大気放射と雪氷圏

気象研究所 気候研究部 第六研究室

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過去の研究課題 −気候研究部 第六研究室−

基礎的・基盤的研究

「エーロゾル−雪氷相互作用に関する研究」(平成22-25年度)

1.研究の動機・背景
 光を吸収する性質の吸収性エーロゾル(主にすすとダスト)は雪氷面に沈着し、アルベドを低下させることにより温暖化を加速する効果を持っている。その効果を定量的に明らかにするため、雪氷・放射観測、放射過程のモデル化、全球エーロゾル輸送モデル(担当:研究課題「大気環境の予測・同化技術の開発」)、衛星観測の手法を用い、気候へ与える効果を明らかにすると共に、衛星観測により積雪物理量と雪氷面アルベドの変化を監視する。 現在の気候モデルでは近年の北極圏おける雪氷の急激な融解を再現できておらず、その克服が重大な課題となっている。急激な融解の原因の一つとして、黒色炭素等の吸収性エーロゾルによる積雪汚染が注目されているが、現在の気候モデルでは雪氷面アルベドは気候値や現在気候下における経験的なパラメタリゼーションによって決定されているため、一般的に急激な北極圏の温暖化には対応できない可能性が指摘されている。また、積雪アルベドを支配する重要な物理量である積雪粒径と不純物濃度とアルベドの衛星による同時広域監視が、温暖化に伴う雪氷圏変動の把握にとって重要な知見を与えるものと期待される。一方、様々なエーロゾルが気候に与える影響を解明するために、エーロゾル輸送モデルを用いた研究は非常に有効な方法であるが、モデルの中で用いる各種エーロゾルの光学特性には不確定な要素が多く、気候に対する影響を正確に評価するためには代表的なエーロゾル粒子(硫酸、海塩、ダスト、黒色炭素、有機炭素)に対して、妥当な光学モデルを構築することが急務となっている。

2.研究の概要
2.1 全体の概要
@雪氷面放射過程の解明と雪氷面アルベド物理モデルの高度化
A吸収性エーロゾル沈着による雪氷面アルベド低下と大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価
B衛星観測による積雪物理量や雪氷面アルベドの抽出技術の改良と雪氷圏変動の監視

aerosol unit

図1 「エーロゾル−雪氷相互作用に関する研究」全体の構成図。


3.研究の成果の到達目標
3.1 全体の到達目標
@雪氷面放射過程の解明と雪氷面アルベド物理モデルの高度化
 札幌において放射、積雪、エーロゾルの観測を行い、それらを元に既存の積雪アルベド物理モデルの精度向上を図る。また、理論的な海氷のみのアルベドモデルと前述の積雪アルベドモデルを組み合わせて、海氷-積雪系のアルベドモデルを開発し、全球の雪氷面に適応できるアルベドモデルを構築する。さらに、積雪内部の放射加熱、熱輸送、温度分布、粒子の変態過程も計算できる積雪変態・アルベド物理モデルの機能を付加する。

A吸収性エーロゾル沈着による雪氷面アルベド低下と大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価
 @の観測データや他のユニットの観測データを用いて、新たに代表的なエーロゾル粒子(硫酸、海塩、ダスト、黒色炭素、有機炭素)に対して、全球エーロゾル輸送モデル用光学モデルを開発し、大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価を行う。また、エーロゾル光学モデルを用いて紫外域放射モデルの高度化を行う。

B衛星観測による積雪物理量や雪氷面アルベドの抽出技術の改良と雪氷圏変動の監視
 GLI雪氷グループで開発した積雪粒径、不純物濃度の衛星リモートセンシングアルゴリズムを高度化する。また、雪氷面アルベド抽出アルゴリズムを新規に開発し、上記積雪物理量と共にMODISセンサー等衛星データから遠隔抽出を行う。これらの結果からAの全球エーロゾル輸送モデルによる計算結果を検証すると共に、主に極域におけるこれら物理量の時空間変動を調べ、雪氷圏の急激な温暖化の原因解明に資する。

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「エーロゾルと雪氷面との相互作用、及びライダーによるエーロゾル・雲・微量気体観測技術の高度化に関する研究」(平成21年度)

サブ課題1「エーロゾル-雪氷相互作用に関する研究【基礎的・基盤的研究】」

【目的】
エーロゾルが大気中及び雪氷面において放射収支を変化させるプロセスを観測及びモデル化することにより、気候へ与える効果を明らかにすると共に、衛星観測により積雪物理量と雪氷面アルベドの変化を監視する。

【目標】
光を吸収する性質の吸収性エーロゾル(主にすすとダスト)は雪氷面に沈着し、アルベドを低下させることにより温暖化を加速する効果を持っている。その効果を定量的に明らかにするため、下記の雪氷・放射観測、放射過程のモデル化、全球エーロゾル輸送モデル(担当:物質循環モデル開発ユニット)、衛星観測の手法を用い、下記3項目について研究を実施する。
@雪氷面放射過程の解明と雪氷面アルベド物理モデルの高度化
A吸収性エーロゾル沈着による雪氷面アルベド低下と大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価
B衛星観測による積雪物理量や雪氷面アルベドの抽出技術の改良と雪氷圏変動の監視


