電子計算機システム |
|
気象研究所の電子計算機システムでは、主に、気候変動、台風や集中豪雨雪などの気象現象、地震・火山現象の解明や予測を行うために、大気海洋結合モデル、雲解像度非静力学モデル、地殻プレートの3次元数値モデルなどを用いた大規模な数値計算を行っています。
電子計算機システムは、各機器をネットワークにより相互に有機的に結合し、システム全体の負荷分散を図ったシステムとなっています。システムの核となるスーパーコンピュータは、理論最大演算性能 601.6Gflops のノード 121 個を高速クロスバネットワークで接続し、全体として 72.7Tflops の高速演算処理を実現しています。また、コンパイラは自動ベクトル化や自動並列化を行い、ハードウェアの性能を最大限に引き出すことが可能です。
|
ライダー |
|
|
ライダーは電波の代わりにレーザ光を用いたレーダーです。 パルス状のレーザ光を大気中に発射し、大気・雲・エーロゾルからの反 射光を反射望遠鏡で集めて検出し、その強さとドップラー速度を測定す ることで大気微量成分や水蒸気、風、気温、エーロゾル、雲などの分布 を測定します。当所のライダーの1つは、安定性(波長変動±0.0015pm) に優れた3波長の光を1台のレーザから発振することができます。 右の写真は水蒸気とエーロゾルを測定するライダーです。 レーザ光の波長が532nm(緑色)、1パルスあたりのエネルギーが最大 800mJ、繰り返し周波数が30Hz、反射望遠鏡の口径が1mです。測定高度 範囲は高度100m〜10kmまで、高度分解能は100m、時間分解能は3分です。 他の観測手法に比べて高度・時間分解能が高い観測を行うことができま す。 下の図は水蒸気混合比の鉛直分布の推移です。赤い領域ほど 水蒸気混合比が大きいことを示します。高度5km以下に集中して存在する 水蒸気量が時々刻々変化していく様子がわかります。 |
![]() |
![]() |
|
大型気象風洞装置 |
|
| 大気の成層状態が気流の特性に大きく
影響することはよく知られていますが、この風洞装置はその影響を
実験的に検証するに作られたものです。 この風洞装置には速度成層装置、温度成層装置が整備されています。 これらの装置によって風速と気温の鉛直分布を人工的に作り出し、自 然界の流れに類似した大気境界層を形成させて実験を行うことができ ます。風洞内の成層状態の気流中には、地形模型等を設置して、その 気流分布をトラバース装置につけた測定器によって計測を行うことが できます。 測定部の大きさは、幅3m、高さ2m、長さ18mあり、風速の範囲は普通 0.3m/s〜20m/sで、強風ノズル交換によって40m/sまでの風を出すこと ができます。 速度成層装置は、高さ2mの間を20等分して、各段毎に温度を調整でき る構造になっています。また、測定部の床面パネル6枚の表面温度をそ れぞれ独立して決めることができます。 |
|
回転実験装置 |
|
| 本装置は、地球自転の影響をモデル的に与えて、
大気境界層の気流の特性を実験的に研究するものです。 振動の非常に少ない回転台上に環状型風洞を搭載し、その内部の気流を 測定するもので、世界でもあまり類のない装置です。回転実験台の直径は 6m、回転速度は毎分0.2〜20回転の範囲で、回転方向も正逆どちらの方向も 選ぶことができます。回転台の支持は油圧浮揚方式を採用し、回転台の振 動は周辺部で50μ以内と非常に安定性がよいものとなっています。 回転台上には、断面積が50cm x 35cmの環状風洞装置が搭載されており、 地球の回転によるコリオリ力を考慮した実験が行われるようになっていま す。回転台の制御及び計測器による測定は、回転台上でもできますが制御 計測室において、すべての遠隔操作ができる構造となっています。 なお、台上の計測データをFMテレメータにより無線で伝達することがで きます。 |
![]() |
低温実験施設 |
|||||||||||||
|
雲の発生など気象現象の多くは上空の0℃以下の大気中で起こります。
