法とAMSUの中心気圧推定のコンセンサス導出手法について、本庁予報部に提供を行うとともに、台風委員会メンバー向けにNTPサイトでのリアルタイム提供を開始した(H28年6月~)。(副課題2-a関連)
  • 本課題で開発した現業ドップラーレーダーのドップラー速度を用いた台風強度推定のプロトタイプを本庁予報部に導入するとともに、2015年に日本に接近した台風のレーダー強度推定結果の提供や現業化に係る助言を適宜本庁予報部に行うなど、本庁予報部におけるシステム構築に協力した。(副課題2-a関連)
  • 米国海軍研究所提供の強度予報ガイダンス資料をルーチン的にモニターするイントラページを作成した。本庁でもモニター可能にすることで、本庁予報部での台風強度予報ガイダンス導入に向けた支援を行った。(副課題2-b関連)
  • 簡易台風強度予報モデル(CHIPS)による予報システム一式を整備・提供することで、本庁予報部での台風強度予報ガイダンス導入に向けた支援を行った。
  • 台風強度予報統計力学モデル(SHIPS)による予報システム一式を整備・提供することで、本庁予報部での台風強度予報ガイダンス導入に向けた支援を行った。
  • 台風数値シミュレーション環境については、科学研究費補助金基盤研究C「台風強度予測精度向上のための台風強化停止プロセスの解明」における台風シミュレーション研究に利用されている。また琉球大学が代表機関となっている科学研究費補助金基盤研究B「南西諸島とフィリピンのドップラーレーダーを用いた台風の構造と強度の関係解明」においても活用されている。台風の構造変化と台風強度変化の関わり及び急発達過程における物理過程の果たす役割に関する研究成果は、地球シミュレータ公募課題「複数の次世代非静力学全球モデルを用いた高解像度台風予測実験」及び名古屋大学が代表機関となっている科学研究費補助金基盤研究C「極端に強い台風にみられる急激な中心気圧低下のメカニズムの解明」の研究に活用されている。(副課題2-b関連)

2.今後の研究の進め方

(副課題名1) 全球及び領域解析・予報システムを用いた台風進路予報の精度向上に関する研究
1-a) 全球大気データ同化システム開発
  • ひまわり8号データを用いたOCAによる雲の1DVar解析を継続して実施する。特にH27の関東・東北豪雨事例について、ひまわり8号の情報の数値モデルへの同化や他衛星・測器による観測データ解析への寄与についてOCA計算を通じて検討を行う。またOCAを用いたひまわり水蒸気推定についての評価計算を実施する。OCAについては衛星センター開発中の雲2層モデルを推定アルゴリズムに組み込み、特に雲頂高度推定の高精度化を図る。
  • MRI-NAPEXの運用を行う。
  • 全球同化実験システムを使って、赤外ハイパーサウンダデータの予報誤差感度の観測誤差依存性や他観測データとの関連性について調査する。特に、赤外ハイパーサウンダの予報誤差感度に悪影響を及ぼす他観測データを中心に実験結果を分析し赤外ハイパーサウンダデータの有効利用方法を具体的に提示することを目指す。
  • 次世代の全球大気データ同化システムとして、アンサンブルを用いた4DVARやEnKS の研究を、従来の4DVARと比較しながら進める。
  • 全球大気解析に利用する観測情報の拡充のために、観測データのインパクトや誤差共分散行列等の診断を行う。これらの診断結果を用いて、観測データの品質管理の改良や誤差相関の導入など、同化システムの改良を進める。また、将来導入される観測網の評価のために、複数の手法のOSSEの構築、比較を行う。
  • 衛星搭載風ライダーのOSSEについて、NICTのライダーシミュレーターの高度化と連携しながら、信号強度情報を用いたより高度な品質管理処理を開発するなどして、データのより有効な活用方法を調査する。衛星軌道やライダーパラメータ、実験対象季節を変えたときに、インパクトがどのように変わるか調査する。
  • 雲域でのひまわり8号の赤外輝度温度データを、全球大気データ同化システムで同化するため、雲散乱計算を考慮した高速放射伝達モデルを導入した解析前処理や4DVARを開発する。また雲の効果を考慮した品質管理手法の検討を行う。
1-b) 全球モデル物理過程改良
  • 本庁で改良中の物理過程の現業全球モデルへの導入の後に、気象研で開発を行った物理過程スキームを組み込む。予報実験を行い、台風予測等の性能評価を行う。
1-c) 領域大気データ同化システム開発
  • アンサンブルに基づく変分法的同化法を用いて、2015年台風第18号事例等について、実際の観測データを用いて、予報解析サイクルの同化実験を行なう。実験結果の解析により、このプログラムの問題点の改良を行なう。
  • NHM-LETKFの台風強度,位置,強風半径情報のデータ同化手法を他の台風事例に応用し,そのインパクトについて調査を継続する。また、海洋・波浪モデルを組みこんだNHM-LETKFにより、海面水温変動が台風解析に与えるインパクトを引き続き調査する。
  • マイクロ波放射計データの前方計算値の精度を上げるため、引き続き、TRMM、GPM等の観測データと、GANALの地表面気温、可降水量、海上風速などの統計的な比較を行なう。
  • アンサンブルに基づく変分法的同化システムにおいて、衛星搭載降水レーダー同化を行うため、品質管理・データ選択手法を改良する。
1-d) TIGGEデータ等を用いた予測可能性研究
  • 北上バイアスが顕著であった2014年7月31日00UTC初期値の台風第11号に注目し、TIGGEデータや領域モデルによる予報結果を用いて、予報誤差の原因を解析する。
  • 2日先の台風発生予報プロダクトの利用可能性に関して、研究成果をとりまとめる。また、現業利用に向けた改良を行う。
  • アンサンブル手法による台風強度予測の可能性を調査する。
(副課題名2) 台風の強度推定と急発達・構造変化過程の解明及び予測可能性に関する研究
2-a) 強度推定手法の改善
  • ATMSやAMSU-Aによる台風中心気圧推定の精度検証を引き続き行う。
  • ドップラーレーダーによる強度推定は条件により推定精度が異なることなどを利用して、引き続き推定精度の向上を図り、推定値を適切に現業利用できるようにする。
2-b) プロセス解明・予測可能性検討
  • ひまわり8号及びMTSATの上層AMV及びその他のデータを用いて、急発達台風事例の解析を行い、急発達のプロセスを調べる。ひまわり8号AMVの特性検証ととともに、上層AMVを用いた台風強度診断のための手法の検討を行う。
  • 2015年台風第15号など、急発達や強風等の顕著現象を伴った台風事例について、ドップラーレーダーなどの観測データ解析と数値シミュレーションにより、その原因やプロセスについて調査する。
  • 2013年台風第30号の発達プロセスと最大強度に対する海洋の役割に関する研究を引き続き実施するとともに、初期値アンサンブル実験を実施することにより、台風強度変化と大気海洋環境場の不確実性の関係に関する研究を継続して実施する。気象庁の台風予報で習熟として現業利用されているTCHPに関するフォローアップを継続して行う。
  • 2014年台風第19号の発達率・サイズに対する解像度依存性について、引き続き詳細な解析を行う。
  • SHIPSやLGEM、及びコンセンサスなどの台風強度予報ガイダンス手法の改善や精度評価を引き続き進める。
  • 台風急発達(RI)インデックス作成手法を応用した、台風発生予測ガイダンスの基礎調査及び開発を行う。台風発生予測ガイダンスの開発に取り組む。
  • 台風周辺の高頻度AMVを台風ボーガスの代わりに同化した際のインパクトについて、引き続き調査を行い、品質管理手法などの検討を行う。
2-c) 顕著台風事例解析
  • 2016年以降の顕著な台風について、必要に応じて速報解析を行い、強度や強雨・強風構造について明らかにする。
  • 2015年までに台風の影響により日本で発生した顕著な大雨等の事例について、引き続き観測データや再解析データ等を用いて調べる。

