5 結論

 南北両半球の冬季には主に成層圏極夜ジェット強度の変動として見られる極夜ジェット振動(PJO)が存在する。これは帯状平均東西風アノマリーが時間と共に極向き下向きに移動していく現象であり、対流圏から成層圏へ伝わっていくプラネタリー波の主に成層圏での波平均流相互作用によっておこる現象と考えられる。北半球PJOは冬季に各年ごとに位相がまちまちに変動するが、南半球PJOは季節にロックした形での変動である。両半球どちらのPJOも変動に伴う極域温度偏差が下部成層圏に下がってくる時期である環状期には対流圏に環状モード(AM)の形成を伴う。この時期のPJO変動は対流圏のみならず、成層圏界面にまでのびた帯状対称な背の高いAMの形をしている。AMの形成とPJOの関係を見るために、環状期におけるAMの時間進行と、PJOとの結合効果を統計的に除去したAMの時間進行を比較したところ、AMにともなう成層圏変動のかなりの部分は主にPJOに伴うものであり、PJOと関係のないAMの変動は北半球では下部成層圏、南半球では対流圏内に限られ特に南半球では前後の月の変動とはほとんど関係が無くなった。このことから、冬季の背の高いAM変動は付随したPJOに伴う変動をあわせてみていることに依っていたと考えられる。即ちAMは基本的には下層大気の現象であるが、冬季には成層圏変動(PJO)と強い相互作用を引き起こす。以上のことは、PJOは対流圏のAMの形成に先行して引き起こされ、対流圏AMたとえば北半球のAOを誘導するような働きをすることを示しているので、実際的な気候予報という観点でも成層圏対流圏相互作用のより深い理解が重要となってくると考えられる。