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気象研究所研究開発課題評価報告

気候変動への適応策に資するための気候・環境変化予測に関する研究(仮称)

事前評価

評価年月日:平成21年9月18日

研究期間

平成22年4月 ~ 平成27年3月

研究代表者:

鬼頭 昭雄(気候研究部)

研究の目的

(研究目標)

地球温暖化による気候変動やアジア諸国の経済発展や土地利用変化等に伴う環境変化について、特にアジア太平洋域をターゲットに30年程度先の将来や、不確実性について確率的情報を付加した、高精度かつ高度な気候・環境予測情報を提供可能とすることにより、関係機関や国民の、地球温暖化への適切な適応策の実施、環境変化への適切な対策の実施に資する。

IPCCや第3回世界気候会議(WCC-3)で採択された「気候サービスのための世界的枠組み」構築等の国際的取り組みに貢献することにより、国際的に気象研究所のプレゼンスを示す。

予測実験結果を他の研究領域およびモデル開発ユニットに提供することにより、それらの研究・開発の推進に貢献する。

「地球温暖化予測情報」等による気象庁からの情報提供に貢献するとともに、我が国の国や地方自治体による地球温暖化適応策の策定・実施に資する。

(研究開発の背景)

IPCC/AR4で気候システムの温暖化には疑う余地がないと報告されているように、温暖化問題は我が国のみならず地球全体の重要課題となった。我が国でも温暖化に伴い、異常高温(猛暑日、熱帯夜の増加など)、記録的な大雨の増加、台風の強大化などの気候変動による深刻な影響が懸念されている。こうした気候変動は、これまで講じてきた災害対策等に影響を及ぼすと考えられることから、関係機関においては気候変動への適応策の策定・実施に向け動き始めている。しかし、気候変動予測には不確実性があるため、適応策を策定する者からは不確実性の低減を求められている。また、限られた資源の下で適切に適応策をとるためには、例えば何を優先すべきか等の費用対効果の検討が不可欠であり、その根拠として確率的情報を付すなどしたいっそう高度な予測情報が求められるようになってきた。

他方、アジア諸国の経済発展や土地利用変化(砂漠化等)による我が国への黄砂飛来の増加やオキシダント濃度の増加が言われている。一部では健康への影響が懸念されており、こうした環境変化についての定量的な予測も求められてきている。

これらのことから、地球システムモデルによりエーロゾル(黄砂を含む)や大気化学と気候との相互作用を取り入れて気候変動予測の不確実性の低減を図りつつ、ニーズに応えるための新たな技術開発が必要とあらためて認識した。

研究の目標

地球温暖化による気候変動やアジア諸国の経済発展や土地利用変化等に伴う環境変化について、特にアジア太平洋域をターゲットに30年程度先の将来や、不確実性について確率的情報を付加した、高精度かつ高度な気候・環境予測情報を提供可能とすることにより、関係機関や国民の、地球温暖化への適切な適応策の実施、環境変化への適切な対策の実施に資する。

IPCCや第3回世界気候会議(WCC-3)で採択された「気候サービスのための世界的枠組み」構築等の国際的取り組みに貢献することにより、国際的に気象研究所のプレゼンスを示す。

予測実験結果を他の研究領域およびモデル開発ユニットに提供することにより、それらの研究・開発の推進に貢献する。

「地球温暖化予測情報」等による気象庁からの情報提供に貢献するとともに、我が国の国や地方自治体による地球温暖化適応策の策定・実施に資する。

研究の概要

大気については梅雨や台風等に伴うメソスケール現象が適切に表現できる程度の解像度(約20kmメッシュ:気象庁短期予報現業モデル相当の高解像度)を持ち、海洋については海流やそれに伴う海面水温構造を適切に表現できる程度の解像度(約10kmメッシュ:気象庁北西太平洋海況予報現業モデル相当の解像度)を持つ、高精度の地球システムモデルを開発する。

地球システムモデルにより、十年~数十年規模の自然変動を含む現在の状態を初期値としたアンサンブル予測を行い、近未来における確率的情報を付加した予測結果を得る。

地球システムモデルによるアジア太平洋域の2050年までの地域気候・環境変動予測

地球システムモデルに組み込める、高解像度の全球大気モデルおよび全球海洋モデルを開発する。

アジア太平洋域における地域スケールの気候諸現象の再現性向上をめざした各種物理過程等の改良を行う。

高精度化した地球システムモデルを用いて2050年までの気候・環境変化予測実験を行う。

初期値アンサンブル予測による地域気候変動の近未来予測

課題1で開発したモデルに海洋観測データを同化したアンサンブル初期値を作成する。その初期値から2020~2030年までのアンサンブル予測実験を行う。(具体的なアンサンブル数、予測期間は計算機事情による)

事前評価の総合所見

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