研究概要

課題名:「最先端解析手法を用いた多様な地表面上でのシビア現象発生機構の解明と予測」基盤研究(A)

本研究の目的

平坦または複雑地形上に出現して短時間強雨(30分間降水量がおよそ 10 - 15 mm 以上)や 突風などのシビア現象をもたらす積乱雲の時間発展をレーダーデータ解析とサブ km 解像度 の高解像度数値モデルや湿潤LES による実験とによって対流スケールで明らかにし、レーダ ー解析と数値モデル実験とを相互補完的・有機的に用いることによって、これらのシビア現 象の発生機構の解明と短時間予測の高度化を行うことである。

本研究の独自性

気象と数理・情報、土木の分野の連携によって、最新鋭レーダーの高い時間解像度性能を活 用して、多様な地形上に出現する積乱雲内の対流スケールでの詳細な3次元構造の時間発展を 非常に高い時間解像度で明らかにすることによってシビア現象の発生機構を解明し、このよ うな解析から明らかにされたシビア現象を発生させる活発な積乱雲の特徴を最新の予測手法 の一つである非線形時系列解析に取り入れてシビア現象の短時間予測の高度化を行い、さら には高度化された予測降水量が中小河川の流出予測に及ぼす効果までも評価する点にある。

本研究の創造性

これまでの降水量短時間予測においてブラックボックス的であった積乱雲の内部構造(特に、 3次元気流構造)を対流スケールで明らかにし、その結果を活用して短時間強雨だけでなく突 風までも含めたシビア現象の短時間予測の高度化を行うことである。また、本研究における 複雑地形上での積乱雲の構造解明は、積乱雲と地形との相互作用に関する研究の端緒となる ものであり、土砂災害を発生させるような山地上での大雨の予測精度向上を目指した研究の 発展に大きく貢献する。


降水粒子観測

平地と山地での降水強度や降水粒子の粒径分布の 違いを明らかにするとともに、観測結果を用いて 降水形成過程の数値モデルを高度化・改良します。

大阪市内の明星ビル屋上に設置したディスドロメーター(降水粒子観測装置)
(明星ビルからご協力をいただいて観測を実施しています)


箕面市環境クリーンセンター屋上に設置したディスドロメーター(降水粒子観測装置)
(箕面市環境クリーンセンターからご協力をいただいて観測を実施しています)