台風研究部における研究
第1研究室 数値モデルによる台風予測の研究台風の数値実験本研究では、数値モデルを用いて台風の発生・発達・衰弱・移動のメカニズムを明らかにし、 台風予報の精度向上を目指しています。 個々の雲を直接表現できる精密な数値モデルを最新鋭の大型計算機で動かすことにより、 図に示したような現実に近い台風を再現できるようになりました。 このような研究は、複雑な台風のメカニズムを理解するのに役立ち、台風の進路・強度・強雨・強風 などの数値予報を改善することに大きく貢献します。 ![]() (図) 数値実験で再現された台風の雲水(鉛直積算したもの)[0.1kg/m2]。暖色系になる (数値が大きくなる)ほど、雲が多いことを意味しています。台風の中心を囲む壁雲 やその周りのスパイラルバンドがよく再現されています。 台風と海洋の相互作用台風に伴う強風は海洋表層の海水をかき混ぜ、その温度を低下させます。 海水温が低下すると大気中への海水の蒸発が抑えられるため、台風のエネルギー源である水蒸気量が 減少します。したがって、台風の強度を正確に予測するためには同時に海水温 の変化も正しく予測する必要があります。この海水温の予測に使われる数値 モデルが海洋混合層モデルです。台風研究部では、台風モデルに海洋混合層モ デルを結合させ、台風の予測精度を高める研究を行っています。 ![]() (図) 海洋混合層モデルによって計算された1998年8月31日における海面水温(°C)。丸印は1998年台風4号の6時間毎の中心位置。台風の動きが遅い場合、同じ場所で強風が持続するため海面水温の低下が大きくなることがわかります。 波浪の影響を考慮した高潮モデルの開発台風研究部では台風による災害に関する研究も行っています。 平成5〜7年度には高潮予測に関する研究を行い、高潮モデルを開発しました。 この高潮モデルは現在気象庁の業務で利用されています。 しかし、半島・島嶼など外洋に面した海岸における高潮の予測精度を向上させるためには、 波浪の影響を考慮する必要があります。 この研究では、三次元海洋モデルを用いた高潮の数値シミュレーション、 高潮に対する波浪の影響を評価する新しい高潮モデルが開発されました。 平成12年台風3号により、八丈島では波浪の影響を受けた大きな高潮が発生しました。 図は八丈島の八重根検潮所における観測値(青線)と計算結果(赤線)を示したものです。 新しい高潮モデルでは波浪の影響を考慮することによって、従来の計算(黄破線)に比べて推算偏差が大きく改善されています。 ![]() (図) 平成12年7月6日から7日(日本時間)における八丈島の八重根検潮所の高潮偏差(天文潮位からのズレ、単位はcm)。 付点実線は観測値、 破線は波浪の影響を考慮しない従来型モデルの高潮計算、 実線は波浪の影響を考慮した新モデルの高潮計算を示します。 |
第2研究室 マイクロ波データ等を利用した台風構造変化の研究台風予測への衛星データの利用台風及びその周辺の状況を把握し、それを基に予測 をおこなうために必要な観測データは、海上では少なく、 気象衛星などのリモートセンシングの資料の活用が 不可欠です。新しい衛星で推進可能になった降水強度、 水蒸気量、風速などのデータを活用し台風の構造、 台風周辺の大気・海洋の状況を把握する方法を研究し、 更には台風予測精度の向上を図る研究を進めています。
(図) 台風やハリケーンの海上風の平面的な分布は、防災上も数値計算の初期値とし ても、今後、重要な情報になっていくと考えられています。衛星に搭載されたマ イクロ波散乱計QuikSCATは、その海上風を高精度で観測できますが、1日に2回 の頻度しかありません。そこで、他の衛星観測からも海上風を求める試みがなさ れています。 図は、その一例で、気象衛星NOAAに搭載されたマイクロ波探査計(AMSU)で観測 した鉛直気温分布から、海上風を求めるアルゴリズムを開発しました。ハリケー ンFloydの事例でこのアルゴリズムを検証したところ、QuikSCATから求めた海上 風に非常に近いものが得られることがわかりました。 会議・学会参加報告第24回 米国気象学会 台風・熱帯気象会議参加報告(PDFfile) 研究部のページへ
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