令和3年度 気象研究所 研究成果発表会
多数のご視聴ありがとうございました。
今年、真鍋淑郎先生がノーベル物理学賞を受賞されました。真鍋先生は大気と海洋を結合した数値モデルを世界に先駆けて開発され、二酸化炭素の増加が地球温暖化につながることを明らかにされました。
この研究成果発表会では、真鍋先生のご功績にも触れつつ、気象研究所での地球システムモデル開発の歴史や、これを用いた最新の気候研究等の動向をご紹介しました。
開催日時
令和3年12月12日(日)13:30-16:30
講演題目
講演題目は以下の4題目です。発表スライドを公開しました。- ① 地球温暖化研究と歩んだ気象研究所地球システムモデル開発 40 年 気候・環境研究部 行本 誠史
- ② 高解像度気候モデルによる地球温暖化予測 気候・環境研究部 水田 亮
- ③ 地球システムモデルで探る火山噴火の気候と生態系への影響 応用気象研究部 小畑 淳
- ④ 地球システムモデルを用いた黄砂の長期変化等について 全球大気海洋研究部 眞木 貴史
発表スライド(PDF 8MB)
講演内容の概要を表示
気象研究所が現在のつくば市に移転してきた1980年から始まった気象研究所での地球システムモデル開発研究の歴史を紹介します。
このモデル開発研究は、地球温暖化予測研究と一体となって進められ、多くの業績を残してきました。ノーベル賞を受賞された真鍋先生の業績とも対比させながら、これら研究業績の内容について紹介します。
さらに、今後、このモデルを気象庁の業務に活用するため、どのような取り組みを行っているのかについても触れます。
発表スライド(PDF 8MB)
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気象研究所では、約20年前から、水平解像度が約20km の全球大気モデルを開発してきました。これにより、高解像度モデルでは世界初となる長期気候予測計算を実施したのをはじめとして、この分野での地球温暖化予測研究をリードしてきました。
さらに、全球大気モデルの結果を、水平解像度約2kmまでの領域気候モデルで空間詳細化(ダウンスケーリング)することなどにより、台風や梅雨時の大雨等の極端現象が地球温暖化の影響でより激化することを再現するなどの多くの成果を得てきました。このような成果は、日本における地球温暖化適応策の推進に大いに貢献してきました。
本講演では、この20年にわたるこのような地球温暖化予測研究の進展を振り返ります。
発表スライド(PDF 5MB)
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地球上では遥か太古から活発な火山活動が繰り返し起きています。大規模な火山噴火が発生すると、大気中に大量の火山灰や硫酸エアロゾル粒子などの微小粒子が拡散し、気候と生態系へ大きな影響を及ぼします。例えば、1991年のピナツボ火山噴火では世界的に寒冷化が起こり社会的にも大きな問題となりました。このような大規模噴火時の広範囲に及ぶ影響を把握することは、リスク管理という意味でも大変重要になってきます。気象研究所では、地球システムモデルを用いたシミュレーションにより、歴史的な巨大噴火前後の気候変化と生態系への影響を見積もる研究を行っています。
本講演では、ピナツボ噴火の数倍の規模に相当する10世紀の白頭山(中朝国境)とエルトギャゥ(アイスランド)の巨大火山噴火が発生した時、日射や気温はどう変化したのか、これにより植物の生産量はどの程度影響を受けたのか、について最新のシミュレーション結果を用いて解説し、噴火時に平安時代であった日本での騒乱など、歴史的事実も交えて紹介します。
(この内容の論文についてはこちらからご覧いただけます)
発表スライド(PDF 5MB)
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黄砂は、日本においては主に春季に西日本で見られ、視程の低下など、われわれの生活に影響を及ぼします。また、アジア、アフリカの乾燥地帯やその近傍では、砂塵嵐として、多大な経済的、人的被害を及ぼしています。このことから、黄砂は、広く世界的にもその動向について注目されています。
黄砂は、乾燥地に強風が吹くと舞い上がり、それが大気中を輸送される現象であるため、気象、土壌等の状況を長期的に把握した上で地球システムモデルを用いてその振る舞いを再現しています。
本講演では、気象研究所が開発した地球システムモデルを用いた黄砂の長期変化などに関する研究について紹介します。
ポスター
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問い合わせ先
気象庁気象研究所企画室
〒305-0052 茨城県つくば市長峰1-1
TEL:029-853-8535 E-mail: