4 まとめ

 北半球NAOと同様に、南半球環状モードにおいても成層圏対流圏結合の強まる10/11月に太陽活動の高い時期と弱い時期でその信号が大きく異なる事が見出された。即ち、高太陽活動時にはその信号は上部成層圏まで伸びると共にその持続性が飛躍的に高まった。他方、低太陽活動時にはそのような性質は無かった。また、観測データの解析から信号持続性の原因として風信号の伸びに伴うブリュワー=ドブソン(BD)循環の強弱によるオゾン分布の変動が示唆された。このことを調べるために気象研究所の化学=気候結合モデルによる実験を行なった。モデル実験の結果は晩冬に形成される下部成層圏のオゾン偏差が晩冬のSAM信号の持続性の原因である事を示した。このように、オゾンがメモリーとして季節の結合に役立っていることが分かった。この解析から、太陽活動による晩冬期における南半球環状モードの上部成層圏への伸びの違いが本質的であることが示唆された。

 そこで、太陽活動に伴う対流圏の環状モード信号の成層圏への延びの違いの原因を調べるために、成層圏の環状モード信号を元にした相関解析を行い、対流圏の環状モードの結果と比較した。また、化学=気候結合モデルで紫外線強度のみ変化させた3種の数値実験を行い、同様の解析を行った。その結果、太陽活動に伴う対流圏の環状モード信号の成層圏への延びの違いは、太陽活動に伴う紫外線強度変化が作る対流圏成層圏結合の違いであることが分かった。すなわち、紫外線強度が強いほど対流圏成層圏結合が強くなる傾向があることが分かった。また、同様な紫外線強度=対流圏成層圏結合関係は小寺が最初に指摘した北半球厳冬期でも見られることが分かった。また、紫外線強度=対流圏成層圏結合関係は高オゾンの存在によるプラネタリー波の増幅伝播に伴う強い波平均流相互作用から来ているらしいことが示唆された。