【概要】
@ 雪氷面放射過程の解明と雪氷面アルベド物理モデルの高度化
 現在の気候モデルでは近年の北極圏おける雪氷の急激な融解を再現できておらず、その克服が重大な課題となっている。急激な融解の原因の一つとして、黒色炭素等の吸収性エーロゾルによる積雪汚染が挙注目されているが、現在の気候モデルでは雪氷面アルベドは気候値や現在気候化における経験的なパラメタリゼーションによって決定されているため、一般的に急激な北極圏の温暖化には対応できない可能性が指摘されており、この扱いの高度化が求められている。特に、積雪不純物の光学特性が放射収支に与える効果を定式化すること、また、アルベド物理モデルをこれまでの陸域モデルから海氷の特性にも適応するものに拡張することが重要な課題となっている。
 このため、本研究においては、札幌において放射収支観測、積雪断面観測、積雪サンプリング、エーロゾルの光学観測等を行い、これら観測データを元に、積雪不純物として現在まで対象としてきた黒色炭素とダストに加え、有機炭素を考慮し、それらの光学特性を改良することにより、積雪アルベド物理モデルの精度を向上させる。また、理論的な海氷のみのアルベドモデルと前述の積雪アルベドモデルを組み合わせて、海氷-積雪系のアルベドモデルを開発し、全球の雪氷面に適応できるアルベドモデルを構築する。

A 吸収性エーロゾル沈着による雪氷面アルベド低下と大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価
 北極域における雪氷の急激な融解の原因の一つとされている黒色炭素等の吸収性エーロゾルによる積雪汚染の影響について解明するため、@で開発した積雪アルベド物理モデルを全球エーロゾル輸送モデルに組み込み、積雪粒径、不純物濃度、アルベドの時空間分布を求めると共に、吸収性エーロゾルが雪氷面との相互作用を通して気候変化に与える効果を定量的に評価する。
 大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価の精度向上のため、@によるエーロゾル及び放射観測データ、他のユニットによる観測結果や一次散乱計算アルゴリズム用いて、新たに代表的なエーロゾル粒子(硫酸、海塩、ダスト、黒色炭素、有機炭素)に対して、全球エーロゾル輸送モデル用光学モデルを開発する。この結果を用いて同輸送モデルにより、大気エーロゾル変動が気候に与える影響評価を行う。また、エーロゾル光学モデルを用いて紫外域放射モデルの高度化を行う。

B 衛星観測による積雪物理量や雪氷面アルベドの抽出技術の改良と雪氷圏変動の監視
 急激な雪氷圏の温暖化を解明し、その予測を可能にするためには、従来の雪氷面積の変化に加えて、積雪表面の粒径や不純物濃度、アルベドといった質的変化を含む研究へ発展させることが課題となる。特に、積雪粒径と不純物濃度は積雪深が光学的に十分ある場合(>30cm)、アルベドを支配する重要な物理量であるため、これら積雪物理量とアルベドの同時広域監視が、温暖化に伴う雪氷圏変動の把握にとって重要な知見を与えるものと期待される。このため、ADEOS-II衛星GLIセンサーの雪氷グループで開発した積雪粒径、不純物濃度の衛星リモートセンシングアルゴリズムを元に、これら積雪物理量遠隔抽出技術を高度化する。また、雪氷面アルベド抽出アルゴリズムを新規に開発し、上記積雪物理量と共にTerra/Aqua衛星MODISセンサー等衛星データから遠隔抽出を行う。これらの結果からAの全球エーロゾル輸送モデルによる計算結果を検証すると共に、主に極域におけるこれら物理量の時空間変動を調べ、雪氷圏の急激な温暖化の原因解明に資する。


aerosol unit

図2 「エーロゾル-雪氷相互作用に関する研究」全体の構成図。


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融合型経常研究

「エアロゾルと放射過程の観測及びモデル化の研究」(平成19-21年度)

サブ課題3「雪氷面放射過程の高度化と検証に関する研究」



【目的】
大気エアロゾルは雪氷面への沈着過程を通して雪氷面のアルベドを変化させ、地球放射収支に影響を与える。 その過程を雪氷面の特性の地上観測、衛星観測から明らかにすることにより、雪氷面の放射過程の高度化(モデ ル化)と気候モデルへの組み込みを行い、気候への影響を評価する。


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図3 「エアロゾルと放射過程の観測及びモデル化の研究」全体の構成図、サブ課題3は3番目の部分。


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環境省地球一括計上研究

「吸収性エアロゾルが大気・雪氷面放射過程に与える影響のモニタリングに関する研究」(平成21-25年度)