3.自己点検

(1)到達目標に対する進捗度

全球、領域の予報解析システム(特に物理過程)の改良、これらを用いた台風進路予報の精度向上、衛星観測データの同化の高度化を進めている。ひまわりや衛星搭載マイクロ波、ドップラーレーダーを用いた強度推定手法の開発、数値予報モデルを用いたプロセスの解明などを進め、台風の発達や衰弱に関する知見が得られている。
研究は当初計画通り進捗しており、到達目標に向け確実に研究開発が進んでいる。

(2)研究手法の妥当性

気象研究所のスーパーコンピュータを利用して、最新の全球、領域の予報解析システムを開発し、また最新の衛星・レーダー等の多様なデータを利用した台風の高度な解析手法の開発を行っている。副課題1と副課題2が連携して、数値予報モデルやリモートセンシングデータを複合的に用いた研究も進めるなど、効率的に研究開発を進めることが出来ており、研究手法は妥当であると言える。

(3)成果の施策への活用・学術的意義

台風進路予報改善のために、全球、領域の予報解析システム(特に物理過程)の改良は最重要な課題である。また、予報改善のために衛星観測データの同化の高度化も不可欠である。従って、これらに取り組んだ本研究の知見の活用は、台風進路予報改善にきわめて有用である。
衛星やレーダーを用いた台風強度推定や、SHIPS,CHIPSといった強度予報ガイダンスは、本庁予報部に提供され、台風解析で利用、あるいは利用に向けたリアルタイムモニターが行われている。今後はLGEMや発生ガイダンスなども提供する予定であり、台風解析・予報業務への寄与は大きい。学術的にも、詳細な台風の構造や発達のメカニズムについては未知の部分が多くあり、レーダー・衛星・モデルを使った単独あるいは多面的な調査は極めて重要である。また、本研究で得た台風の発生・発達機構に関する知見は、予報現場での現象把握能力向上に寄与している。また、20件以上の報道対応を行っており、気象研究所のプレゼンス向上に貢献するとともに、国民の疑問や不安を解消する役割も果たしてきた。

(4)総合評価

研究はほぼ当初計画通り、もしくは計画以上に進捗している。台風進路予報改善のために、全球、領域の予報解析システム(特に物理過程)の改良の研究と、このシステムへの衛星観測データの同化の研究を着実に進めている。衛星やレーダーを用いた強度推定手法の開発・検証・改良は順調に進み、本庁への導入も行われている。これらのプロダクトや、数値予報モデルを用いた急発達や構造変化プロセスの調査も進展している。新たに研究計画として追加した台風強度予報ガイダンスの開発は、米国から導入したものを改良した後、本庁に提供して更なる検証・改良を行っている。
これまで得られた研究成果は、未知の部分が残る、台風の構造や発生・発達のメカニズムの科学的解明を進めて気象学の進展に貢献するとともに、気象庁の数値予報システムの高度化や、台風監視・解析・予報業務に活かされ、 台風がもたらす豪雨や強風、高潮などの災害軽減に役立ち、本研究を進める意義は高い。

4.参考資料

4.1 研究成果リスト
(1)査読論文 :25件

1. Satoh M., K. Aramaki, and M. Sawada, 2016: Structure of Tropical Convective Systems in Aqua-Planet Experiments: Radiative-Convective Equilibrium Versus the Earth-Like Experiment. SOLA, 12, 220-224.

2. Oyama, R., A. Wada, and M. Sawada, 2016: Intensification of Typhoon Danas (1324) captured by MTSAT upper tropospheric Atmospheric Motion Vectors. SOLA, 12, 135-139.

3. Wada, A., 2016: Reexamination of Tropical Cyclone Heat Potential in the Western North Pacific. Journal of Geophysical Research Atmosphere. (in press)

4. Okamoto, K., K. Aonashi, T. Kubota, and T. Tashima, 2016: Experimental assimilation of the GPM-Core DPR reflectivity profiles for Typhoon Halong (2014). Monthly Weather Review, 144, 2307-2326.

5. Shimada, U., M. Sawada, and H. Yamada, 2016: Evaluation of the Accuracy and Utility of Tropical Cyclone Intensity Estimation Using Single Ground-Based Doppler Radar Observations. Monthly Weather Review, 144, 1823-1840.

6. Bessho, K., K. Date, M. Hayashi, A. Ikeda, T. Imai, H. Inoue, Y. Kumagai, T. Miyakawa, H. Murata, T. Ohno, A. Okuyama, R. Oyama, Y. Sasaki, Y. Shimazu, K. Shimoji, Y. Sumida, M. Suzuki, H. Taniguchi, H. Tsuchiyama, D. Uesawa, H. Yokota, and R. Yoshida, 2016: An introduction to Himawari-8/9 - Japan's new-generation geostationary meteorological satellites. Journal of the Meteorological Society of Japan, 94, 151-183.

7. Ishii, S., K. Okamoto, P. Baron, T. Kubota, Y. Satoh, D. Sakaizawa, T. Ishibashi, T. Y. Tanaka, K. Yamashita, S. Ochiai, K. Gamo, M. Yasui, R. Oki, M. Satoh, and T. Iwasaki, 2016: Measurement performance assessment of future space-borne Doppler wind lidar for numerical weather prediction. SOLA, 12, 55-59.

8. Coronel, R., M. Sawada, and T. Iwasaki, 2016: Impacts of surface drag coefficient and planetary boundary layer schemes on the structure and energetics of Typhoon Megi (2010) during intensification. Journal of the Meteorological Society of Japan, 94, 49-67.

9. Kanada, S., and A. Wada, 2016: Sensitivity to horizontal resolution of the simulated intensifying rate and inner-core structure of typhoon Ida, an extremely intense typhoon. Journal of the Meteorological Society of Japan, 94A, 181-190.

10. Rodwell, M. J., S. T. K. Lang, N. B. Ingleby, N. Bormann, E. Hólm, F. Rabier, D. S. Richardson and M. Yamaguchi, 2016: Reliability in Ensemble Data Assimilation. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, 142, 443-454.

11. Yamaguchi, M., S. Lang, M. Leutbecher, M. Rodwell, G. Radnoti and N. Bormann, 2016: Observation-based evaluation of ensemble reliability. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, 142, 506-514.

12. Swinbank, R., M. Kyouda, P. Buchanan, L. Froude, T. M. Hamill, T. D. Hewson, J. H. Keller, M. Matsueda, J. Methven, F. Pappenberger, M. Scheuerer, H. A. Titley, L. Wilson, and M. Yamaguchi, 2016: The TIGGE Project and its Achievements. Bulletin of the American Meteorological Society, 97, 49-67.

13. Yamaguchi, M., F. Vitart, S. T. K. Lang, L. Magnusson, R. L. Elsberry, G. Elliott, M. Kyouda, and T. Nakazawa, 2015: Global distribution on the skill of tropical cyclone activity forecasts from short- to medium-range time scales. Weather and Forecasting, 30, 1695-1709.

14. Ishibashi, T., 2015: Tensor Formulation of Ensemble-Based Background Error Covariance Matrix Factorization. Monthly Weather Review, 143, 4963-4973.

15. Kanada, S., and A. Wada, 2015: Numerical Study on the Extremely Rapid Intensification of an Intense Tropical Cyclone: Typhoon Ida (1958). Journal of the Atmospheric Sciences, 72, 4194-4217.

16. Wada, A., 2015: Unusually rapid intensification of Typhoon Man-yi in 2013 under preexisting warm-water conditions near the Kuroshio front south of Japan.. Journal of Oceanography, 71, 597-622.

17. Wada, A., 2015: Verification of tropical cyclone heat potential for tropical cyclone intensity forecasting in the Western North Pacific. Journal of Oceanography, 71, 373-387.

18. Oda, M., and H. Kanehisa, 2015: Interaction between Rossby and Gravity Waves in a Simple analytical Model. Journal of the Meteorological Society of Japan, 93, 425-442.

19. Ishibashi, T., 2014: Observing system simulation experiments with multiple Methods. Proc. of SPIE, 9265, 926508-12.

20. Yamaguchi, M., T. Nakazawa, and S. Hoshino, 2014: North Western Pacific Tropical Cyclone Ensemble Forecast Project. Tropical Cyclone Research and Review, 3, 193-201.

21. Ishimoto, H., K. Okamoto, H. Okamoto, and K. Sato, 2014: One-dimensional variational (1D-Var) retrieval of middle to upper tropospheric humidity using AIRS radiance data. Journal of Geophysical Research Atmosphere, 119, 7633-7654.

22. Wada, A., T. Uehara, and S. Ishizaki, 2014: Typhoon-induced sea surface cooling during the 2011 and 2012 typhoon seasons:observational evidence and numerical investigations of the sea surface cooling effect using typhoon simulations. Progress in Earth and Planetary Science, 1, 11.

23. Magnusson, L., J.-R. Bidlot, S. Lang, A. Thorpe, N. Wedi, and M. Yamaguchi, 2014: Evaluation of medium-range forecasts for hurricane Sandy. Monthly Weather Review, 142, 1962-1981.

24. 小山亮, 2015: MTSATラピッドスキャン観測データを用いて算出された台風領域の上層大気追跡風の特性. 天気(論文・短報), 62, 15-28.

25. 北畠尚子, 星野俊介, 櫻木智明, 2014: TRMM/TMI輝度温度の非対称分布を考慮した台風強度推定. 気象研究所研究報告, 65, 57-74.

(2)査読論文以外の著作物(翻訳、著書、解説):34件

1. Wada A., 2016: “Hot Spots” in the Climate System:Unusually rapid intensification of Typhoon Man-yi in 2013 under preexisting warm-water conditions near the Kuroshio front south of Japan . “Hot Spots” in the Climate System, 131-156.

2. Nakano, M., A. Wada, M. Sawada, H. Yoshimura, R. Onishi, S. Kawahara, W. Sasaki, T. Nasuno, M. Yamaguchi, T. Iriguchi, M. Sugi, Y. Takeuchi, 2016: Global 7-km mesh nonhydrostatic Model Intercomparison Project for improving TYphoon forecast (TYMIP-G7): Experimental design and preliminary results. Geoscientific Model Development . (in press)

3. Wada A., 2016: Extremely deepening of central pressures for Typhoon Neoguri in 2014 simulated by an atmosphere-wave-ocean coupled model and its dependency on the horizontal resolution. WGNE Blue Book: Research Activities in Atmospheric and Ocean Modelling , 46, 9-13.

4. Wada, A., 2016: Typhoon Man-yi in 2013 simulated by an atmosphere-wave-ocean coupled model with 1.2-km horizontal resolution. WGNE Blue Book: Research Activities in Atmospheric and Ocean Modelling , 46, 9-11.

5. Wada, A., 2016: Comparison of numerical simulations of Typhoon Haiyan in 2013 and Typhoon Mike in 1990. WGNE Blue Book: Research Activities in Atmospheric and Ocean Modelling , 46, 9-09.

6. Wada, A,, 2016: Idealized storm evolution and the difference between the eastern and the western North Pacific calculated by an atmosphere-wave-ocean coupled model. WGNE Blue Book: Research Activities in Atmospheric and Ocean Modelling , 46, 9-07.

