令和元年10月12日に千葉県市原市で発生した竜巻による上空の飛散物を最新の二重偏波レーダーが捉えました
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令和2年3月30日
気象研究所は、令和元年10月12日8時8分頃に千葉県市原市で発生した竜巻について、 羽田空港及び成田空港に設置された気象庁の最新の二重偏波レーダーを用いた解析を行いました。 この結果、竜巻によって地表面から巻き上げられた飛散物が、上空の渦とともに北西に移動しつつ、 水平方向及び高度方向に拡がる様子を、国内で初めて、2台の二重偏波レーダーにより精度よく捉えることに成功しました。
令和元年10月12日に千葉県市原市で発生した竜巻による上空の飛散物を最新の二重偏波レーダーが捉えました
下の動画は成田空港に設置された二重偏波レーダーによる仰角0.7度PPI観測データの表示(2019年10月12日8時5分~14分頃、高度は約550m)であり、
それぞれ、反射強度(左上図)、ドップラー速度(右上図)、偏波間相関係数(左下図)、反射因子差(右下図)の分布を表しています。
各図中の黒破線は被害地点、縦軸・横軸は成田の二重偏波レーダーからの南北・東西の座標(単位は㎞)です。地図には国土数値情報の行政区域データを使用しました。
被害地点付近に注目すると、反射強度が大きく、渦を示すドップラー速度分布を持つことに加え、偏波間相関係数(一様性)が0.8よりも小さく、
反射因子差(水平と垂直の反射強度の差)が0に近いかそれより小さい領域が、竜巻発生時刻頃に発生し、広がりながら北西に移動する様子が分かります。
この領域は竜巻による飛散物を二重偏波レーダーが観測した際に示す特徴を持っており、この事例においても竜巻飛散物を捉えたと考えられます。
詳細は、本文とその別紙をご覧ください。
補足
・PPI: Plan Position Indicatorの略。 特定仰角にアンテナを向け方位方向に回転させる観測。
・反射強度(左上図:観測対象からの反射の強さ。数が多い場合、対象が大きい場合に強い値をとる)
・ドップラー速度(右上図:寒色はレーダーに近づく速さ、暖色はレーダーから遠ざかる速さを表す)
・偏波間相関係数(左下図:一様性を表す観測要素。値が小さいほど様々な形状の観測対象が混在していることを表す)
・反射因子差(右下図:水平と垂直の強度の差を表す観測要素。観測対象が球に近い場合や、水平方向と垂直方向の違いがなくなるほど観測対象がランダムに分布しているときに0に近い値をとる)。
※詳細は本文とその別紙を参照して下さい。
気象研究所 台風・災害気象研究部第三研究室 研究官 梅原
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企画室 広報担当
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