サブ課題2「積雪不純物濃度及びアルベドの地上観測及び衛星リモートセンシングによるモニタリング」

【概要】
 積雪中の吸収性エアロゾル(積雪不純物)濃度の変化とアルベドに与える影響を監視するため、国内の地上観測点(札幌:気象研究所と北海道大学低温科学研究所で観測を継続中、帯広:一般農地)において詳細な放射観測と高頻度の積雪断面観測(帯広では積雪断面観測の代わりに全天分光日射計による積雪粒径・不純物濃度測定)を行う。積雪断面観測から得られた積雪サンプルはフィルターに濾過し、全体の重量濃度(主にダスト)を求めると共に、さらに気象研究所のカーボン分析装置により、黒色炭素と有機質炭素濃度を求める。これらデータから吸収性エアロゾルとアルベドの関係を明らかにすると共に、積雪アルベド物理モデルを組み込んだエアロゾル輸送モデル(サブ課題3)のシミュレーション結果を検証する。
 積雪不純物濃度とアルベドの全球分布をMODIS センサー等を用いた衛星リモートセンシングによって監視する。この積雪不純物濃度抽出アルゴリズムは既に気象研究所がJAXA と共同で開発済みである。アルベド用のアルゴリズムは、NASA がMODIS 用に開発したものを利用する。

aerosol unit

図4 「吸収性エアロゾルが大気・雪氷面放射過程に与える影響のモニタリングに関する研究」全体の構成図。

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「エアロゾルによる放射強制力の変動及びメカニズムの実態解明に関する研究」(平成17-19年度)

サブ課題2「エアロゾル-雪氷相互作用の観測」



【目的】
雪氷面上における放射・エーロゾル・積雪観測により、雪氷面の日射に対する反射特性を把握すると共に、 大気中と積雪内の不純物の粒径毎の濃度分布を解析し、大気中のエーロゾルが雪氷面に取り込まれる過程を粒径 毎にパラメーラ化する。放射伝達モデルを用いた理論計算と観測値との比較から、不純物を含む積雪面の反射特 性を数値モデルに組み込めるようパラメータ化する。


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図5 (左図)札幌における2003/2004年冬期間におけるアルベドと積雪不純物濃度変化。(右図)積雪不純物 濃度と可視域アルベドの関係。ドットは観測値、曲線は放射伝達モデルで計算した観測期間におけるアルベド の最大値と最小値で、積雪不純物には吸収の強さの違う鉱物性ダスト(MD)と黒色炭素(BC)の組み合わせか ら3種類のモデルを仮定した。

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文科省科学研究費補助金(基盤研究(B))

「衛星データによる積雪物理量抽出アルゴリズムの改良と地上検証手法に関する研究」(平成18-20年度)

【目的】
雪氷圏は高いアルベドが温暖化により低下するため、その影響を最も顕著に受ける。正確な雪氷圏の将来 予測を行うためには、雪氷面のアルベドを正確に予測することが必要である。理論計算によると積雪面の波長別 アルベドは、本質的には積雪粒径と不純物濃度に依存している。そこでこれら積雪物理量を衛星リモートセンシ ングによって監視し、融解の前兆現象を捉える必要がある。積雪粒径と不純物濃度のリモートセンシングアルゴ リズムは、ADEOS-II衛星/GLIセンサデータを用いて本研究グループによって開発されてきたが、精度にはまだ問 題がある。本研究ではこれら積雪物理量抽出精度をさらに向上させるため、南極における積雪粒径抽出アルゴリ ズム改良と地上自動検証観測装置による検証手法を確立する。


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図6 ADEOS-II衛星/GLIセンサの波長1640nmの衛星画像(2003年10月10日)から求めた南極氷床上の積雪粒径 (単位:ミクロン)。(a)現在のアルゴリズムによる結果。(b)仮想的に改良したアルゴリズムによって求めた結果。


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北海道大学低温科学研究所一般共同研究

「積雪変質・アルベド過程モデル開発のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(3)」(平成25年度)

