2-3 日本の気温と降水量  
 日本各地の気象台のうち、都市化の影響が比較的少ない17地点での観測によると、気温は1898年以降では100年あたり1.07℃の割合で上昇しています(図2-5)。一方、大都市域での気温上昇はそれよりも大きく、東京では同じ期間に3.0℃も上昇しています(図は省略)。こうした差は主に都市化(ヒートアイランド現象)の影響であると考えられます。気温の変化傾向をさらに詳しく地域別、季節別に見ると、北日本、東日本および西日本では冬から春にかけて、南西諸島では春から秋の上昇が大きくなっています(表2-1)。

 次に降水量について見ると(図2-6)、明瞭な長期傾向は認められません。ただ、20世紀初めに比べると近年は年ごとの変動の幅が拡大する傾向があります。
図2-5
図2-5 日本における年平均気温の経年変化(1898〜2006年)。棒グラフは、国内17地点での年平均気温の平年差を平均した値。太線(青):平年差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。平年値は1971〜2000年の30年平均値。(気象庁, 2007c)

表2-1
表2-1 日本の平均気温についての直線近似による長期変化傾向(℃/100年)。統計期間は1898〜2004年。*をつけた値は変化傾向が統計的に有意であることを示している。また、それぞれの地域で年の長期変化傾向を上回った季節に灰色を施している。(気象庁, 2005)

図2-6
図2-6 日本における年降水量の経年変化(1898〜2006年)。棒グラフは、国内51地点での年降水量の平年比を平均した値。緑線:平年比の5年移動平均。平年値は1971〜2000年の30年平均値。(気象庁, 2007c)