7. Wada, A. and M. Kunii, 2016: The effect of predicted oceanic conditions on the assimilation of Typhoon Sinlaku (2008). WGNE Blue Book: Research Activities in Atmospheric and Ocean Modelling , 46, 9-05.

8. Oyama, R., K. Nagata, H. Kawada, and N. Koide, 2016: Development of a product based on consensus between Dvorak and AMSU tropical cyclone central pressure estimates at JMA. RSMC Technical Review, 18.

9. Shimada, U., 2016: Tropical Cyclone Central Pressure Estimation Using Doppler Radar Observations at JMA. RSMC Tokyo - Typhoon Center Technical Review, 18.

10. Elsberry R. L, M. Yamaguchi, G. Elliott and H.-C. Tsai, 2015: Advances to Tropical Cyclones Forecasting. WMO Bulletin, 64(2), 40.

11. Wada, A., 2015: The effects of ocean coupling and sea spray on the simulated track for Typhoon Muifa in 2011. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 45, 914-915.

12. Wada, A., 2015: The effect of ocean coupling on torrential rains caused by Typhoon Man-yi in 2013. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 45, 912-913.

13. Wada, A., 2015: Roles of the ocean on extremely rapid intensification and the maximum intensity of Typhoon Haiyan in 2013 . CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 45, 910-911.

14. Wada, A., and M. Kunii, 2015: The impact of a sea-spray parameterization on the assimilation of Typhoon Sinlaku (2008). CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 45, 908-909.

15. Okamoto, K., K. Aonashi, T. Kubota, and T. Tashima, 2015: Preliminary results of assimilation of reflectivities of space-borne precipitation radars. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 45, 19-20.

16. Wada, A., 2015: Utilization of Tropical Cyclone Heat Potential for Improving Tropical Cyclone Intensity Forecasts. RSMC Technical Review, 17, 1-27.

17. Shay L. K., M. M. Ali, S. Chen, I. Ginis, G. Halliwell, H-S Kim, Marie-Dominque Leroux, I-I Lin, and A. Wada, 2014: Air-sea Interface and Oceanic Influences. Topic report of WMO 8th International Workshop on Tropical Cyclones (IWTC-8), 53.

18. Kepert J., Y-H Huang, S. Kanada, M. Powell, J. Schwendike, C. Slocum, A. Wada, C-C. Wu, and J. Zhang, 2014: Role of the Boundary Layer. Topic report of WMO 8th International Workshop on Tropical Cyclones (IWTC-8) , 37.

19. Elliott, G., and M. Yamaguchi, 2014: Advances in Forecasting Motion. Topic report of WMO 8th International Workshop on Tropical Cyclones (IWTC-8), 44.

20. Wada, A, 2014: Numerical simulations of intensity changes of Typhoon Man-Yi in 2013. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 44, 9-07.

21. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, T. Ishibashi, and T. Tanaka, 2014: Observing Simulation System Experiment (OSSE) of Spaceborne Doppler Wind Lidar. CAS/JSC WGNE Research Activities in Atmospheric and Oceanic Modelling, 44, 115-116.

22. 筆保弘徳、和田章義、杉本周作、万田敦昌、小田僚子、猪上淳、飯塚聡、川合義美、吉岡真由美, 2016: 天気と海の関係についてわかっていることいないこと. 天気と海の関係についてわかっていることいないこと, ペレ出版, 327pp, ISBN: 978-4-86064-473-4.

23. 山口宗彦, 2016: 台風活動度予測の精度. 数値予報課報告・別冊, 62, 47-51.

24. 田章義、小出直久、檜垣将和, 2016: 台風強度予報作業における海洋貯熱量情報の利用. 量的予報技術資料(予報技術研修テキスト), 21, 137-159.

25. 伊東譲司, 西村修司, 田中武夫, 岡本 幸三, 2016: ひまわり8号 気象衛星講座. ひまわり8号 気象衛星講座, 272.

26. 坪木和久, 山口宗彦, 村上正隆, 原田賢哉, 上田博, 2015: 第42回メソ気象研究会の報告―メソ気象学・雲物理学における航空機利用―. 天気, 62, 1013-1017.

27. 北畠尚子, 小山亮, 嶋田宇大, 櫻木智明, 沢田雅洋, 2015: 2012年・2013年に日本に接近・上陸した台風の概要と特性. 気象研究所技術報告, 75.

28. 山口宗彦, 2015: 台風の進路予報の過去・現在・未来. (株)日報ビジネス地球温暖化, 9月号, 44-45.

29. 原基, 嶋田宇大, 2015: 台風第1506号の通過時に下地島空港で観測された暴風について. てんきすと, 95, 4-5.

30. 竹内義明, 2015: 巨大台風を科学する. 表面科学, Vol.36 No.7, 382-384.

31. 石橋俊之, 2015: FSOによる評価. 数値予報課報告別冊, 61, 90-92.

32. 小山亮, 2015: マイクロ波探査計/マイクロ波探査計データを用いた台風中心気圧推定. 量的予報技術資料(予報技術研修テキスト), 20, 94-113.

33. 北畠尚子, 城岡竜一, 和田章義, 末木健太, 津口裕茂, 筆保弘徳, 2014: 第41回メソ気象研究会の報告 ―台風~発生・発達と日本への影響~―. 天気, 61, 893-898.

34. 筆保弘徳, 伊藤耕介, 山口宗彦, 2014: 台風の正体. 台風の正体, 朝倉書店, 184pp.

