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台風の強度推定
5. 台風強度推定の例(2013年台風第7号)

2013年の台風7号は、2013年7月8日00UTCにマリアナ諸島で風速34ノットに達したとして北西太平洋ではこの年7個目の台風となりました。その後、西に進みながら発達し、7月10日00UTCには日本のはるか南海上で中心気圧925hPa、最大風速100ノットと解析されました。そこからさらに西北西に進み、石垣島の南から北西進して12日15UTCごろに与那国島を通過しました。

MT-SATの赤外画像では、台風7号の眼は10日には明瞭でした。このときCI数は6.5と解析され、木場ほか(1990)の表にほぼ基づいて上記の925hPa、100ノットという強度が解析されたものです。

赤外画像で確認される台風の眼はこのあと11日以降はやや不明瞭化し、ドボラック法による強度も衰弱傾向と解析されていました。12日日中には眼はさらに不明瞭化しましたが、12日12UTC頃には台風中心付近で新たな対流雲の発達もみられました。しかしこれら雲分布の変化はCI数の解析に反映されることは無く、12日06UTCから13日06UTCにかけてCI数4.5と解析されていました。これは木場ほか(1990)の表では965hPa、71ノットに対応します。
このとき、AMSUでは台風の上層の暖気核が11日より強化していることが捉えられていました。またTRMM/TMIによる推定でも台風の中心付近に強い対流が増え、台風が強い強度を持っていることが示唆されていました。
このように、複数の手法の推定結果を参照することで、ドボラック法による強度推定値をより適切に修正することができます。

実際、この事例では台風が与那国島を通過した際に、与那国島の特別気象観測所で1509UTCに最低海面気圧948.4hPa、1656UTCに10分平均風速44.0m/sが観測されました。気象庁ベストトラックデータでは、最終的に、この地上観測値も参照して、12日15UTCには945hPa、85ノットに再発達したと解析されました。




参考文献

小山亮、櫻木智明、北畠尚子、和田章義、嶋田宇大、2013:衛星マイクロ波データを用いて推定された2013年台風第7号の強度。日本気象学会2013年度秋季大会講演予稿集、P163。


目次

  1. 静止気象衛星赤外画像による台風強度推定(ドボラック法)
  2. 気象庁の台風強度推定におけるドボラック法の適用
  3. 軌道衛星搭載マイクロ波センサーによる台風強度推定 ①マイクロ波放射計
  4. 軌道衛星搭載マイクロ波センサーによる台風強度推定 ②マイクロ波探査計
  5. 台風強度推定の例(2013年台風7号)

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Last update: 17 March, 2014

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