可搬型ドップラーレーダー

可搬型ドップラーレーダー

重要な気象現象のプロセスはkmかそれ以下のスケールで生じますが、これらは従来の固定型の気象レーダーで観測することは困難です。その最も大きな理由は、現象が固定型レーダーの近くにあるとは限らないことです。そのため、ビームの広がり、地形障害物、地球の丸みなどにより、現象の微細構造の観測を困難にしています。これらの現象の微細構造を観測することは、現象の形成や維持をよりよく理解するために必要と考えられています。

可搬型ドップラー気象レーダーX-POD(X-band, POrtable Doppler radar)は、2006年に気象研究所に導入されました。

X-PODの特長は可搬性(小型で低消費電力)です。X-PODはその可搬性を生かして、気象現象に接近して展開することができ、現象が観測範囲内にある間、連続して微細構造を観測することができます。

X-PODの運用によって、固定型レーダーでは捉えられなかった、多くの気象事例を観測するチャンスが増えることが期待されます。今後X-PODを、上陸台風、対流性のじょう乱、山岳性降雪雲、あるいは晴天境界層など様々なメソスケール現象のデータ収集に利用する計画です。