フェーズドアレイレーダー
局地的大雨や竜巻などの激しい大気現象を素早く的確にとらえ、災害リスクを減らすための高度な気象予測情報を創り出すことは、重要なテーマの一つです。これらの現象が発生していく様子を目のあたりにできれば、その物理メカニズムを詳しく理解でき、さらには実況監視や短時間予測に関わる重要な情報が得られると考えられます。
フェーズドアレイレーダーは、2015年に気象研究所に導入された最新鋭の気象レーダーです。フェーズドアレイレーダーの特徴は、仰角を変えるためのアンテナの上下方向の首振り機構を、すばやい電子スキャンに置き換えたところにあります。従来のレーダーでは現象の断面30枚を観測するのに5~10分かかるところを、フェーズドアレイレーダーは100枚もの断面をわずか30秒ですきまなく観測することができます。
今後、このレーダーの高速スキャンを活かすことで短時間に目まぐるしく変化する現象を立体的に連続的に観測し、甚大な災害をもたらす大気現象の発生メカニズムの解明を目指すとともに、新しい気象情報の確立に役立てる計画です。