データ同化技術と観測解析技術の高度化に関する研究


 全球からメソスケールまでのデータ同化技術と衛星・地上リモートセンシング及び直接観測データを利用した、台風・集中豪雨等の監視・予測精度向上のための研究開発を行います。

  • 副課題1:衛星データの同化及びリモートセンシング技術の高度化
  • 副課題2:次世代メソスケールデータ同化及びアンサンブルシステムの高度化
  • 副課題3:顕著現象の実況監視とメカニズム解明・予測のための地上リモートセンシング技術の開発

D課題 概念図


研究期間

2024年度~2028年度


研究代表者

気象観測研究部長



研究目標

 目的を達成するため、以下を行う。
・シビア現象の予測精度の向上のためのデータ同化技術の改良やアンサンブル予報技術の開発(副課題1,2)
・次期静止気象衛星ひまわり等の衛星データを有効かつ効率的に同化する技術の改良と大気放射収支及びエーロゾル・雲の監視技術の改良(副課題1)
・水蒸気やエーロゾルなどの観測技術の開発とその有効性の評価、新しい観測データ選択法の開発(副課題1,3)

副課題1 ① 衛星データ同化の改良
・全天候域での衛星輝度温度同化など、衛星同化手法の高度化や、新規衛星データの導入・同化改良を行う。ひまわり後継衛星等の将来の衛星観測を想定し、OSSE 等を実施して、新規観測データの同化観測やインパクト評価を行う。
② 全球データ同化システムの改良
・アンサンブルを用いた全球データ同化手法の開発・改良や、誤差統計処理の高度化や結合同化などによる観測情報の拡充、観測インパクト評価の高度化、海洋結合同化の高度化を行う。
③ 衛星・地上観測による大気中物質のリモートセンシング技術に関する研究
・A-Train の後継衛星(EarthCARE、AOS)、次期静止気象衛星を用いてエーロゾルの推定手法を開発し、地上リモートセンシングによる検証手法を確立することで、包括的な観測によってエーロゾルの時空間変動の把握を目指す。
・各種全天カメラとスカイラジオメータを用い、雲の放射に関する全てのパラメータ(3 次元分布、熱力学的相、微物理・光学特性)を観測する地上システムを開発する。また、全天カメラを用いた雲の無人観測システムを開発する。
・太陽光・月光観測分光放射観測技術の開発を行い、昼夜間のエーロゾルの変動 監視技術を確立する。また、エーロゾル組成推定技術を利用し、エーロゾル光学特性の空間・時間分布を解析することで、大気放射場の変動の要因を明らかにする。
・大気プロファイル推定技術の向上のため、衛星搭載の赤外サウンダデータにおける観測データ情報圧縮・抽出アルゴリズムを開発する。
・衛星リモートセンシングの基盤技術の高度化を目的に、雲水・氷晶・雪片・霰の放射特性の高精度化、可視・赤外・マイクロ波の放射伝達計算手法や、温度・水蒸気・不安定指数の推定技術の高度化を行う。
・赤外サウンダデータを用いた火山灰情報の高度化を行う。
・ひまわり等イメージャの赤外チャンネルを使った火山灰推定(OVAA)の精度を向上させる。
・推定結果を気象庁移流拡散モデル(JMA-ATM)に利用する。
副課題2 ① 非線形・非ガウス性が卓越する顕著現象に対する予測可能性の向上
・非線形性・非ガウス性が卓越している顕著現象の予測可能性を向上すべく、データ同化システムの高度化を図る。
② 高度な観測データ同化手法の開発・高頻度・高密度な観測データを同化する手法を開発するとともに、新規観測データの同化手法を開発する。
③ アンサンブルシステムによる豪雨予測・豪雨予測を精度良く行うアンサンブルシステムの開発及びアンサンブル情報の高度利用法を開発する。
副課題3 ① 顕著現象のメカニズム解明・予測のための地上リモートセンシング技術の開発と実証実験
・大気下層をターゲットとした、高精度かつ小型・低コストで多点展開できる水蒸気ライダー等の観測技術を開発する。
・豪雨発生域の風上(地上、洋上)等で実証実験を行い、観測データ質の評価、現象解析、データ同化による予測インパクト調査、実況把握への利用を行う。
② 実況監視とメカニズム解明・予測に有望なデータの特性と有効性の調査
・予測に有望なデータの選択法の調査と開発を行う。
・新しい観測データの特性調査、同化手法の開発を行う。
・地上マイクロ波放射計を用いた水蒸気・雲の推定技術開発を行う。
③ 火山噴火や森林火災等エーロゾル監視のための地上リモートセンシング技術の開発
・全球規模で気候変動に影響を及ぼす成層圏エーロゾルの観測と放射効果の評価、地球システムモデル、火砕物移流拡散モデルの検証を行う。


各年度の研究計画

研究計画の詳細は以下のファイルをご覧ください。

2024年度(PDF 301KB)