人類が生活を営んでいる対流圏だけを例にとっても、−90℃近くの低温
下で起こる現象もあります。本施設はこのような低温下における気象現
象を解明するための実験や、そこで用いる観測装置の技術開発や性能試
験に広く活用されています。 本施設には表に示すような諸元の−40℃低温実験室と−90℃低温実験 室があり、プログラム制御により日変化などの気温の時間変化を再現す ることもできます。また、垂直風洞を使用して雪片、あられ、ひょうな どの成長実験を行うこともできます。 その他に本施設には、地球環境や気候変動に大きな影響を及ぼしてい る上層雲をはじめとした対流圏の種々の雲の生成過程や、オゾンホール に密接に関係している極成層圏雲の生成過程などの解明を図るために、 雲生成チャンバーが設置されています。このチャンバーの中では、気温 範囲+30℃〜−100℃、気圧範囲1013hPa〜30hPa、上昇流30m/sまでの条 件下で、雲の生成実験を行うことができます。 |
![]()
|
![]() |
![]() |
![]() |
分析用電子顕微鏡 |
| 大気中エーロゾル粒子、雲核および氷晶核などの粒子状物質の
形状と化学組成を研究するために使われています。この装置は透過電子像、
走査透過電子像などの観察機能を持ち、X線分析、電子解析などの分析機能を
備えています。最大倍率は透過像で80万倍、走査像、走査透過像で30万倍で、
元素番号6(炭素)以上の元素の分析が可能です。 また、フィルター・ガラス等に採集されたエーロゾル粒子の形態観測とX線 分析が可能な走査電子顕微鏡(画像処理装置付加)も分析に活用されています。 この顕微鏡の最大倍率は20万倍で元素番号11(ナトリウム)以上の元素分析が 可能です。 |
![]() H-600型分析用電子顕微鏡の本体及び分析装置 |
可搬型ドップラーレーダー |
|
| 重要な気象現象のプロセスはkmか
それ以下のスケールで生じますが、これらは従来の固定型の気象レーダ
ーで観測することは困難です。その最も大きな理由は、現象が固定型レ
ーダーの近くにあるとは限らないことです。そのため、ビームの広がり
、地形障害物、地球の丸みなどにより、現象の微細構造の観測を困難に
しています。これらの現象の微細構造を観測することは、現象の形成や
維持をよりよく理解するために必要と考えられています。 可搬型ドップラー気象レーダーX-POD(X-band, POrtable Doppler radar) は、2006年に気象研究所に導入されました。X-PODの特長は可搬性(小型 で低消費電力)です。X-PODはその可搬性を生かして、気象現象に接近し て展開することができ、現象が観測範囲内にある間、連続して微細構造 を観測することができます。X-PODの運用によって、固定型レーダーでは 捉えられなかった、多くの気象事例を観測するチャンスが増えることが期 待されます。今後X-PODを、上陸台風、対流性のじょう乱、山岳性降雪雲、 あるいは晴天境界層など様々なメソスケール現象のデータ収集に利用する計画です。 |
|
大気二酸化炭素分析計 |
|
|
気象研究所では、地球温暖化の原因物質の一つである二酸化炭素の 濃度変動を支配する要因について研究しています。 写真は気象研究所(露場観測棟)で二酸化炭素を測定している分析計 です。露場から空気を連続的に分析計に導き、地表付近の二酸化炭素の 濃度分布とその経時変化を監視しています。地上付近での温室効果気体 の輸送過程を評価するためのデータが得られています。 |
|
放射能測定装置 |
|
|
原子力の平和利用の拡大とともに増大が懸念されている環境の放射能汚染を迅速かつ正確に把握するために、気象研究所では、空気や降水・落下塵、海水中に含まれる放射能を測定しています。 各種の放射線を感知し定量するために、異なった種類の放射能測定装置が用いられています。 写真は気象研究所で開発したクリプトン測定装置で、核燃料の再処理により増加しつつある大気中の放射性クリプトン濃度を測定しています。 |
![]() |