(3)学会等発表
ア.口頭発表

・国際的な会議・学会等:28件

1. Okamoto, K., H. Ishimoto, M. Kunii, M. Otsuka, S. Yokota, H. Seko, and Y. Sawada, Assimilation of cloud-affected infrared radiances of Himawari-8, AOGS 2016, 2016年8月, 中国, 北京

2. Okamoto, K., H. Ishimoto, M. Kunii, M. Otsuka, S. Yokota, H. Seko, and Y. Sawada, Towards the assimilation of all-sky infrared radiances of Himawari-8, 5th International Symposium on Data Assimilation(ISDA), 2016年7月, 英国, Reading

3. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, T. Ishibashi, T. Y. Tanaka, T. Kubota, R. Oki, K. Gamo, Recent results from feasibility study of space-based Doppler Wind Lidar in Japan., 18th Coherent Laser Radar Conference, 2016年7月, 米国, Boulder

4. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, T. Ishibashi, T. Y. Tanaka, T. Kubota, R. Oki, K. Gamo, Recent results from feasibility study of space-based Doppler Wind Lidar in Japan, 18th Coherent Laser Radar Conference, 2016年7月, アメリカ, ボルダ―

5. Takeuchi, Y., Advanced Typhoon Observation and Forecasts with New Technologies such as Himawari-8 and High-resolution Global Models, 2016 APEC Typhoon Symposium, 2016年5月, 台湾, 台北市

6. Oyama, R., and K. Kato, TC intensity estimation using satellite data at JMA, Second International Workshop on satellite analysis of tropical cyclones (IWSATC-2), 2016年2月, アメリカ, ホノルル

7. Yoshimura, H., Y. Takeuchi, A. Wada, M. Sawada, S. Kawahara, M. Nakano, R. Onishi, H. Kawai, E. Shindo, T. Iriguchi, M. Yamaguchi, M. Sugi, T. Nasuno, W. Sasaki, and H. Fuchigami, Development of a Nonhydrostatic Global Spectral Atmospheric Model using Double Fourier Series and High Resolution Typhoon Prediction Experiments, 台風セミナー2015, 2016年1月, 東京都

8. Yamaguchi, M, Tropical cyclone research-to-operation activities at MRI/JMA, 台風セミナー2015, 2016年1月, 東京都

9. 金田幸恵, 和田章義, Characteristics of intensity changes of tropical cyclones in the Northwestern Pacific in track data and simulations by global and regional atmosphere models, 台風セミナー2015, 2016年1月, 東京都

10. 沢田雅洋, 伊藤耕介, JMA-NHM verification study for TC intensity prediction, 台風セミナー2015, 2016年1月, 東京都

11. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, T. Kubota, Y. Satoh, D. Sakaizawa, T. Ishibashi, T. Tanaka, K. Yamashita, S. Ochiai, K. Gamo, M. Yasui, R. Oki, M. Satoh, and T. Iwasaki,, Simulation and impact study of future spaceborne Doppler wind lidar in Japan, DWL-OSSE meeting, 2015年12月, アメリカ, カレッジパーク

12. Kanada, S., and A. Wada, Sensitivity to Horizontal Resolution of the Simulated Intensifying Rate and Inner-core Structure of an Extremely Intense Typhoon, International WS on Issues in downscaling of climate change projection, 2015年10月, 茨城県つくば市

13. Sawada, M., Influence of horizontal resolution on tropical cyclone intensity using ensemble downscaling simulations, Asia Oceania Geosciences Society 12th Annual Meeting (AOGS2015), 2015年8月, シンガポール, シンガポール

14. Ito, K., K. Saito, A. Wada, and T. Kuroda, Forecasting a Large Number of Tropical Cyclone Intensities Using a High-Resolution Atmosphere-Ocean Coupled Model, Asia Oceania Geosciences Society 12th Annual Meeting (AOGS2015), 2015年8月, シンガポール, シンガポール

15. Wada, A., and S.Kanada, Unusually Rapid Intensification of Typhoon Man-Yi in 2013 Under Pre-Existing Warm-Water Conditions Near the Kuroshio Front, Asia Oceania Geosciences Society 12th Annual Meeting (AOGS2015), 2015年8月, シンガポール, シンガポール

16. Kanada, S., and A. Wada, Intensity Change of Tropical Cyclones in the Northwest Pacific. Part I: Comparison Between Observation and Numerical Models, Asia Oceania Geosciences Society 12th Annual Meeting (AOGS2015), 2015年8月, シンガポール, シンガポール

17. Okamoto, K., K. Aonashi, T. Kubota, and T. Tashima, Assimilating GPM/DPR reflectivities using a meso-scale ensemble variational assimilation system, 12th annual meeting Asia Oceania Geoscience Society, 2015年8月, シンガポール, シンガポール

18. 金田幸恵, 和田章義, Characteristics of intensity changes of tropical cyclones in the Northwestern Pacific in track data and simulations by global and regional atmosphere models., 5th International Summit on Hurricanes and Climate Change, 2015年6月, ギリシャ, クレタ島

19. Oyama, R., Japanese New Generation Geostationary Meteorological Satellites Himawari-8/9 and their Products for Severe Weather Monitoring and Forecasting, ESCAP/WMO熱帯低気圧パネル・台風委員会, 2015年2月, タイ, バンコク

20. Aonashi, K., K. Okamoto, M. Yamaguchi, and S. Origuchi, Dual-Scale Neighboring Ensemble Variational Assimilation Scheme to incorporate Satellite Microwave Imager brightness temperatures, アメリカ気象学会第95回年次会合, 2015年1月, アメリカ, フェニックス

21. Yamaguchi, M., and G. Elliott, Advances in Forecasting Motion, WMO 8th International Workshop on Tropical Cyclones (IWTC-8), 2014年12月, 韓国, 済州島

22. Ishibashi, T., Observing system simulation experiments with multiple Methods, SPIE Asia-Pacific Remote Sensing 2014, 2014年10月, 中国, 北京

23. Yamaguchi, M, Multi-model ensemble forecasts of tropical cyclones using TIGGE, World Weather Open Science Conference, 2014年8月, カナダ, モントリオール

24. Yamaguchi, M., S. Lang, M. Leutbecher, M. Rodwell, G. Radnoti, and N. Bormann, Observation-based ensemble spread-error relationship, World Weather Open Science Conference, 2014年8月, カナダ, モントリオール

25. Ishimoto, H., K. Okamoto, H. Okamoto, and K. Sato, Humidity around ice clouds in middle to upper troposphere retrieved by using AIRS radiance data, AOGS 11th Annual Meeting, 2014年7月, 北海道札幌市

26. Wada, A., Numerical Simulations on Rapid Intensification of Typhoon Haiyan (T1330), AOGS 11th Annual Meeting, 2014年7月, 北海道札幌市

27. Yamaguchi, M., Tropical cyclone forecasts using TIGGE, JMA’s NWP system and WGNE intercomparison of TC track forecasts, Workshop on Numerical Prediction of Tropical Cyclones, 2014年5月, 中国, 台湾

28. Aonashi, K. and H. Eito, Displaced Ensemble variational assimilation to incorporate microwave imager brightness temperatures into a cloud-resolving model for Typhoon Conson., The 31 st AMS Conference on Hurricanes and Tropical Meteorology, 2014年4月, アメリカ, サンディエゴ


