1 全球大気データ同化の高度化に関する研究(重点研究)
- (副課題1)データ同化手法の高度化に関する研究
- (副課題2)衛星データ同化技術の高度化に関する研究
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2 研究期間:平成23年度〜平成27年度(5年計画)(初年度)
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3 研究目的
- ゾンデ観測をはじめとする直接観測データや衛星観測データなどの様々な観測データの情報を数値予報モデルに取り込み、
高精度の初期値を作成する過程を「データ同化」という。これは、高精度の解析場(環境場)を作成するとともに、数値予報
モデルの予報精度を大きく左右する重要なプロセスである。世界の主要な数値予報センターでは、データ同化技術を高度化し、
多種多様の新しいリモートセンシングデータや衛星観測データを数多く同化して、数値予報の精度を飛躍的に向上させている。
- 近年、衛星観測データは、その種類・量とも急激に増加している。そのため海外の数値予報センターでは研究機関や衛星
データ作成機関と密接に連携して開発体制を大幅に拡充している。一方、気象庁においては、全球大気データ同化はこれまで
専ら予報部数値予報課で開発が行われ、気象研究所は関与してこなかった。現状では欧米の数値予報センターに比べて、
利用している衛星データの種類・量の面で大きく差をつけられていると同時に、様々な新しい観測データを同化するために
必要なデータ同化手法自体の高度化も遅れている。
- そこで、気象研究所においても数値予報課と連携しながら、数値予報課の全球大気データ同化システムを導入し、
台風研究部と気象衛星・観測システム研究部が協力して全球大気データ同化の高度化に関する研究を実施する。研究実施に
際しては、数値予報課の開発計画と調整しながら、効率的に進める。これにより、現業数値解析予報において、熱帯気象を
はじめとする全球的な環境場の解析精度の向上と、台風予報を含む全球的な予報成績の向上に大きく寄与することができる。
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4 研究目標
- 全体目標
本研究は、現業数値予報の全球大気データ同化システムの改善を目的とする研究課題であり、できるだけ多くの研究成果を
現業数値予報システムに業務化して解析・予報精度の向上に寄与することを目標とする。予報精度向上のみならず全球の
環境場の精度向上、特に熱帯域の環境場・台風域の解析精度向上に寄与し、気候解析への応用も期待される。
- 副課題ごとの目標
- (副課題1)データ同化手法の高度化に関する研究
- 観測誤差共分散行列・予報誤差共分散行列を最適化することにより、観測データの分布状況や精度に対応したデータ同化を行う。
- 4次元変分法で、より多くのデータを同時に同化するためのデータ同化ウインドウの拡張と、モデルの誤差を考慮した方法(弱い拘束条件)により、精度を向上させる。
- 観測誤差相関を適切に考慮して、既存の観測データの持つ多くの情報を有効に利用する。また、解析精度を向上させるための観測データの利用方法を改善する。
- 雲域・降水域及び陸域の輝度温度データの直接同化に必要な同化システムの拡張を行う。
- 特別観測データや台風ボーガスデータを利用して、そのインパクト試験や感度解析を行い、熱帯擾乱を精度良く解析して予報精度を向上させる。
- (副課題2)衛星データ同化技術の高度化に関する研究
- 数千チャンネルあるハイパースペクトル赤外サウンダの放射輝度温度の情報を損なわずに効率的に同化するため、主成分分析を用いた同化手法を開発する。
- 現在の現業システムで同化している衛星の放射輝度温度データは、海上の晴天域に存在するデータのみであるため、モデルに与える情報として不十分であり偏りもある。雲域・降水域及び陸域に存在する輝度温度データを同化して、バランスの良い環境場を解析して予報初期値の精度を向上させる。
- 衛星搭載のアクティブセンサー(雲レーダー・降水レーダー)によるデータの同化技術の開発により、海洋上の積雲対流域や強雨域などを正確に把握する。
- 衛星打ち上げ前の模擬データを使用した観測データ同化シミュレーション実験(OSSE:Observing System Simulation Experiment)により、衛星打ち上げ後の速やかな利用を可能とすることを目指す。具体的には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げ予定のEarthCARE衛星やGPM衛星等を対象とする。
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