【研究の目的】
 近年、北極域では急激な雪氷の融解が進行している。一般的にはこの原因として地球温暖化による気温の上昇が、雪氷圏におけるアイスアルベドフィードバックによって増幅された結果であると考えられる。しかし、実際の雪氷の融解速度は、多くの気候モデルの予測よりも速い速度で進行している。その原因の一つとして黒色炭素等積雪不純物による積雪汚染がアルベドを低下させ、より融解を加速させるメカニズムが働いているとの提案もなされている。多くの気候モデルではそのような積雪不純物の効果は考慮されておらず、さらに、モデル中の積雪アルベドは気温の経験的な関数になっているなど、積雪変質過程についても十分な精度を持っていない。我々は過去の一般共同研究(H16-18年度:「積雪及び大気変動がアルベドに与える影響に関する研究(1)-(3)」、H19-22年度:「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(4)」)、H23-24年度:「積雪変質・アルベド過程モデル開発のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(2)」)において、低温科学研究所の露場で放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、(1)大気エアロゾルを起源とする積雪不純物濃度上昇によるアルベドの低下の定量的見積り及び、顕著な黄砂イベント時における大気エアロゾル濃度から積雪不純物(ダスト)の粒径分布を予測する手法の開発(Aoki et al., 2006)、(2)積雪層内部の積雪不純物と積雪粒径の鉛直分布がアルベドに与える定量的効果の見積り(Aoki et al., 2007)、(3)分光反射率から積雪不純物と積雪粒径を推定する技術開発(Kuchiki et al., 2009)、(4)積雪変質モデルに基づいた大気大循環モデル用雪氷陸面モデルの開発(Yasunari et al., 2011)、(5)積雪不純物の効果を取り込んだ大気大循環モデル用積雪アルベド物理モデルの開発(Aoki et al., 2011)、(6)積雪変質過程から光学的に等価な積雪粒径を計算できる積雪変質・アルベド過程(SMAP)モデルの開発と検証(Niwano et al., 2012)を行ってきた。(4)のモデルはNASAの大気大循環モデルに、(5)と(6)のモデルは気象研究所の地球システムモデルに移植されている。このことは低温科学研究所露場における放射・気象・エアロゾル・雪氷の観測データが、全球モデルで使用するプロセスモデル開発に非常に役に立っていることを意味している。本研究ではこれら低温科学研究所露場における各種観測を継続し、前述の各種プロセスモデルの改良・検証を行うことにより、雪氷圏における将来予測精度向上に資することを目的とする。

【研究計画】
 既存測器による放射・気象・エアロゾルの自動連続観測を維持すると共に、冬期間、週2回程度の高頻度積雪断面観測により積雪の物理・化学的変化を把握する。このとき採取した積雪サンプルから低温科学研究所でイオン成分分析を実施すると共に、同サンプルを気象研究所に送付し、ダスト・黒色炭素等の不溶性積雪不純物濃度の測定を行う。さらに、低温科学研究所技術部と連携してガス吸着法による積雪粒径測定装置の開発を行い(八久保ほか, 2012)、従来よりも客観的でかつ高精度の積雪粒径変化を求める。これらの観測・分析データを用いて、積雪アルベド物理モデル及びSMAPモデルを改良・検証を行う。

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「積雪変質・アルベド過程モデル開発のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(2)」(平成24年度)

【研究の目的】
近年、北極域では急激な雪氷の融解が進行している。一般的にはこの原因として地球温暖化による気温の上昇が、雪氷圏におけるアイスアルベドフィードバックによって増幅された結果であると考えられる。しかし、実際の雪氷の融解速度は、多くの気候モデルの予測よりも速い速度で進行している。その原因の一つとして黒色炭素等積雪不純物による積雪汚染がアルベドを低下させ、より融解を加速させるメカニズムが働いているとの提案もなされている。多くの気候モデルではそのような積雪不純物の効果は考慮されておらず、さらに、モデル中の積雪アルベドは気温の経験的な関数になっているなど、積雪変質過程についても十分な精度を持っていない。我々は過去の一般共同研究(H16-18年度:「積雪及び大気変動がアルベドに与える影響に関する研究(1)-(3)」、H19-22年度:「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(4)」)において、低温科学研究所の露場で放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、(1)大気エアロゾルを起源とする積雪不純物濃度上昇によるアルベドの低下の定量的見積り及び、顕著な黄砂イベント時における大気エアロゾル濃度から積雪不純物(ダスト)の粒径分布を予測する手法の開発(Aoki et al., 2006)、(2)積雪層内部の積雪不純物と積雪粒径の鉛直分布がアルベドに与える定量的効果の見積り(Aoki et al., 2007)、(3)分光反射率から積雪不純物と積雪粒径を推定する技術開発(Kuchiki et al., 2009)、(4)積雪変質モデルに基づいた大気大循環モデル用雪氷陸面モデルの開発(Yasunari et al., 2011)、(5)積雪不純物の効果を取り込んだ大気大循環モデル用積雪アルベド物理モデルの開発(Aoki et al., 2011)、(6)積雪変質過程から光学的に等価な積雪粒径を計算できる積雪変質・アルベド過程(SMAP)モデルの開発と検証(Niwano et al., submitted)を行ってきた。(4)のモデルはNASAの大気大循環モデルに、(5)と(6)のモデルは気象研究所の地球システムモデルに移植されている。このことは低温科学研究所露場における放射・気象・エアロゾル・雪氷の観測データが、全球モデルで使用するプロセスモデル開発に非常に役に立っていることを意味している。本研究ではこれら低温科学研究所露場における各種観測を継続し、前述の各種プロセスモデルの改良・検証を行うことにより、雪氷圏における将来予測精度向上に資することを目的とする。

