科学技術振興調整費 <重要課題解決型研究等の推進>
渇水対策のための人工降雨・降雪に関する総合的研究

副課題1 人工降雨・降雪による水資源確保・渇水被害軽減の可能性評価に関する研究
副課題2 リモートセンシング技術を用いた人工降雨・降雪に関する研究
副課題3 航空機等の直接観測手法を用いた人工降雨・降雪に関する研究
副課題4 数値モデルを用いた人工降雨・降雪に関する研究

研究期間 平成18年度〜平成22年度(5年計画第2年度)
研究代表者 村上正隆 (物理気象研究部) 
担当研究部 予報研究部、気候研究部、物理気象研究部、環境・応用気象研究部、気象衛星・観測システム研究部  
研究参画機関 東北大学、京都大学、(独)情報通信研究機構、(独)防災科学技術研究所、(財)日本気象協会、(株)いであ、(株)三菱電機特機システム 
研究協力機関 富山大学、(独)海洋研究開発機構、ダム管理機関 
課題概要(pdf)
(文部科学省HPより)

研究目的  国連は2025年までに世界の2/3の人口が水不足に直面すると指摘している。日本でも人口集中域では潜在的な水不足の状態にある。地球温暖化が進むと、少雨・渇水や豪雨・洪水などの異常気象が頻発することも指摘されている。今後予想される渇水等の災害軽減対策を早急に講じる必要がある。 本研究では、安定的水資源確保や即効的渇水対策のための人工降雨・降雪技術を確立する。

全体目標  3年目までに、人工降雨・降雪が有望な地域・時期と渇水時の典型的天気パターンの特定、人工降雨・降雪に適した雲の出現頻度把握、航空機を用いた人工降雪に関する最適シーディング法・効果判定法の高度化、人工降雨の可能性評価を行う。
 研究終了時までに、総合的水資源管理システムを渇水年に適用し、種々のシーディング法を想定した人工降雨・降雪による水資源確保と渇水対策効果を実証的・定量的に評価する。



研究概要
 
  1. 人工降雨・降雪による水資源確保・渇水被害軽減の可能性評価に関する研究
     降水量とダム貯水量の変動特性から渇水要因を特定し、人工降雨・降雪による水資源確保・渇水被害軽減の可能性を評価するアルゴリズム開発・改良を行う。このアルゴリズムを用いて、渇水対策・水資源確保の観点から人工降雨・降雪に対するニーズの高い関東以西の主要ダム地域における1994年以降の気象・水文(ダムの水収支)データから、人工降雨・降雪による水資源確保・渇水被害軽減の可能な地域・時期を明らかにする。過去の渇水年の気象データを用い、大規模循環場解析やメソスケール解析に基づく、渇水時天気パターン特定アルゴリズムの開発・改良を行う。このアルゴリズムを用いた天気パターンのリアルタイムモニタリングにより、平年でも短期間出現する渇水年と同じ天気パターン時の雲を対象とした航空機等を用いた人工降雨実験を可能にする。
     過去データを用いた解析、アルゴリズム開発は1年目に集中的に実施し、2年目以降は当該年度のデータを用いた解析、アルゴリズム改良を行う。
        
  2. リモートセンシング技術を用いた人工降雨・降雪に関する研究
     NHMのための四次元変分法データ同化システムを開発する。この方法は、モデルの第1推定値とある期間の全観測データに最も近いモデル大気の時間発展を与える初期値を求めるものである。これに精巧な雲物理過程などを組み込むことにより、雲物理量に関連したデータの同化に対応できるようにする。  メソ現象の解析に有効と考えられる衛星マイクロ波放射計輝度温度データ、ドップラー動径速度データ及びGPS大気遅延データなどのNHMへの同化法を開発する。無人気象観測機などによってこれまで得られたシビア現象付近での観測データを用いて、それらのデータを取り入れた場合と取り入れない場合の非静力学モデルの感度実験を行う。

  3. 航空機等の直接観測手法を用いた人工降雨・降雪に関する研究
     寒候期にはシーディング用航空機と観測用航空機を用いて、山岳性降雪雲を対象とした準実スケールのドライアイスシーディング実験を実施する。シーディング前後の雲の微物理構造の変化から増雪効果を定量化する。降水量および降水の微物理に関する地上観測を実施し、サブテーマ2のリモセン観測によって得られる一般気象要素・雲物理要素への依存性を明らかにすることによって、S/N比の高いシーディング効果の統計的評価法を開発する。暖候期には、渇水時と同じ天気パターンの下に出現する雲を対象に、シーディング・観測兼用航空機を用いた雲の直接観測や小規模シーディング実験を行い、人工降雨に適した雲の出現の有無やシーディング効果の有無を明らかにする。
     
  4. 数値モデルを用いた人工降雨・降雪に関する研究
     ドライアイスや吸湿性粒子によるシーディング実験も取り扱える高精度な雲の数値モデルを開発する。このモデルを用いて、人工降雨・降雪に適した雲の出現予報実験を実施する。並行してシーディング実験を実施し、両者を比較することにより増雨・増雪効果の定量化を行う。積雪融雪流出モデルや水管理モデルと組み合わせた総合的水資源管理システムを開発し、人工降雨・降雪の水資源確保・渇水対策としての有効性を定量化する。人工降雨・降雪による広域の環境影響評価を行う。