・国内の会議・学会等:56件

1. 小山亮, 衛星マイクロ波探査計ATMSを用いた台風中心気圧推定法の開発及び検証, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

2. 新藤永樹, 気象研究所全球気候モデルの物理過程の改良, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

3. 嶋田宇大, 青梨和正, GSMaPから算出した台風の軸対称度と強度変化の関係の調査, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

4. 石橋俊之, 観測誤差共分散構造の診断とその利用, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京

5. 岡本幸三, 石元裕史, 國井勝, 大塚道子, 横田祥, 瀬古弘, 領域数値予報システムを用いた、ひまわり8号の曇天域赤外輝度温度同化, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

6. 石橋俊之, 気象庁全球数値予報システムにおける観測データのインパクト評価に関する研究, 平成27年度気象庁施設等機関研究報告会, 2016年1月, 東京都

7. 和田章義, 国井勝, NHM-LETKFによる台風予測研究, 第17回非静力モデルに関するワークショップ, 2015年12月, 沖縄県那覇市

8. 金田幸恵, 和田章義, 非常に強い台風に見られる二つの発達プロセス, 第17回非静力学モデルに関するワークショップ, 2015年12月, 沖縄県那覇市

9. 和田章義, 沢田雅洋, 吉村裕正, 中野満寿男, 那須野智江, 大西領, 渕上弘光, 川原慎太郎, 佐々木亘, 入口武史, 山口宗彦, 川合秀明, 新藤永樹, 竹内義明, 複数の次世代非静力学全球モデルを用いた高解像度台風予測実験, 第17回非静力学モデルに関するワークショップ, 2015年12月, 沖縄県那覇市

10. 嶋田宇大, 久保田尚之, 山田広幸, 地上ドップラーレーダーを用いた2013年台風ハイエンの強度及び内部構造の解析, 平成27年度台風研究会, 2015年11月, 京都府宇治市

11. 沢田雅洋, 台風サイズに対する水平解像度依存性, 平成27 年度京都大学防災研究所共同研究集会「台風研究会」, 2015年11月

12. 山口宗彦, 青梨和正, 岡本幸三, 五十嵐崇士, 鉛直シア下で急発達する台風の進路予報誤差, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

13. 沢田雅洋, 伊藤耕介, 山口宗彦, 宮本佳明, 簡易軸対称台風モデルCHIPS の台風強度予報誤差とその利用法, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

14. 金田幸恵, 和田章義, 西部北太平洋域における台風の強度特性と気象庁全球気候20kmモデルによる再現性:続報 高解像度モデルで再現された強い台風の強度変化と内部コア構造, 日本気象学会秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

15. 嶋田宇大, 小山亮, 沢田雅洋, 原基, 先島諸島で一時的に再発達した2015年台風第6号の観測的研究, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

16. 和田章義, 金田幸恵, 2013年台風第18号(MAN-YI)の急発達に関する数値シミュレーション, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

17. 北畠尚子, 櫻木智明, 沖縄近海を進む台風の構造と環境場の関係, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

18. 小山亮, 永田和彦, 川田英幸, 小出直久, ドボラック法及びAMSUによる台風強度推定のコンセンサスの開発, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

19. 山口宗彦, アンサンブル手法と特異ベクトル法による台風予測技術の開発と研究, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

20. 石元裕史, 林昌宏, 増田一彦, 岡本創, 佐藤可織, OCAによるひまわり8号雲解析とライダー観測による氷晶モデルの推定, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

21. 和田章義, 沢田雅洋, 吉村裕正, 中野満寿男, 那須野智江, 大西領, 渕上弘光, 川原慎太郎, 佐々木亘, 入口武史, 山口宗彦, 川合秀明, 新藤永樹, 竹内義明, 複数の次世代非静力学全球モデルを用いた高解像度台風予測実験, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

22. 石橋俊之, 全球大気解析における観測情報の拡充に向けて, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

23. 山口宗彦, 伊藤耕介, 台風の進路、強度、構造変化を対象とした機動観測, 「航空機観測による気候・地球システム科学研究の推進」研究集会, 2015年9月, 名古屋

24. 嶋田宇大, 山口宗彦, 青梨和正, 沢田雅洋, 大和田浩美, 小出直久, 加藤浩司, GSMaPで算出した台風の軸対称性と強度変化の関係についての調査, 2015年度第2回GSMaP研究会, 2015年9月, 京都府京都市

25. 岡本幸三, 石井昌憲, 石橋俊之, 田中泰宙, Philippe Baron, 久保田拓志, 境澤大亮, 佐藤洋平, 蒲生京佳, 衛星搭載風ライダーを用いた気象予測の改善, 災害対策技術講演会2015, 2015年6月, 東京都小金井市

26. 石橋俊之, 複数のOSSE手法による仮想観測システムの評価(3), 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

27. 金田幸恵, 和田章義, 坪木和久, 西部北太平洋域における台風の強度特性と気象庁全球気候20kmモデルによる再現性., 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

28. 和田章義, 2013年台風第30号(HAIYAN)の強度変化とTCHP, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

29. 和田章義, 2013年台風第18号(MAN-YI)に伴う豪雨と海洋の関係, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

30. 沢田雅洋, アンサンブル実験を用いた台風強度の水平解像度依存性の調査, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

31. 岡本幸三, 青梨和正, 久保田拓志, 田島知子, 衛星搭載レーダの同化に向けて(その3) GPMcore/DPRの初期結果, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

32. 小山亮, 下地和希, 林昌宏, ラピッドスキャン上層AMVの台風構造・強度解析での利用可能性, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

33. 嶋田宇大, 山口宗彦, 沢田雅洋, 青梨和正, 小出直久 , 加藤浩司, Buck Sampson, Mark DeMaria, 台風強度予報ガイダンス開発におけるGPM利用の可能性, 平成2015年度第1回GSMaP研究会, 2015年5月, 茨城県つくば市

34. 岡本幸三, 青梨和正, 久保田拓志, 田島知子, GPM/DPR反射因子に対する、JMA-NHMとの比較と同化初期結果, GSMaPおよび衛星シミュレータ合同研究集会, 2015年3月, 愛知県名古屋市

