3-7 台風
地球温暖化の進行にともなって、台風、ハリケーン、サイクロンなどの熱帯低気圧の活動も変化するのでしょうか。それについてコンピュータで予測するためには、従来の地球温暖化研究で用いられてきた水平分解能100km〜数百km 程度の格子サイズでは不十分なため、これまで良く分かりませんでした。最近、文部科学省の研究計画「人・自然・地球共生プロジェクト」の一環として、気象庁気象研究所や財団法人地球科学技術総合推進機構を中心とする研究グループが、約20km という非常に高い水平分解能をもつ全球大気気候モデルの開発とそれを用いた将来予測(SRES A1B シナリオに基づく)を行いました。その結果、21世紀末の熱帯低気圧の発生数は現在よりも減少すること、強い勢力の熱帯低気圧は現在よりも増加することが示されました(図3-8)
図3-8
熱帯低気圧の強度(横軸が最大風速)別に示した熱帯低気圧の年平均出現数の頻度分布。実線は現在、破線は21世紀末。(気象庁, 2005)