気象研究所 > 地震火山研究部 > 第二研究室 > 小林のページ > 三ケ日歪と水位変化

三ケ日観測点で夏季に見られる特徴的な体積歪・水位変化の原因特定とモデル化

(小林昭夫・山本剛靖・近澤心・木村一洋・吉田明夫, 2010, 験震時報, 73, 159-163.)


 昔から出ている変化だったので、観測点の定期点検時や浜松測候所の人が原因を調べたがわからなかったらしい。私が付近の商店や工場をリストアップして電話で聞き取り調査をしたら2軒目で当たってしまった。ちょうど地下水汲み上げのポンプが劣化してきたということで、原稿を書いている頃には変化が出なくなった。


要旨
 三ケ日観測点で毎年夏季に何回か観測されていた特徴的な歪・水位変化の原因は,近くの井戸における揚水であることが明らかになった.揚水時の歪変化と水位変化速度が似ているのは,帯水層と水位を観測している観測孔内との間の透水係数が小さいと考えることで説明できる.三ケ日では井戸の揚水による歪変化は縮みであり,新旧観測点では,その詳細な歪パターンが異なる.この変化の違いは地下の複雑な物理・水理係数分布を反映していると考えられる.

画像

図 三ケ日観測点で夏季に見られる特徴的な変化
 1999年の6〜8月の記録。上から旧観測点の歪(振幅1/10)、現観測点の歪、水位の1時間差分値(振幅100倍)、水位、気圧、降水量。