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はじめに | ![]() |
今世紀前半は、 地球温暖化よりも人間活動によって水資源の脆弱性が高まることが 懸念されています。 従って、新たな水資源をいかに開発するか、既存の水資源をいかに有効利用するか が解決の鍵とななります。 前者は絶対量を増やす戦略であるのに対して、 後者は現在利用可能な水資源を有効利用する戦術と言えます。
現在利用可能な水資源を有効利用する手段として、数カ月前から 水資源管理計画を行なうことが挙げれらます。数カ月前から水資源量の 予測ができれば、 様々な手段で脆弱性を管理、操作の面から低減させることが期待できます。
そこで、大気全球モデルに観測された海面水温を与え、長期積分を実施した結果から、 水資源と関連する変数の季節予報の潜在的予測可能性について調べてみました。 ここでは、水資源量として、降水量-蒸発量(1年単位では水資源賦存量という、P-E)、積雪量に着目します。
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予測可能性 | ![]() |
潜在的予測可能性ということばは聞き慣れない言葉ですが、
モデルが完全に大気の予測ができるとした場合(潜在的)に、季節平均値の予測が
最大でどの位可能かを示す指標です。実際のモデルは完全ではありませんので、
実際の季節予報もこの指標を越えることはありません。
この指標が1だと、完全に予測でき、
「完全なモデルなのになぜ100 % 当たらないのか」と思うかもしれませんが、
それは計算を始める時に使う観測された大気の状態が実際の状態と異なるからです。
このわずかな違いが3カ月後には大きな差となって現れるからです。
このような現象をカオスと呼びます。
図 1 に冬季の降水量-蒸発量の潜在的予測可能性(以下では予測可能性と呼びます)
の全球分布が描かれています。低緯度で予測可能性が高く、中高緯度で低い傾向、
同緯度では陸上よりも海上の方が予測可能性が高いことが分かります。
予測可能性が高い陸域は熱帯に位置するサヘルと南アメリカ北部だけです。
日本を見てみると、夏季よりも冬季の方が予測可能性が高いことが分かります。
冬季に日本付近の予測可能性が高いことはエルニーニョ(南方振動)現象と関連しています。
図 2 に春季の積雪量の予測可能性の全球分布が描かれています。 唯一アラスカ湾沿いの地域で指標が0.2を越えています。 図 1 を見ても分かるようにこの地域の冬季降雪量の予測可能性は高くありません。 図示はしませんが、この時季の気温の予測可能性は0.2を越えています。 従って降雪量の予測可能性が高いのではなく、雪解けで積雪量の予測可能性が 高くなっています。この予測可能性が高いこともエルニーニョ(南方振動)現象と関連しています。


参考文献
T. Nakaegawa, M. Sugi, and K. Matsumaru, A Long-term Numerical Study
of the Potential Predictability of Seasonal Mean Fields of Water
Resource Variables using MRI/JMA-AGCM, Journal of Meteorological
Society of Japan, 81(5), 1041-1056
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