2 データと解析方法

 本論で解析に用いたデータは、1979年1月から1998年12月までのデータであって、100hPa以下の下層にはNCEP/NCARの再解析データ(Kalney et al. 1996)を、それ以高1hPaまでのレベルにはNMC/NCEPの衛星観測によって得られた成層圏データ(Randel, 1992)を結合したものを用いた。風データはバランス風の関係を仮定することによって計算し、全て基本量は5日平均値とした。E-Pフラックスや残差速度等はこの5日平均場から計算し、その後に月平均場を計算した。

 本論文では両半球での極夜ジェットの変動を共通した5ヶ月にわたる拡張SVD解析によって取り出した。ここでSVD解析とは2つの変動から同じような時間変動をしているパターンを取り出す(従って両者は単一変動を別な変数で見ていると考えられる)統計的な手法である(Bretherton et al. 1992参照)。拡張SVDは時間を固定した通常のSVDではなく次式

x_it=(ui(m+t), ui(m+t+1),,,,,ui (m+n+t-1))

y_it=(ei (m+t),ei (m+t+1),,,,,ei (m+n+t-1))

のように遅れの成分をも含めたベクトルx、y間のSVD解析である。ここにiは年の番号nは連続する月の数t=0,1は遅れの成分を表す。従ってこの場合のx、y間のSVD解析は連続するn月をひとかたまりとして遅れ成分を含め年数の2倍の成分をもつベクトル間でSVDを計算することになる。ここで遅れ成分まで含めたのは位相がカレンダー月にロックしていない変動をも取り出すためである。ここでは、具体的には北半球冬季の極夜ジェット変動は11/12月から翌年3/4月までの、南半球のそれは6/7月から10/11月までのともに連続する5ヶ月のE-Pフラックスの鉛直成分と帯状平均東西風についてその月々の変動度で規格化したのち拡張SVD解析を行って変動を取り出した。ここで南北両半球同じ手法で変動を取り出しているのは両者の比較を容易にするためである。また、SVD解析の範囲を超えた期間や他の成分の変動は共に回帰によって調べた。さらに、例えば12/1月のAMインデックスをD1を一年目12月のAMインデックス等として(D1,J1,D2,J2,,,)で定義して他のラグ月との回帰によってAMのラグ回帰を計算した。