2-6 北極域・南極域の気候  

 北極域および南極域の多くは雪や氷で覆われているため、雪氷に覆われていない陸面に比べて太陽放射の反射率が大きいという特徴があります。温暖化によって海氷域・雪氷域が縮小すると、地面に届く太陽エネルギーの吸収率が増加するために、気温が上昇 → 海氷域・雪氷域の縮小 → 気温が上昇 → ・・・という連鎖が起こります。このため、極域には地球温暖化の影響がいち早くかつ顕著にあらわれると考えられます。
 図2-10に極域の様々な観測データを示します。北極域の気温は上昇する傾向にあります(図2-10(A))。過去100 年間で見ると、世界平均の上昇率の約2 倍の速さで上昇しています(図は省略)。一方、南極域では大きな変化は見られません(図2-10(G))。北半球の積雪面積も減少しており、1980 年代後半には急激に減少しています(図2-10(D))。積雪面積の減少傾向は特に春季と夏季に顕著です(図は省略)。海氷面積については、北極の海氷面積は、1978 年以降のデータで10 年あたり2.7±0.6%縮小しています(図2-10(B))。特に夏季の縮小は10 年当たり7.4±2.4%となっています(図は省略)。一方、南極の海氷面積には明瞭な平均的傾向は見られません(図2-10(F))。
図2-10 図2-10 北極域および南極域の地表付近の気温(A、G)、北極域及び南極域の海氷面積(B、F)、北半球の凍土面積(C)、北半球の積雪面積(D)及び氷河の質量収支(E)の平年差時系列。赤線は、図E については地球全体の累積氷河収支を示し、その他のグラフについては十年規模の変動を示す。(気象庁, 2007b)