1-1 気候システム

 地球温暖化とは人間活動による二酸化炭素(CO2)排出などの人為的要因によって地球の気候が変化することです。気候とはある地域での天気をある時間にわたって平均した状態およびその変動をいいます。なぜ気候が変化するのか、またどのように変化するかを知るために「気候システム」というものを理解する必要があります。
 気候システムは、大気、海洋、地表面、雪や氷、海洋、生態系などの要素から構成され、それぞれの要素の間でエネルギー、水、その他の物質をやりとりすることによって複雑に相互作用をする総合的なシステムです。その概要を図1-1に示します。気候システムは外部から強制が加わることで変化しますが、外部からの強制を受けなくとも内部の要因によっても変動します。このため、地球の気候は常に変動していて、そのふるまいは対象とする時間スケール(年々〜数万年)によって異なります。内部の要因による変動の代表的なものの一つがエルニーニョです。外的な強制要因は、火山の噴火、太陽活動の変動、地球の軌道や自転軸のわずかなブレ、などの@自然的要因と、二酸化炭素濃度の変化や土地利用の変化(森林伐採や耕作地化など)などのA人為的要因の2つに大別されます。産業革命以降の人間活動の増大により、人為的要因による強制が他の要因を凌駕して気候変化を引き起こしつつあります。
図1-1
図1-1 気候システムを構成する要素とその過程、相互作用の概要(気象庁,2007b)