【研究計画】
 既存測器による放射・気象・エアロゾルの自動連続観測を維持すると共に、冬期間、週2回程度の高頻度積雪断面観測により積雪の物理・化学的変化を把握する。このとき採取した積雪サンプルから低温科学研究所でイオン成分分析を実施すると共に、同サンプルを気象研究所に送付し、ダスト・黒色炭素等の不溶性積雪不純物濃度の測定を行う。さらに、低温科学研究所技術部と連携してガス吸着法による積雪粒径測定装置の開発を行い、従来よりも客観的でかつ高精度の積雪粒径変化を求める。これらの観測・分析データを用いて、積雪アルベド物理モデル及びSMAPモデルを改良・検証を行う。

radiation budget observation in Sapporo automated weather station in Sapporo
図7 北大低温研に設置した放射収支観測装置と自動気象観測装置。


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「積雪変質・アルベド過程モデル開発のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)」(平成23年度)

【研究の目的】
 近年、北極域では急激な雪氷の融解が進行している。一般的にはこの原因として地球温暖化による気温の上昇が、雪氷圏におけるアイスアルベドフィードバックによって増幅された結果であると考えられる。しかし、実際の雪氷融解速度は、多くの気候モデルの予測よりも速い速度で進行している。その原因の一つとして黒色炭素等積雪不純物による積雪汚染がアルベドを低下させ、より融解を加速させるメカニズムが働いているとの提案もなされている。多くの気候モデルではそのような積雪不純物の効果は考慮されておらず、さらに、モデル中の積雪アルベドは気温の経験的な関数になっているなど、積雪変質過程についても十分な精度を持っていない。このため、昨年までの本共同研究では、低温科学研究所の露場における、放射・雪氷等の連続観測データを用い、積雪アルベド物理モデルの開発と検証を行ってきた。その結果、気候モデルでも使用可能な精度の高いモデルが完成した(Aoki et al., 2011)。H.23年度からは、さらにこのモデルを積雪変質過程も含むモデルに拡張し、気候モデルで用いることのできる精緻な積雪変質・アルベド過程(SMAP)モデルとして開発を進める。本研究では低温科学研究所の露場において、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を継続し、これら観測データを用いて、SMAPモデルの改良・検証を行うことにより、雪氷圏における将来予測精度向上に資する。

【研究計画】
 過去の北海道大学低温科学研究所一般共同研究(平成16-18年度:「積雪及び大気変動がアルベドに与える影響に関する研究(1)-(3)」、平成19-22年度:「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(4)」)、により、低温科学研究所の露場で放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、1.大気エアロゾルを起源とする積雪不純物濃度上昇によるアルベドの低下の定量的見積り(Aoki et al., 2006)、2.顕著な黄砂イベント時における大気エアロゾル濃度から積雪不純物(ダスト)の粒径分布を予測する手法の開発(Aoki et al., 2006)、3.積雪層構造を考慮して積雪不純物と積雪粒径がアルベドに与える定量的効果の見積り(Aoki et al., 2007)、分光反射率から積雪不純物と積雪粒径を推定する技術開発(Kuchiki et al., 2009)、積雪アルベド物理モデルの開発と検証(Aoki et al., 2011)の実績を上げてきた。2008年10月には観測露場の移転(北側に約500m移動)に伴い、測器類の配置を見直し、更に充実したデータ取得ができるようになった。それらのデータにより気候モデルで用いることのできる積雪アルベド物理モデルが開発され、高精度でアルベドの計算等ができるようになった。H.23年度も同様の観測態勢を維持し、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行う。それらのデータからSMAPモデルを改良・検証を行う。

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「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(4)」(平成22年度)

【研究の目的】
 気候モデルによる今後100年間の気候予測によると、地球温暖化の影響が雪氷圏で顕著に現れることが、どのモデルにおいても示されている。これは雪氷の融解によってアルベドが低下することが大きな原因である。一方、雪面のアルベドは積雪粒径と不純物濃度の2つの積雪物理量と雲や水蒸気等の大気の変動に依存して変化することが分かっている。雪氷圏における精度の高い将来予測のためには、気候モデルにおける積雪アルベド陸面モデルを、現在の気候に基づいて作られた従来の経験的モデルから、積雪粒径や不純物濃度の関数として変化する物理モデルに改良することが必要である。気象研究所では、そのモデルを開発し、現在問題点を検討中であるが、モデルの検証には精度の高い積雪物理量と熱収支データが必要である。そこで本研究では低温科学研究所の露場において、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、これらの観測データ及び過去の観測データを用い、積雪アルベド陸面モデルの検証及び高度化を行うことにより、雪氷圏における将来予測精度向上に資する。

