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〒305-0052
茨城県つくば市長峰1−1
気象庁気象研究所
予報研究部 (4階)
第三研究室
 
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関東甲信における雪結晶の画像情報提供のお願い:#関東雪結晶 プロジェクト

 気象庁気象研究所では,関東甲信地方にお住いのみなさまから降雪時の雪結晶画像を募集しています(「#関東雪結晶 プロジェクト」平成30年度まで募集予定).お寄せいただいた画像情報から雪結晶構造を読み取り,首都圏の降雪現象の実態を解明します.
 ここでは,本プロジェクトの概要と雪結晶画像の撮影方法,データ送付方法などについての情報を掲載しています.

研究目的の概要

 関東を含む首都圏では,少しの積雪でも交通等に甚大な影響が及びますが,その正確な予測は難しいのが現状です.そもそも首都圏は小雪地であることから雪の観測が少なく,降雪現象の実態についての理解が十分には進んでいません.このため,気象庁気象研究所では首都圏の降雪現象の実態解明を目的とした研究を進めています.
 首都圏の降雪現象で特にわかっていないのが降雪をもたらす雲の物理特性(雲の中がどのような大気状態で,どのような雲・降水粒子が成長するか等)です.これを明らかにするためには既存のレーダー等による観測に加え,地上での雪結晶観測が必要です.「#関東雪結晶 プロジェクト」では,関東甲信地方にお住いのみなさまから降雪時に雪結晶画像を募集し,関東甲信地方における降雪粒子の時空間変動・降雪雲の物理特性を明らかにすることを目的としています.これにより,首都圏の降雪現象の実態解明が進み,高精度に雨雪判別をする手法の確立や,将来的に関東甲信地方の降雪現象の予測精度向上に繋がります.

 本プロジェクトにより得られた研究成果は,随時学術論文・研究発表等で発表するとともに,プロジェクト終了時を目途に本ページで発表いたします.研究内容についてのより詳細な説明は「研究目的・意義の詳細」をご覧下さい.

準備するもの

 とりあえずスマートフォンがあれば雪結晶を撮影できます.最大ズームにして接写すれば研究利用可能な雪結晶情報が得られます(お好みですが,スマートフォン用のマクロレンズを使用すると細かい雪結晶構造まで鮮明に見える画像が撮影できます).雪結晶を撮影する際,背景には黒や青などの濃い色の生地をオススメします.アクリル製のものや傘など撥水性のあるものが良さそうです.観察前にあらかじめ外で少しの時間冷やしておくと,雪結晶が融けずに観測できます.また,雪結晶の大きさを調べるため,mm単位でスケールのわかるもの(ものさしや硬貨など)と一緒に雪結晶を撮影していただけると研究利用しやすいです.撮影中,スマートフォンやカメラ等の撮影機材が濡れて故障しないようお気をつけ下さい.また,撮影中の防寒対策についても十分にお気をつけ下さい.

雪結晶の撮影方法

 研究利用に適した雪結晶画像の撮影方法について書いておきます.雪結晶というと,よくイルミネーションなどのモチーフとされる樹枝状結晶がイメージされますが,他にもたくさんの種類の雪結晶があります.雪結晶撮影時には,樹枝状結晶などの綺麗なものだけを探して撮るのではなく,綺麗ではない雪結晶も含めてとにかく沢山撮影していただければ幸いです
 雪結晶の画像解析では,その場所でいつどんな種類のものがどのくらい降っていたのかを把握することが重要です.1円玉が映る程度の少し遠目で撮影し,その後個々の雪結晶を接写するとこれらの情報が得られやすいです.ぜひ色々な雪結晶を見つけてみてください.

※上記画像はスマートフォンで最大ズームして接写したものです.

雪結晶画像サンプル

 スマートフォン用のマクロレンズを使用し,ズームして接写した雪結晶画像のサンプルを置いておきます.広報・啓発資料,記事などでの使用を希望される場合には,出典を明記の上でご利用ください.

snow crystals
樹枝六花(じゅしろっか).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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樹枝六花による雪片(せっぺん).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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雲粒付着(うんりゅうふちゃく)した十二花.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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雲粒付着した六花(雲粒付六花:うんりゅうつきろっか).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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融解しかけた樹枝六花.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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濃密雲粒付着した枝付角板(えだつきかくばん).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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濃密雲粒付着した広幅六花(濃密雲粒付六花).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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針状(しんじょう)結晶による雪片.2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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凍雨(とうう).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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濃密雲粒付着した柱状(ちゅうじょう).2017年1月20日気象研究所(茨城県つくば市).撮影:荒木健太郎.
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塊霰(かたまりあられ).2017年2月11日新潟県長岡市.撮影:荒木健太郎.
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紡錘霰(ぼうすいあられ).2017年2月11日新潟県長岡市.撮影:荒木健太郎.

