【東京大学生産研究所等との共同プレスリリース】
南海トラフ沿いの固着は
 時間的に「変化する場所」と「変化しない場所」がある
―プレート境界の固着状態の時空間変動を観測から把握―

東京大学
海上保安庁
気象庁気象研究所

発表日

令和8年6月3日

ポイント

  • 海上保安庁による11年間の精密な海底地殻変動観測データを解析し、プレート境界のくっつき具合(固着状態)が変化するパターンを初めて明らかにした。
  • 震源域の中でも、巨大地震のエネルギーを溜め込み続けている「安定した固着域」が主に日本列島南岸に近い海底下に存在し、「固着が時間変動する領域」がその南側に存在することを突き止めた。
  • 海底下の固着の時間変動を観測データから把握できるようになったことで、将来の地震の規模や性質をより正確に見極め、国や地域の防災対策に活かされることが期待される。

研究の概要

 東京大学 生産技術研究所の横田裕輔准教授と、海上保安庁海洋情報部の渡邉俊一主任海洋防災調査官、気象庁気象研究所の野田朱美調査官(現・産業技術総合研究所)、海上保安大学校の石川直史教授らによる研究グループは、直近11年間の海上保安庁の海底地殻変動観測データを精査することで、南海トラフ地震の想定震源域におけるプレート境界の固着状態の時間変動の把握に成功し、その変動パターンが各地で異なり、固着の強さが観測期間内で変動しない領域と変動している領域とに分けられることを見出しました。
 本研究では、海上保安庁が運用している海底地殻変動観測網「SGO-A」の11年分の長期データを用いました。先行研究では、使用できるデータの期間が短く、固着状態の時間変動を十分な精度で捉えることが困難でしたが、その後のデータの蓄積と解析技術の向上により、詳細に把握することができました。今回の研究成果は、将来発生可能性のある地震のより正確な評価に貢献し、国や地域の地震防災対策に役立てられると期待されます。
 海上保安庁は、観測点の拡充にも取り組んでおり、今後のさらなるデータの蓄積によって、より詳細な固着状態のモニタリングが可能になることが期待されます。

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