35. 沢田雅洋, IWTC8参加報告, 台風セミナー2014, 2014年12月, 東京都

36. 山口宗彦, 航空機による台風の「ツボ」の観測, 「航空機観測による大気科学・気候システム研究」研究集会, 2014年12月, 東京都文京区

37. 青梨和正, 久保田拓志, 牛尾知雄, 重尚一, 妻鹿友昭, 山本宗尚, GPMマイクロ波放射計(GMI)用の降水リトリーバルアルゴリズム, 日本気象学会2014年秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

38. 岡本幸三, 青梨和正, 田島知子, 衛星搭載レーダの同化に向けて(その2) TRMM/PRとGPMcore/DPRの利用, 日本気象学会秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

39. 小田真祐子, 台風進路予報向上のための全球モデル用のアンサンブルに基づく変分法同化法の開発(その2), 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

40. 青梨和正, 折口征二, 岡本幸三, 雲解像モデル用のNeighboring Ensembleに基づく変分法同化法(その3), 日本気象学会2014年秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

41. 山口宗彦, 2週先までの熱帯低気圧活動予報のスキルの全球マップ, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

42. 櫻木智明, 北畠尚子, 北西太平洋における台風の急発達の統計調査, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

43. 北畠尚子, 徳野正己, 加藤浩司, 1980年代の米軍航空機観測を用いたドボラック法の再調査, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

44. 嶋田宇大, トロコイダル運動しているT1215の内部構造のレーダー解析, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

45. 山口宗彦, 熱帯低気圧観測における航空機の利用, 日本気象学会第42回メソ気象研究会, 2014年10月, 福岡県福岡市

46. 嶋田宇大, 和田章義, ドップラーレーダーによるT1215のトロコイダル運動及びその内部構造の解析, 日本に接近する台風に関するワークショップ, 2014年10月, 沖縄県西原町

47. 岡本幸三, 石井昌憲, Philippe Baron, 落合啓, 石橋俊之, 田中泰宙, 蒲生京佳, 高橋千賀子, 衛星搭載風ライダーの同化に向けて:観測システムシミュレーション実験(OSSE)を用いた数値予報インパクト調査, 第32回レーザセンシングシンポジウム, 2014年9月, 岐阜県高山市

48. 和田章義, 台風1330号(Haiyan)における大気海洋環境場の役割, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

49. 山口宗彦, 観測データを用いたアンサンブルスプレッドとアンサンブル平均予報誤差の関係の診断, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

50. 石橋俊之, 随伴演算子による観測データのインパクト評価とその応用(続報), 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

51. 青梨和正, 折口征二, 岡本幸三, 台風進路予報のための領域非静力データ, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

52. 青梨和正, 小山亮, 石橋俊之, 岡本幸三, 石元裕史, 小田真祐子, 次世代のマイクロ波イメージャ降水リトリーバルアルゴリズム開発(その2), 日本気象学会2014年春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

53. 石元裕史, 岡本幸三, 岡本創, 佐藤可織, 赤外サウンダAIRSデータの1DVARリトリーバルから推定した北極域対流圏中上層の水蒸気場とCloudSat/CALIPSO解析による雲情報との 関係, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

54. 北畠尚子, 加藤輝之, 津口裕茂, 小山亮, 櫻木智明, 嶋田宇大, 台風1318号の発達とそれに伴う近畿地方の大雨の発生要因, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

55. 和田章義, 数値シミュレーションによる台風発達の研究, 第41回メソ気象研究会, 2014年5月, 東京都千代田区

56. 北畠尚子, 日本付近の台風の構造変化, 第41回メソ気象研究会, 2014年5月, 東京都千代田区

イ.ポスター発表

・国際的な会議・学会等:11件

1. Oyama, R., Relationship between latent heating and tropical cyclone warm core structure analyzed using satellite-based products, Joint AMS 21st Satellite Meteorology, Oceanography and Climatology Conference and 20th AMS Conference on Air-Sea Interaction, 2016年8月, アメリカ, マディソン

2. Shimada, U., M. Sawada, and H. Yamada, Observational study on RI of Typhoon Goni (2015) after eyewall replacement, 台風セミナー2016, 2016年8月, 愛知県名古屋市

3. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, K. Gamo, T. Ishibashi, T. Tanaka and T. Kubota, Observing system simulation experiment (OSSE) for future spaceborne Doppler wind lidar in Japan., Asia Oceania Geosciences Society 13th Annual Meeting (AOGS2016), 2016年8月, 中国, 北京

4. Sawada, M., A. Wada, H. Yoshimura, M. Nakano, R. Onishi, S. Kawahara, H. Kawai, E. Shindo, T. Iriguchi, M. Yamaguchi, M. Sugi, T. Nasuno, W. Sasaki, H. Fuchigami, and Y. Takeuchi, Simulated Tropical Cyclone Intensity and Structure using high-resolution nonhydrostatic global model, JpGU meeting 2016, 2016年5月, 千葉県

5. Wada, A., and M. Sawada, Numerical simulations of Typhoon Haiyan in 2013 , JpGU meeting 2016, 2016年5月, 千葉県

6. Okamoto, K., S. Ishii, P. Baron, T. Ishibashi, T. Y. Tanaka, T. Kubota, R. Oki, K. Gamo, Observing Simulation System Experiment (OSSE) of spaceborne Doppler wind lidar in Japan., SPIE Asia-Pacific Remote Sensing 2016, 2016年4月, インド, ニューデリー

7. Wada, A, The relation of tropical cyclone heat potential to tropical cyclone intensity in the western North Pacific and the simulations by an atmosphere-wave-ocean coupled model, 2016 Ocean Sciences Meeting, 2016年2月, アメリカ, ニューオーリンズ

8. Nasuno,T., H. Yamada, M. Nakano, H. Kubota, M. Sawada, and R. Yoshida, Controlling Factors of the Tropical Cyclone Genesis Over the Western North Pacific: A Case Study (TY0806) Using a Global Nonhydrostatic Model, Asia Oceania Geosciences Society 12th Annual Meeting (AOGS2015), 2015年11月, シンガポール, シンガポール

9. Oyama, R., K. Shimoji, and M. Sawada, Use of upper-tropospheric Atmospheric Motion Vectors (AMV) for diagnosing tropical cyclone intensity, 第6回アジア・オセアニア気象衛星利用者会議, 2015年11月, 東京都

10. Okamoto, K., K. Aonashi, S. Origuchi, and T. Tashima, Progress of assimilating space-borne precipitation radars, 4th International Symposium on Data Assimilation, 2015年2月, 兵庫県神戸市