雲粒付着した十二花が融解する様子.スマートフォン用のマクロレンズを使用してiPhone6で撮影.
2017年1月20日茨城県つくば市.撮影:荒木健太郎.

画像の共有方法

  • メール等で撮影時刻・撮影場所の情報とあわせてオリジナルファイルを送付して下さい.

    mailmail

     上記アドレスにタイトル「#関東雪結晶 撮影者のお名前」などとして雪結晶画像を送付願います.大量の画像を送付いただける場合には,何らかのファイル共有サービスをご利用いただけると幸いです.可能であれば撮影された画像全てをお送り下さい.また,論文や研究発表資料として画像を使用させていただく際のクレジットの表記方法(氏名,ハンドルネーム,匿名など)についてもご連絡いただけると嬉しいです.

  • Twitterで「#関東雪結晶」のハッシュタグをつけて,撮影時刻・大まかな撮影場所を記載して投稿して下さい.

     Twitterでの投稿の場合,撮影場所に関しては市町村名くらいでも大丈夫です.個人情報(位置情報)として問題のない範囲で記載いただければ幸いです.ご投稿いただいた雪結晶画像について,論文や研究発表資料として画像を使用させていただきたい場合には,画像提供とクレジット表記について個別にお問い合わせすることがあります.

    メールで既にデータをお送りいただいた方でも,ぜひTwitterに投稿し,他の方が投稿された雪結晶画像もあわせて眺めて楽しんでみて下さい

  • 雪結晶以外の情報について

     なお,雨かみぞれか雪か,どのくらい積雪しているかという情報も研究上非常に重要です.
     雨やみぞれの場合,雪結晶の画像情報がなくても何が降っているかをTwitterで時刻・大まかな場所とともにタグ付き投稿していただければ幸いです.
     積雪がある場合,ものさしを雪にさした画像等とともに積雪の深さがどのくらいかという情報もあわせて時刻・場所とともにTwitterでタグ付き投稿,もしくはメールで送付いただければ幸いです.

個人情報の取り扱い

 気象研究所は,雪結晶画像の撮影者の個人情報(ご氏名,ご連絡先,撮影時刻,撮影場所等)について,「#関東雪結晶 プロジェクト」における研究・教育を目的とした活動にのみ利用します.
 気象研究所は,あらかじめ撮影者様の同意のある場合,または法令に基づく開示請求があった場合,不正アクセス,脅迫等の違法行為があった場合その他特別の理由のある場合を除き,収集した情報を上記の利用目的以外の目的のために自ら利用し,又は第三者に提供いたしません.ただし,統計的に処理された研究結果,撮影位置等の情報については撮影者様の氏名が分からないようにした上で公表することがあります.個人情報の確認,訂正などを希望される場合には随時上記メールアドレスまでご連絡ください.

雪結晶の種類・読み方

 典型的な雪結晶としてよく知られているのは樹枝状結晶ですが,実は雪結晶には多くの種類があります.また,「雪は天から送られた手紙である」という言葉があります.これは,雪結晶の成長する大気の気象状態(気温・水蒸気量)によって結晶の形が変わるため,地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握できるということによっています.
 実際に地上で観測される雪結晶は雲粒付着していることや,あられのように丸くなっているものもあります.雲粒付着の程度を調べることで,上空に過冷却雲粒(0℃以下の液体の水の雲)があるかどうかを判断することができます.このように雪結晶を読み解くことで,結晶が成長した雲の特性を調べることが可能となります.
 これらの詳細は以下の動画解説で紹介していますので,ぜひご覧いただければ幸いです.

雪結晶の一般分類.荒木(2014)「雲の中では何が起こっているのか」より. 雪結晶の種類と気温,氷過飽和を超える水蒸気量との関係(小林ダイヤグラム).荒木(2014)「雲の中では何が起こっているのか」より.

動画解説

#関東雪結晶 雪結晶観測のお願いと撮影方法(6分29秒)

 「#関東雪結晶 プロジェクト」の概要説明,雪結晶の撮影方法,データ共有方法等について解説しています.動画中のメールアドレスは本ページ記載のものに読みかえていただければ幸いです.

#関東雪結晶 モチベーション(18分5秒)

 雪結晶観測で何がわかるのか,何を明らかにしようとしているのかなど「#関東雪結晶 プロジェクト」のモチベーションを解説しています.

これらを繋げた「#関東雪結晶 全編」(24分37秒)もあります.

研究目的・意義の詳細

 気象研究所では,重点研究「A1 メソスケール気象予測の改善と防災気象情報の高度化に関する研究」(平成26〜30年度)の「副課題3:顕著現象の実態把握・機構解明に関する事例解析的研究」の一環として,首都圏の降雪現象解明の研究に取り組んでいます.「#関東雪結晶 プロジェクト」はこの取り組みのひとつとして実施しています.