【研究計画】
 過去の北海道大学低温科学研究所一般共同研究(平成16-18年度:「積雪及び大気変動がアルベドに与える影響に関する研究(1)-(3)」、平成19-20年度:「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(3)」)、により、低温科学研究所の露場で放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、1.大気エアロゾルを起源とする積雪不純物濃度上昇によるアルベドの低下の定量的見積り(Aoki et al., 2006)、2.顕著な黄砂イベント時における大気エアロゾル濃度から積雪不純物(ダスト)の粒径分布を予測する手法の開発(Aoki et al., 2006)、3.積雪層構造を考慮して積雪不純物と積雪粒径がアルベドに与える定量的効果の見積り(Aoki et al., 2007)、分光反射率から積雪不純物と積雪粒径を推定する技術開発(Kuchiki et al., 2009)の実績を上げてきた。2008年10月には観測露場の移転(北側に約500m移動)に伴い、測器類の配置を見直し、更に充実したデータ取得ができるようになった。それらのデータにより気候モデルで用いることのできる積雪アルベド陸面モデルが開発され、高精度でアルベドの計算等ができるようになった。

 H.22年度も同様の観測態勢を維持し、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行う。それらのデータから積雪アルベド陸面モデルを検証、さらに高度化する。特に今年度は、積雪の変質過程を重点的に検証し、将来の気候モデルによる雪質予測へと発展させる。

【研究成果】
 2010年7月に太陽追尾装置の交換、及び近赤外域の散乱日射計の設置を行った。これにより積雪アルベド陸面モデルに入力する可視、近赤外域の直達、散乱成分全てのデータを独立して観測することができるようになった。また、2010年9月に上向き成分を測定する日射計及び赤外放射計に、ドームの汚れを防ぐための軒を設置した。これによりアルベド測定精度の向上を図った。2010/2011年冬期は、前課題から継続して放射、気象、エアロゾルの連続観測を行った。また、積雪断面観測を週2回のペースで行い、積雪物理量を高頻度で取得した。今冬期も全般に気温が高く、3年連続で暖冬となった。最大積雪深は昨シーズンよりは多かったものの2月上旬に記録された80cm弱程度であった。雪質は1月中旬頃まではこしもざらめ雪やしもざらめ雪が観測されたが、その後の厳冬期間はしまり雪が多く観測された。積雪サンプルは気象研究所へ送付され、カーボン分析を実施中である。

 2種類の濾過フィルターを用いて2009/2010年冬期の積雪サンプルのカーボン分析を行い、両者の違いを調べたところ、元素状炭素(EC)濃度の定量においては銀メンブレンフィルターよりも石英繊維フィルターを用いた方が有効であることがわかった。また、EC濃度の測定誤差となる炭酸塩炭素の影響が、2009/2010年冬期の積雪サンプルについては小さいことが確認された。

 昨年に引き続き、鉛直一次元の積雪変質モデルである積雪変態・アルベドプロセス(SMAP)モデルの開発を行った。昨年度までに可視・近赤外域各単バンドのみを考慮した積雪アルベド陸面モデルを組み込んだが、今年度はAoki et al.(2011)が開発した可視・近赤外域各マルチバンドを考慮できる積雪アルベド陸面モデルを組み込み、モデルの精度検証を行った。その他、新雪粒径の与え方や有効熱伝導率のパラメタリゼーションを見直すなどした結果、2007-2008シーズンにおける積雪深と積雪アルベドの二乗平均平方根誤差(RMSE)はそれぞれ0.064 m、0.052となり、昨年報告した結果(0.097 m、0.106)に比べて大幅な改善を見た。開発したSMAPモデルを用いて、積雪不純物が大気―積雪相互作用に与える影響の評価を2007-2008シーズンにおける札幌を対象として行った。そのために、積雪不純物濃度の入力を行わない感度実験を実施した。その結果、2007-2008シーズンにおける札幌の融雪が積雪不純物により約2週間程度早められていたことが分かった。なお、SMAPモデルに組み込まれた積雪アルベド陸面モデルは積雪粒径計算過程とともに気象研地球システムモデルへ組み込まれ、IPCC AR5のための気候シミュレーションに使用された。

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「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(3)」(平成21年度)

【目的】
 気候モデルによる今後100年間の気候予測によると、地球温暖化の影響が雪氷圏で顕著に現れることが、どのモデルにおいても示されている。これは雪氷の融解によってアルベドが低下することが大きな原因である。一方、雪面のアルベドは積雪粒径と不純物濃度の2つの積雪物理量と雲や水蒸気等の大気の変動に依存して変化することが分かっている。雪氷圏における精度の高い将来予測のためには、気候モデルにおける積雪アルベド陸面モデルを、現在の気候に基づいて作られた従来の経験的モデルから、積雪粒径や不純物濃度の関数として変化する物理モデルに改良することが必要である。気象研究所では、そのモデルを開発し、現在問題点を検討中であるが、モデルの検証には精度の高い積雪物理量と熱収支データが必要である。そこで本研究では低温科学研究所の露場において、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、これらの観測データ及び過去の観測データを用い、積雪アルベド陸面モデルの検証及び高度化を行うことにより、雪氷圏における将来予測精度向上に資する。

