気象観測鉄塔

気象観測鉄塔

気象研究所の気象観測鉄塔は、観測施設としてだけでなく筑波研究学園都市のシンボルのひとつとして長年親しまれてきました。

この鉄塔は、気象研究所が高円寺から筑波研究学園都市に移転(1980年)する際、共同利用施設として1973年に建設が始まり、 1975年12月に竣工しました。鉄塔の高さは213m、途中10m・25m・50m・100m・150m・200mにステージが設けられ、3方向に突き出た アームの先端に取り付けたプロペラ型風向風速計、超音波風速計、白金抵抗温度計、静電容量湿度計、熱電対乾湿計などの気象センサーで 観測を行っていました。また、地表面付近での二酸化炭素や大気エーロゾルのサンプリングにも活用されました。

設置当初は、鉄塔によるテレビ電波障害がおこり筑波研究学園都市おける最初の公害問題となったり、しばしば雷災に見舞われて機器が破損したりと、 様々な困難にみまわれましたが、気象衛星研究部(現在の気象衛星・観測システム研究部)を中心に観測が続けられてきました。 また、近隣にある資源環境総合技術研究所(現在の産業技術総合研究所)や国立環境研究所など、多くの研究者たちがこの鉄塔のデータを利用しました。

しかしながら、完成から30年余の歳月が経ち、鉄塔本体が老朽化したこと、新しい観測技術の確立により鉄塔観測の必要性が相対的に 低くなってきたことから、2010(平成22)年に鉄塔の解体が決定し、2011(平成23)年6月に、付近の住民に惜しまれつつ36年の歴史に幕を下ろしました。


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