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台風の強度推定
4. 軌道衛星搭載マイクロ波センサーによる台風強度推定 ②マイクロ波探査計

前項で取り上げたマイクロ波放射計データを用いた台風強度推定は、台風の最大風速を推定する手法でした。台風強度としてのもうひとつの指標である中心気圧は、上空の気温分布を反映したものです。気圧とはその上空の空気の重さを表すものなので、台風の上空が周囲よりどれだけ暖かいかを観測できれば中心気圧推定が可能になります。

これに利用できるのが、改良型マイクロ波探査計(AMSU)による観測です。これは大気(酸素)からの55GHz帯マイクロ波放射(輝度温度)を観測するもので、各チャネルがそれぞれ異なる高度からの放射に感度を持つので、気温の鉛直分布を推定することができます。

気象研究所台風研究部ではAMSU観測データを用いた台風強度(中心気圧)推定手法を開発しました。AMSUによる観測では、水平解像度が48~150kmで、台風の暖気核をとらえるには粗すぎる場合があります。また台風中心付近の降水が強い領域では、放射が降水により減衰することがあります。これらの原因により、台風の強度が実際よりも弱く推定されてしまう可能性がありますが、気象研究所で開発した手法ではこれらの補正も行っており、精度向上をはかっています。

AMSUは極軌道衛星搭載で、1機の衛星で1か所を観測するのは1日最大でも2回だけなのですが、いくつかの衛星に搭載されているので、1個の台風について1日に数回の観測データが得られます。ただし、搭載されている衛星はNOAAなど外国機関のものなので、「ひまわり」と比較すると気象庁がデータを入手するのに時間がかかります。このため、この手法による強度推定も、ドボラック法による推定を補完するものとして使われます。

参考文献

Oyama, R., 2014: Estimation of tropical cyclone central pressure from warm core intensity observed by the Advanced Microwave Sounding Unit-A (AMSU-A). Papers in Meteorology and Geophysics, 65, 35-56. [PDF]


目次

  1. 静止気象衛星赤外画像による台風強度推定(ドボラック法)
  2. 気象庁の台風強度推定におけるドボラック法の適用
  3. 軌道衛星搭載マイクロ波センサーによる台風強度推定 ①マイクロ波放射計
  4. 軌道衛星搭載マイクロ波センサーによる台風強度推定 ②マイクロ波探査計
  5. 台風強度推定の例(2013年台風7号)

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Last update: 17 March, 2014

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