【概要】
 過去の北海道大学低温科学研究所一般共同研究(平成16-18年度:「積雪及び大気変動がアルベドに与える影響に関する研究(1)-(3)」、平成19-20年度:「積雪アルベド陸面モデル改良のための積雪物理量及び熱収支に関する観測的研究(1)-(2)」)、により、低温科学研究所の露場で放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行い、

1. 大気エアロゾルを起源とする積雪不純物濃度上昇によるアルベドの低下の定量的見積り(Aoki et al., 2006
2. 顕著な黄砂イベント時における大気エアロゾル濃度から積雪不純物(ダスト)の粒径分布を予測する手法の開発(Aoki et al., 2006
3. 積雪層構造を考慮して積雪不純物と積雪粒径がアルベドに与える定量的効果の見積り(Aoki et al., 2007

等の実績を上げてきた。2008年10月には観測露場の移転(北側に約500m移動)に伴い、測器類の配置を見直した。これにより、今後、更に精度の高い観測データの取得が期待される。

 H.21年度も同様の観測態勢を維持し、放射・気象・エアロゾル・雪氷の連続観測を行う。それらのデータから積雪アルベド陸面モデルを検証・高度化する。また、積雪不純物の中で太陽光の吸収に大きく関与している黒色炭素やダスト濃度、それらの光学特性を調べるため、積雪期間中、定期的に積雪サンプリングを行い、気象研究所における各種分析からカーボン及びダスト濃度変化とそれらの光学特性を明らかにする。その結果、積雪不純物の種類毎の効果を積雪アルベド陸面モデルに導入する。

【研究成果】
 2009/2010年冬期は、前課題から継続して放射、気象、エアロゾルの連続観測を行った。また、積雪断面観測を週2回のペースで行い、積雪物理量を高頻度で取得した。今冬期は顕著な寒気が流入した時期があったものの、全般的には暖冬となった。実際、今冬期の最大積雪深は70cm程度であり、暖冬であった2006/2007年冬期とほぼ同程度であった。雪質は、期間全体を通して、ざらめ雪や氷板が多く観測された。

 気象研究所で開発した積雪アルベド陸面モデルを本課題による過去3年間の放射収支等観測、積雪断面観測データによって改良・検証した。モデルへの入力は積雪断面観測で得られた積雪粒径、積雪水量、雪温、札幌で採取された積雪サンプルから気象研究所で分析した黒色炭素濃度、ダスト濃度、放射収支等観測で得られた可視・近赤外域の下向き全天日射量、直達日射量である。計算結果と比較したデータは放射収支観測から得られた可視・近赤外域のアルベドである。これらのデータを使用して、従来の積雪1層、可視・近赤外域各単バンドアルベドモデルと、改良後の多層積雪構造対応、及び、可視・近赤外域の広波長帯域を更に複数のサブバンドに分割したモデルの精度評価を行った。短波長域アルベドを従来の1層積雪・単バンドモデルで計算したときの精度二乗平均平方根誤差(RMSE)は0.070、相関係数(R2)は0.796であったが、多層積雪・5バンドアルベドモデルでは、RMSEは0.062、R2は0.823と精度が向上した。このように、本課題による詳細な放射収支等観測、積雪断面観測データの有用性が実証された。

 積雪アルベド陸面モデルには積雪粒径を入力として与える必要がある。本研究では、現在知られている積雪変態過程(乾燥等温過程、乾燥温度勾配過程、融解過程、加圧焼結)をモデル化し、積雪粒径の時間変化を予測するためのモジュールを開発した。本モジュールに札幌での気象、放射データを入力して単体で実行し、積雪断面観測データを用いて精度の検証を行ったところ、2007-2008シーズンではR2が0.634、RMSEが0.53mmであった。

 次に上記のモジュールなどから構成される積雪変質モデルを作成し、それに積雪アルベド陸面モデルを組み合わせて積雪変質アルベドプロセス(SMAP)モデルを作成した。2007-2008シーズンについて札幌の一冬季間の積雪状態のシミュレーションを行ったところ、積雪深のRMSEが0.097m、アルベドのRMSEが0.106となった。現時点では可視・近赤外域各単バンドの積雪アルベド陸面モデルが組み込まれているが、SMAPモデルの更なる精度向上のためには、多バンドモデルを組み込む必要がある。なお、これらのモデルは現在気象研究所の地球システムモデルへの移植が行われている。

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JAXAとの共同研究

「GCOM/SGLIによる雪氷研究アルゴリズム開発、及び、衛星雪氷プロダクトの地上観測、気候モデルによる相互検証に関する研究」(平成21-24年度)