 首都圏の降雪現象は南岸低気圧と呼ばれる低気圧の接近・通過に伴って発生することが知られていますが(荒木 2016),その正確な予報は難しい現象です(気象庁 2015).首都圏で雨が降るか雪が降るかは大気下層の気温場が非常に重要ですが,下層気温場はメソスケール現象であるCold-Air Damming(荒木 2015a)や沿岸前線(荒木 2015b)の強さや位置によって大きく左右され,これにより雨と雪の地域も大きく変化します.これらを正確に予測するためには,南岸低気圧の位置・発達度合,低気圧に伴う雲・降水,地表面の温度・状態などを全て正確に予測する必要があります.

 ところが,これらの中でも特に雪を降らせる雲の物理特性についてはよく理解されていないというのが現状です.雲の物理特性を理解するためには,航空機観測や雲粒子ゾンデ観測(気球による雲観測)など,雲・降水粒子の直接観測が必要不可欠ですが,観測データ不足により理解が進んでいません.
 一方,地上で観測可能な雪結晶の情報は雲物理特性を理解する鍵でもあります.「雪は天から送られた手紙である」という言葉がありますが,これは雪結晶の成長する大気の気象状態(気温・水蒸気量)によって結晶の形が変わるため,地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握できるということを意味しています.
 これまで雪結晶観測は研究者が個々人で行っていました.しかし,個々人の研究者による観測では特定の地点における雪結晶の時間変化は把握できるものの,関東甲信地方という広域における雪結晶の時空間変動は不明です.首都圏に雪を降らせる雲は関東甲信地方の広い範囲に及び,かつ地形の影響やCold-Air Damming,沿岸前線などのメソスケール現象の影響を受けて変化することも考えられます.これらの背景から「#関東雪結晶 プロジェクト」を立ち上げ,関東甲信地方にお住いのみなさまから降雪時に雪結晶画像を募集することにしました.このような市民参加型の研究はCitizen Science(市民科学)と呼ばれており,得られた雪結晶観測データと従来のレーダーや降水粒子観測データ,高分解能数値シミュレーションの結果と組み合わせて解析を行うことで,これまで未知であった関東甲信地方における降雪粒子の時空間変動・降雪雲の物理特性を明らかにすることが可能です.これにより,本プロジェクトでは,気象研究所重点研究課題の目標として,雪結晶画像データをもとに首都圏の降雪現象の実態解明を行います.本研究成果は,高精度に雨雪判別をする手法の確立や,将来的に関東甲信地方の降雪現象の予測精度向上に繋がります.

#関東雪結晶 Q&A

  • Q:関東甲信地方だけでなく,雪の多い日本海側や北海道では同様の取り組みは行わないのか?
    A:現在は関東甲信地方の降雪現象を対象に研究を行っているため,関東甲信地方(東海や東北南部もウェルカムです)での雪結晶画像を募集しています.関東甲信地方は南岸低気圧と呼ばれる低気圧の接近・通過に伴って降雪現象が発生し,その予測は非常に難しいとされています.当面は関東甲信地方の降雪現象の実態把握のための研究を進めていきます.日本海側や北海道における降雪現象については今後の研究課題とさせてください.(雪結晶の画像を撮影して遊ぶのは大いにオススメします)

  • Q:雪結晶画像がなくてもレーダーや衛星で十分ではないのか?
    A:雪結晶画像がなければ実際に地上で何が降っているかはわかりません.近年は偏波ドップラーレーダーにより上空の降水粒子を判別する試みがなされていますが,降雪粒子(たとえば雪片)を形成する雪結晶が何か,雲粒付着の程度はどのくらいかなど,偏波レーダーによるリモートセンシングでは現状はわかりません.また,降水レーダー・マイクロ波放射計を搭載した極軌道衛星による雲の解析なども行われていますが,衛星観測でも同様で関東に降雪をもたらす雪の詳細構造はわかりません.
     このほか,地上観測としてディスドロメータによる降水粒子観測があります.ディスドロメータでは降水粒子の粒径(粒子の大きさ)・落下速度を得ることができます.これらの観測結果から雪の種類を推定する試みもなされていますが,これは室内実験などにより得られた粒径・落下速度の関係の経験式を用いています.そのため,実際に何が降っているかということは雪結晶画像がないとわかりません.
     首都圏における降雪現象の実態解明のためには,降雪をもたらす雲の物理的特徴を把握することが必須であり,雪結晶画像は必要不可欠です.これに加えて,レーダーや衛星,地上降水粒子観測,数値シミュレーションなどを組み合わせて総合的に研究を進める必要があります.

  • Q:送付した雪結晶画像を使った研究成果はどのように公開されるのか?
    A:解析結果は学術論文や各種研究発表,一般向け講演,気象研究所HPなどで随時公開します.

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