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気象研究所 評議委員会(第44回)

平成30年7月30日(月)
14時00分~16時00分
於 気象庁5階大会議室

議事概要

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出席者

(評議委員)
木村 富士男 委員長、岩崎 俊樹 委員、小畑 元 委員、木本 昌秀 委員、三枝 信子 委員、佐竹 健治 委員、関口 渉次 委員、坪木 和久 委員、泊 次郎 委員、中島 映至 委員、渡辺 秀文 委員
(気象研究所)
気象研究所長、研究総務官、研究調整官、企画室長、予報研究部長、気候研究部長、 台風研究部長、環境・応用気象研究部長、気象衛星・観測システム研究部長、地震津波研究部長、火山研究部長、海洋・地球化学研究部長、企画室研究評価官

議事

議題1: 気象研究所の研究活動等について(報告)
議題2: 次期中期研究計画(H31-35)の概要について(懇談)
議題3: 今後の気象研究所評議委員会の予定について(協議)

委員からの主な意見

議題1: 気象研究所の研究活動等について(報告)
(1)気象研究所の重点研究等の進捗状況

  • 民間との連携について、民間の観測データを豪雨予測に使ったら大変有用だったという気象研究所の研究成果を聞いたことがあり、観測データはデータ同化やモデルを利用して役立てることができるため、民間にも観測して貰った方が良いと言ってきた。ところが、止めてしまった民間の観測もある。検定を厳しく言い過ぎるといった妨げ等がないか懸念がある。
  • 気候変動・地球環境対策の強化に関する研究に関連して、温暖化等関連物質の研究観測が行われていているが、排出源が今どうなっているかといったような地球環境変化の早期検出に繋がるような研究を強化できないか。WMOでそのような取組が始まっており、気象研究所が日本としての取組のイニシアチブを取って、WMOの方針に沿って進めていただけると有り難い。
  • PLUM法の開発に関連して、地震の被害予測については、想定地震に基づく予測と震度のリアルタイム観測が現状行われているが、その間が欠けているように思う。PLUM法の揺れから揺れを予測するという考え方を応用して被害の予測・即時把握に繋がるような研究ができないか。

(2)気象研究所の研究を推進する取組

  • 外部資金や論文数について、気象研究所は他の研究機関と比べて、特別多いという印象はない。国(気象庁)の研究所という特殊な機関ということが関係しており単純比較できないかもしれないが、他の研究機関との比較は行った方が良い。また、研究費の金額の多少に関わらず、気象研が他の機関を含む研究全体の方向性を示して、研究開発の取組の中心となるような役割を気象研究所には期待したい。
  • 論文数について、論文として業務報告のようなものも半分程度含まれており、業務報告の作成が論文執筆の負担となっていないかとの懸念がある。全体としては、気象研究所は頑張っているような印象を持つが、業務報告の作成と論文執筆の関係性について、少し調べてみた方が良い。
  • 科学研究費補助金について、優秀な研究者が多数在籍する気象研究所のような大きな研究組織には、もっと大型課題の基盤Sや特別推進といった研究課題に挑戦してもらいたい。申請数が多くないと採択もされないので、ぜひ挑戦して欲しい。
  • 獲得した外部資金について、国土交通省の研究費を外部資金として活用する仕組みがあるならば活用すべき。毎年、災害の犠牲者が多数出ている中、気象庁の仕事はとても大切になっているのにも関わらず、国土交通省の研究予算を活用していないのは遺憾である。

議題2: 次期中期研究計画(H31-35)の概要について(懇談)
(全体に関すること)

  • 次期中期研究計画で基盤技術研究分野を独立させて取り組もうとしているのは、意欲的であり、評価したい。
  • 中期計画でしっかりした計画を立てて研究を進めることは非常に大事だと思うが、同時にこれから何が起こるか分からないので、突発的に必要な別の研究が重要になってくるかもしれない。個々の研究者の自由度はある程度確保しておいた方が、結果的に研究所の生産性に結び付くのではないか。しっかり研究者の能力を引き出すという意味で、一番良い考え方を検討して欲しい。
  • 研究者の自由度に関連して、研究者の独自性に基づく新しい発想を生み出すような研究については、どのようにして社会へ貢献できるか、研究機関として、しっかりと研究の位置付けや目的を定めた上で取り組んでいく必要がある。
  • 気候変動適応策に対する社会的ニーズが年々高くなっているが、日本全体を見ても対応できる研究者は少ない。そういった現状を踏まえると、適応策の推進に資するような研究は、気象研究所がやるべき本当に必要な研究であるとして、予算や人員を獲得して、新たな分野を作るといったことに取り組んでも良いのではないか。
  • 気候変動適応策に関連して、市町村の方々が使いやすいダウンスケーリングされたデータセットを作るとか、そういった方々と対話して必要な研究を気象研究所の中に組み込んでいくとか、適応策に関する研究を気象研究所の研究に取り込む良いタイミングではないか。
  • 特別警報や今までに経験したことのない雨量といった表現を使うようになったりしても、迅速な避難には必ずしもつながっておらず、死傷者数を軽減するのにはどれほど役立っているのかという疑問を抱く。河川情報や土砂災害警戒区域などの情報を統合して、その地域で具体的にどのような事態が起きうるのかイメージできるような情報を出せれば、被害軽減に役立つのではないか。災害予測・被害軽減によりダイレクトに直結するような研究を行うべきではないか。

(個別の研究課題に関すること)

  • 地球観測について、全体の目的の中で重要なところを強化するというものが、明確に資料から見えてくると、今後5年間での研究の発展が期待できる。
  • 気候・環境対策分野では、大気と海洋の生物地球化学循環の観測や温室効果ガスの観測など、重要な観測項目がある。こういった重要な観測項目は次期中期研究計画でも是非続けてもらいたい。
  • エアロゾル分野では、「ダイナミックス」研究が重要となってきているが、その部分が読み取れない。
  • 火山の研究について、ALOS-2のSARデータを使うと、前兆が見えるようになっており、資料に是非書いていただきたい。また、火山の噴煙のシミュレーションは、エアロゾルの課題でできるはずなので、上手く連携することが重要である。

(資料に関すること)

  • 次期中期研究計画の各課題の概要について、基盤技術研究分野と課題解決型の災害気象、気候・環境分野との間で、関連する課題間の繋がりやその違いが見えるように、説明をする時に工夫して欲しい。
  • 地球システム・海洋モデリングと他の研究課題との繋がりでいうと、地球規模の予測と季節予測・地域的な予測、さらに観測データをモデルにどう生かすかという点については、課題間での繋がりを分かり易く資料を作ってもらえるとイメージしやすい。
  • 次期中期研究計画について、研究課題によっては、サブテーマのようなものがたくさん並んでおり、どこに重点を置くのかが見えるような資料にして欲しい。
  • 次期中期研究計画の実施体制について、本庁との関係や他機関との共同研究に関して、もう少し出口に近いことを書いていただけると分かり易い。

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