【目的、重要性】
雪氷圏は地球の気候システムにおいて冷源として役割を持っているだけでなく、氷河や氷床は水の保管場所としての役割も持っている。このため、気候変動に対する雪氷圏の振る舞いは、更に大きな気候変動・環境変動への原因になると考えられる。従来は雪氷圏の面積変動そのものが気候変動監視の指標であった。しかし、面積変動が起こったときには、その境界付近では既にアルベドの大幅な低下が起こっているため、早期にその兆候を予測することが重要である。このためADEOS-II/GLIプロジェクトでは、積雪面のアルベドを物理的に支配している積雪粒径と不純物濃度を重要な物理量と位置付け、それらの抽出技術開発が行われてきた。特に、積雪表面粒径は温暖化の徴候の指標となり得る。本研究ではGLIの考えを推し進め、積雪粒径、不純物濃度、アルベド等を抽出するための

(1)アルゴリズム開発、
(2)地上検証観測、
(3)気候モデルを用いた相互検証

の3つのサブ課題を実施する。これにより、対象とする物理量の精度を向上させ、雪氷圏変動の質的変化の実態を明らかにすると共に気候モデルによる将来予測精度を向上させる。

【研究内容】
(1)アルゴリズム開発:主に気象研究所のグループによるアルゴリズム (表面積雪粒径、準表面積雪粒径、氷床表面ラフネス)と、Bremen大学の研究者によるアルゴリズム(準表面積雪粒径、積雪不純物濃度、雪氷面アルベド)からなる。気象研究所のグループによる表面積雪粒径アルゴリズムでは非球形粒子による散乱計算、ルックアップテーブルの補間法の改良など、GLIのアルゴリズムにおける問題点を改良する形でアルゴリズムを提案する。また、準表面積雪粒径アルゴリズムでは積雪2層モデルを用い、表面積雪粒径の結果を第1層目の粒径とし、2層目(準表面積雪)の粒径を求める。氷床表面ラフネスはモンテカルロ法による放射伝達モデルを利用する。一方、CIのKokhanovsky(Bremen大学)によるアルゴリズムでは、3種類の物理量共にasymptotic theoryに基づいて計算する。

(2)地上検証観測:本研究で提案するアルゴリズムだけでなく、本RAでJAXAから提案されている他の雪氷物理量(面積分布と境界線を除く)も対象に地上検証観測を実施する。具体的には衛星と同期したキャンペーン観測、各種自動観測装置による連続観測、海外観測データ利用(別の目的の観測データを利用する)の3通りの方法で行う。

(3)気候モデルを用いた相互検証:積雪アルベド物理モデルを組み込んだ気候モデルを用い、積雪粒径、積雪不純物濃度、雪氷表面温度、雪氷面アルベド等を計算する。これらは衛星抽出物理量と直接比較できるため、地上検証データと合わせて、3者の相互検証を行う。その結果をアルゴリズム改良、気候モデルの改良、検証地点の選定などにフィードバックする。

【期待される成果】
雪氷圏は温暖化に対して脆弱な地域として代表的な領域である。表面積雪粒径、準表面積雪粒径は温暖化の徴候を示す物理量であるため、GCOM-Cシリーズの10年を超える長期の観測結果を用いることにより、より早期に温暖化の徴候を検知することが可能となる。また、すすなど積雪不純物濃度が上昇すると、雪氷アルベドを低下させ、更に温暖化を加速させることが予想される。そのため、積雪不純物濃度の監視は、すすの排出規制など社会的な要請へ科学的回答を与えるものと期待される。

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「ADEOS-II/GLIデータを用いた雪氷物理量抽出のための研究アルゴリズムの開発とその検証に関する研究(その9)」(平成19年度)

【目的】
大気-雪氷系の放射伝達モデルを基に、ADEOS-II/GLIデータから積雪分布、海氷分布、積雪表面温度、積雪 粒径、積雪中不純物などの雪氷物理量を抽出するアルゴリズムを開発する。アルゴリズムから見積もられる物理量 について、北海道、アラスカ、南極、低温実験室などで検証観測を行う。また、検証観測から得られた雪氷物理量 や放射量を基にアルゴリズムの改良を行うとともに、関連する地球科学的考察及び基礎研究を行う。


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図8 RGB-composite image (top) and satellite-retrieved snow parameters,snow surafece temperature (second), mass fraction of snow impurities (third), snow grain size at shallow layer (fourth), and snow grain size at topmost surface (bottom), in domains of 100 km by 100 km centered at the Saroma site (Figs. 3a-1 to 3a-5), the Barrow site (Figs. 3b-1 to 3b-5), and the Nakashibetsu site (Figs. 3c-1 to 3c-5). The images were made from MODIS data at 1025 LT on 24 February 2002 for Saroma site, GLI data at 1357 LT on 14 April 2003 for the Barrow site, and from MODIS data at 1040 LT on 22 April 2004 for the Nakashibetsu site. In Figs. 3a-2 to 3a-5, 3b-2 to 3b-4, and 3c-2 to 3c-5, the light gray-colored areas indicate cloud cover and the dark gray-colored areas indicate open ocean and non-snow-covered areas. Satellite-retrieved parameters exceeding the extrapolated maximum boundary of lookup table used in the algorithm are indicated in dark red, and those smaller than the extrapolated minimum boundary of the lookup table are indicated in pink.

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