11. Okamoto, K., K. Aonashi, and T. Tashima, Towards the assimilation of space-borne precipitation radar in the ensemble-based variational scheme., 7th workshop of the International Precipitation Working Group, 2014年11月, 茨城県つくば市


・国内の会議・学会等:29件

1. 大和田浩美, 下地和希, 野中健一, 小山亮, 沢田雅洋, ひまわり8号の領域3観測による台風周辺の大気追跡風データの利用, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

2. 大和田浩美, 嶋田宇大, 山口宗彦, 沢田雅洋, 台風強度予報に向けた統計力学モデルSHIPSの開発, 日本気象学会2016年度春季大会, 2016年5月, 東京都渋谷区

3. 竹内義明, 沢田雅洋, 吉村裕正, 和田章義, 中野満寿男, 那須野智江, 大西領, 渕上弘光, 佐々木亘, 川原慎太郎, 山口宗彦, 入口武史, 杉正人, 川合秀明, 新藤永樹, 複数の次世代非静力学全球モデルを用いた高解像度台風予測実験, 平成27年度地球シミュレータ利用報告会, 2016年3月, 東京都港区

4. 小田真祐子, 台風進路予報向上のための全球モデル用のアンサンブルに基づく変分法同化法の開発(その3), 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年11月, 京都府京都市

5. 沢田雅洋, 台風の発達率と構造の関係に対する水平解像度依存性, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

6. 和田章義, 碓氷典久, 台風や大気擾乱の発達に対する新しい表層海洋熱容量, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

7. 小山亮, 沢田雅洋, 下地和希, 上層大気追跡風を使用した台風の地上最大風速の診断, 日本気象学会2015年度秋季大会, 2015年10月, 京都府京都市

8. 櫻木智明, 北畠尚子, SSMIS輝度温度データを用いた台風強度推定法の開発, 日本気象学会2015年度春季大会, 2015年5月, 茨城県つくば市

9. 和田章義, 2013年台風第30号(ハイヤン)の数値シミュレーション, 第12回環境研究シンポジウム, 2014年11月, 東京都千代田区

10. 沢田雅洋, 伊藤耕介, 宮本佳明, 山口宗彦, 軸対称台風モデルJCHIPS を用いた台風の強度予報実験, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

11. 小山亮, 和田章義, 2013年台風23号及び24号の発達期の構造変化の比較, 日本気象学会2014年度秋季大会, 2014年10月, 福岡県福岡市

12. 小田真祐子, 台風進路予報の精度向上のための全球モデル用のアンサンブルに基づく変分法同化法の開発(その1), 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

13. 嶋田宇大, 北畠尚子, ドップラーレーダーで5分毎に捉えたT1215の内部構造, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

14. 和田章義, 国井勝, NHM-LETKFを用いた台風0813号(Sinkaku)の予測可能性, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

15. 岡本幸三,石井昌憲,Philippe Baron,石橋俊之,田中泰宙,高橋千賀子,蒲生京佳, 衛星搭載風ライダー(DWL)の観測システムシュミレーション実験(OSSE)その2, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

16. 北畠尚子, 櫻木智明, TRMM/TMI輝度温度データで分類した台風の構造, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

17. 小山亮, 衛星データを用いて解析されたT1324の発達期の構造変化, 日本気象学会2014年度春季大会, 2014年5月, 神奈川県横浜市

18. 小山亮, MTSATラピッドスキャン観測により得られた台風領域の上層風の精度検証, 日本リモートセンシング学会第56回(平成26年度春季)学術講演会, 2014年5月, 茨城県つくば市

4.2 報道・記事

北畠尚子:「異常気象と闘う(1) 強大な台風 正体に迫る」日本経済新聞、8月12日掲載

北畠尚子:台風第15号の特徴について、毎日新聞福岡本部、8月26日掲載

北畠尚子:台風第15号の解析に関する報道発表について、読売新聞、9月29日対応

北畠尚子:台風第15号の解析に関する報道発表と台風第21号による暴風について、NHK、9月29日放送

北畠尚子:台風第21号による与那国島の強風、日本テレビ「スッキリ!!」、10月1日放送

和田 章義:「強力台風、繰り返す? 史上最強クラスの8号接近」日本経済新聞(電子版)、2014年7月7日掲載

和田 章義・北畠尚子・小山亮:「台風発達 予測に挑む」日本経済新聞、2014年9月7日掲載

和田 章義・北畠尚子・山口宗彦・小山亮:「NHKスペシャル 巨大災害 MEGA DISASTER 地球大変動の衝撃 第2週 スーパー台風 “海の異変”の最悪シナリオ」NHK、2014年8月31日放送

山口宗彦:台風の航空機観測に関して取材対応(朝日テレビ・報道ステーション、8月27日)

山口宗彦:世界気象機関からの感謝状:THORPEX 活動への貢献、2014年11月17日

山口宗彦:日本気象学会正野賞:アンサンブル手法と特異ベクトル法による台風予測技術の開発と研究、2015年10月29日

山口宗彦:海外での台風研究について(NHK・メガディザスター、2015年4月6日)

山口宗彦:台風の航空機観測について(TBS・NEWS23、2015年4月22日)

山口宗彦:台風の全般的なはなし(TBS・NEWS23、2015年7月13日)

山口宗彦:衛星解析と全球アンサンブル予報を利用した台風発生予報について, 時事通信, 記事掲載有り(平成28年5月17日)

山口宗彦:衛星解析と全球アンサンブル予報を利用した台風発生予報について, 毎日新聞, 記事掲載有り(平成28年5月19日)

山口宗彦:台風の航空機観測について, NHK, 放映無し(平成28年6月6日)

山口宗彦:台風の航空機観測について, TBS(NEWS23), 放映無し(平成28年6月16日)

山口宗彦:衛星解析と全球アンサンブル予報を利用した台風発生予報について, 東京新聞, 記事掲載有り(平成28年7月1日)

山口宗彦:台風の全般的なはなし、および2016年台風第1号の発生が遅いことについて, TBSラジオ(久米宏ラジオなんですけど), 生放送 (平成28年7月23日)

山口宗彦:台風の全般的なはなし、および2016年台風第1号の発生が遅いことについて, J-WAVEラジオ(TOKYO MORNING RADIO), 生放送 (平成28年8月2日)

山口宗彦:立て続けに発生した台風の発生要因と進路のメカニズムについて, NHKニュースウォッチ9, 放映有り(平成28年8月23日)



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