2-5 海面水位  
 地球温暖化によって海面が上昇すると考えられます。過去数十年間に観測された海面の上昇は、@海水の熱膨張(水は暖まると膨張する)、A南極とグリーンランドの氷床(大陸規模の氷河)や山岳氷河が融け出したり、氷山として海に流出したりすることが主な原因となっています。なお、北極域や南極域の海氷は海の上に浮かんでいるため、融けても海面水位の上昇はもたらしません。
 海面水位の長期変化は、検潮所の観測記録や、最近は衛星観測のデータから推定されています。検潮記録は海面水位の変化のみならず、検潮所の地盤の変化も重なっているので、世界的な評価はなかなか難しいものの、20 世紀では世界平均の海面水位は17cm程度(±5cm)上昇したと推定されます(図2-9)。

図2-9
図2-9 潮位計(白丸)と衛星データ(赤線)による世界平均の海面水位。1961〜1990年の平均を基準としている。滑らかな黒線は10年平均値。陰影域は観測の不確実性の幅。(気象庁, 2007a)