文字のサイズを変更できます:小さい文字サイズ|標準の文字サイズ|大きい文字サイズ 最終更新日:2013年05月07日
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つくばにおけるCCN・IN・エアロゾル濃度の地上モニタリング観測

 黄砂バイオエアロゾル及び人為起源エアロゾルの雲核・氷晶核能に関する研究の一環として、2011年度から実施中です。長期地上モニタリングにより実大気の状況を把握し、その結果を室内実験や数値モデルの条件設定等に反映することを目的としています。以下は、今年の3月から始めた観測の初期的解析結果の報告です。観測は、茨城県つくばの気象研究所低温実験棟別棟で行っています。

Contents 関連項目

地上モニタリングシステム

 低温実験棟別棟内への吸引は10umカットのインレットを通して行い、インレットを通ったエアロゾルは内径7cmのステンレス管内を2階建ての建物の1階まで運ばれ、その後L字型のノズルを用いて等速吸引で測器まで運ばれます。測定にはCCN計、APS、OPC、SMPS、IN計を用います。

 これらの測器では、0.01umから20umまでのエアロゾル数濃度とCCNとINの濃度を測定しています。SMPSでは0.001-0.4umを2分毎に、OPCでは0.3−5umを1分毎に、APSでは0.3-20umを1分毎に測定させています。CCN計は同時に2つの濃度が得られるので、片方を過飽和度0.5%で1秒ごとに測定し、もう一方で過飽和度0.1,0.2,0.5,0.8,1.0の濃度を1シーケンス27分で測定しています。氷晶核計は、主に-25℃で水過飽和度5%の環境で1秒ごとに濃度を測定しています。

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モニタリングシステムの図面と写真

データ取得率

 7月までのデータ取得率を示します。黒、赤、緑で示しているSMPS、APS、OPCはほぼ連続的にデータ取得できています。CCN計は故障のため3,4,5月は取得率3割未満で、IN計は故障と改良のため、全ての月で4割未満となっています。CCN計もIN計も今のところ人が監視していないといけないので土日祝日は測定を停止しています。取得率は7割程度になるのが現状です。

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数濃度時系列図(日平均値)

 3/15~8/31までのデータをプロットしています。色によって要素を分けています。 赤色で示した過飽和度0.5%で測定したCCN濃度は、大体2000/ccで0.001um以上の濃度と0.3um以上の濃度の間にあり、水色で示したIN濃度は、大体0.003~0.004/ccでD>5umと同程度の値です。ただし、IN計はインレットで1.5um以上の粒子をカットしているので、この濃度は1um以下の粒子の中でINとして活性化した粒子の数ということになります。

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 CCNに関しては時間分解能が落ちますが、5つの過飽和度でも測定を行っています。過飽和度を変化させて測定した結果を0.01um以上と0.3um以上のものと重ねてプロットしています。0.1,0.2,0.5,0.8,1.0%の過飽和度に対するCCN濃度は、どれも0.3um以上の濃度より高いことが分かります。

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数濃度の月別統計値

 CCNとそれを挟む0.01um-0.4umとD>0.3um以上の濃度の中央値や平均値を見てみると、0.01-0.4umの濃度は4000-8000#/cc、0.3um以上の濃度は70-120#/cm3、過飽和度0.5%のCCN濃度は1500-2500#/cm3でした。

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黒:中央値、灰色:平均値

 濃度の大小を見ると、0.01-0.4umの濃度は4月に低く6月に高く、0.3um以上の濃度は8月に低く5月に高く、CCN濃度は6月に低く7月に高くなっています。他の粒径区分の濃度を見ても同じような変動をするものはなく、月変動は要素ごとにバラバラに見えます。 実際どのくらいバラバラかを見るために過飽和度0.5%のCCN濃度に対する各粒径区分ごとの粒子濃度の相関を取ってみました。

 縦軸は相関係数、横軸は月を取って結果を示しています。色によって粒径区分の違いを示しています。全体的にCCN濃度と相関がよいのは赤色で示したD>0.3umのエアロゾル濃度で、春は約0.8、夏は約0.5くらいでした。

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 過飽和度を振った結果について同じように各過飽和度のCCN濃度に対する各粒径区分のエアロゾル濃度の相関係数を取ってみますと、0.1%と0.2%のCCNは0.5%と同様D>0.3umの粒子と相関があり、0.5%のときより相関係数は高い値を示しています。0.8%と1.0%のCCNは0.01-0.4umとD>0.3umの粒子のどちらとも相関がよく。約0.5程度の同じくらいの相関係数を示しています。この結果より低過飽和度では、d>0.3umの粒子の寄与が高く、高過飽和度では0.01-0.4umとD>0.3umの両方の粒子の寄与があることが示唆されます。

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 エアロゾル粒径分布とCCN濃度を用いてCCNクロージャースタディを行いますと過飽和度に対する臨界直径が求められます。

 各過飽和度における臨界直径を月ごとに求めてみました。その結果が下の左図で横軸過飽和度、縦軸臨界直径で示しています。色によって月を表しています。0.1%で約150nm、0.5%で約60nm、1%で約40nmという計算結果でした。この結果より、高過飽和度の粒子は40-60nm付近の粒子が支配的である可能性が示唆されます。

 過飽和度と臨界直径が分かりますとCCNの性質を特徴づける吸湿度が求まります。その結果が右図になります。

 青色で示した8月の値は0.4-0.7で相対的に高く、過飽和度が上がるほど高くなっていることが見て取れます。データのある3,5,6,7月は過飽和度が0.1-0.6で8月とは逆に過飽和度が上がるほど値が低くなることがわかります。吸湿度が違うということはCCNの性質が異なるということですので、この結果より低過飽和度と高過飽和度のCCNは、構成物質が異なっているということを示唆しています。

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