本年6月4日桜島噴火の噴煙高度は約8,000m以上
~気象レーダー観測網による観測結果から推定~
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本年6月4日2時59分、桜島(鹿児島県)では、噴石及び空振を伴う噴火(爆発)が発生しましたが、雨の影響により、監視カメラによる観測では、噴煙の高度が分かりませんでした。
しかし、気象庁が雨や雪の観測に用いる気象レーダー観測網(※1)がこの噴火による噴煙・火山灰雲を捉えており、気象研究所が独自に開発した手法(※2)を用いて解析した結果、噴煙高度は最高で海抜約8,910~10,630m(火口上約7,850~9,570m)となっていたと推定できました。
この解析結果については、6月24日から30日にかけて気象庁が開催した第146回火山噴火予知連絡会の資料として活用されています。
これまでの桜島の噴煙高度の観測(1955年10月以降の目視及び監視カメラによる観測)では、令和元年(2019年)11月8日17時24分の爆発で火口上5,500mという記録がありますが、観測手法の限界により、この事例を超える高さの噴火も複数発生していたと考えられます。実際、平成24年(2012年)7月24日19時15分の爆発では、8,000mに達していたとの報告があり(※3)、今回の噴火(爆発)に伴う噴煙高度は、この事例と同程度であったと推測されます。
気象研究所では、気象レーダー等の観測データを用いた噴火現象の検知や噴煙に含まれる火山灰等の定量的推定手法の開発を進めており、引き続き、これらの実用化を目指して研究・開発を進めてまいります。
※1
気象庁ホームページ 知識・解説 > 気象衛星・気象観測 > 気象レーダー
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html
※2
Sato, E., Fukui, K. and Shimbori, T, 2018, Aso volcano eruption on October 8, 2016, observed by weather radars. Earth Planets Space, 70, 105.
※3
井口正人(2013)桜島火山の噴火活動 ―2012年7月~2013年6月―,桜島火山における多項目観測に基づく火山噴火準備過程解明のための研究(課題番号1809)報告書.
(2020.7.17追記)お知らせ本文に一部追記・修正しました。
詳しくは、以下の資料をご覧ください。
第146 回火山噴火予知連絡会資料
気象レーダーで観測した 2020年6月4日桜島噴火に伴う噴煙・火山灰雲エコーについて
気象庁気象研究所 火山研究部 第二研究室 主任研究官 佐藤
電話:029-853-8756