研究概要

課題名:「気温0℃近傍で形成される多様な融解粒子のモデル化と探知」基盤研究(B)

本研究の概要

  • 本研究では、気温0℃近傍で出現する多様な降雪粒子(湿雪、あられ、凍雨、雨氷など)を表現できるようなバルク法の微物理パラメタリゼーションと、レーダーの速度・偏波情報を利用した融解粒子や乾雪、あられを面的に判別するための手法を開発する。これらの手法の改良と検証は、地上降雪粒子の定点および移動観測を活用して行う。
  • 本研究の成果は、地上リモートセンサーや衛星を用いた降雪・降水観測の精度を向上させ、着氷・着雪など気温0℃近傍の降雪がもたらす広域大規模災害の予測と軽減に大きく貢献する。さらに本研究は、今後より研究の重要性と必要性が高まるであろう「マルチフェーズ気象学」の嚆矢として、これまでモデル化が困難であった、気相・液相・固相が複雑に共存する対流雲と層雲が複雑に組み合わさった雲システムの降水・維持機構と大気場へのフィードバックなどの解明にも寄与する。

本研究の目的

  • 本研究の目的は、気温0℃近傍で融解が関与して形成される多様な粒子を表現可能なバルク微物理パラメタリゼーションを開発すること、および地上降雪粒子観測や偏波レーダーを用いてパラメタリゼーションを検証するとともに、偏波情報を利用して多様な粒子判別のためのアルゴリズムの高度化と改良を目指すことである。
  • 本研究の学術的独自性は、気温0℃近傍での多様な粒子を表現可能な数値モデル開発という、現在まで日本国内ではほとんど取り組まれてこなかった非常に難しい課題への挑戦であり、しかも「マルチフェーズ気象学」という新しい分野の創出において独自性と創造性を有する。また、偏波パラメーターと多様な粒子との対応を明らかにして、これらの粒子の面的な分布の探知を目指す点にも独自性がある。




気温0℃近傍の多様な粒子を表すモデル。背景が黒色の過程を新たにモデル化する。