冬の大気の特徴(1) 海面気圧

 

図は、12月の海面気圧の平年値です。この海面気圧データは再解析データをもとにしていますが、データの都合上、1979年から2004年までの12月の1か月平均した海面気圧を26年分平均したものを平年値としています。そして、赤い色はその26年間のばらつき具合を示していて、濃い赤ほど年々の違いが大きいことを表しています。図の対象は北半球中高緯度全体で、日本は図の中心よりもやや下に描かれています。このように気候を把握するときは日本付近だけではなく、広範囲に見る必要があります。

また、この図の中で、ふだんの天気予報で見るような日本付近だけを見てみると、西高東低と冬型の気圧配置になっていることが何となく分かりますね。しかし、ふだんの天気図で頻繁に現れる移動性の低気圧や高気圧、前線などは見られません。これは、毎日の海面気圧分布を1か月間平均してしまったために、刻々と変化していった現象がすべて平滑化されてしまったからなのです。ですので、あるとき「雨が降った」「暖かい日があった」というような短期的な現象ではなく、期間を通して現れた「雨が多かった」「気温が高かった」というような現象や、それらをもたらし、期間を通して持続していた(あるいは、現れやすかった)現象を見ることができます。

では、いよいよ12月平均の海面気圧の特徴を見てみましょう。まず日本の西、シベリアを中心としたユーラシア大陸の広い範囲にわたってHのマークがあり、大きな高気圧が形成されていることが分かります。この高気圧が「シベリア高気圧」です。シベリア高気圧の成因としては周辺の地形による影響も指摘されていますが、主には地表面が冷やされる放射冷却によっていることから、下層が寒冷で背が低い高気圧となっています。一方、日本の東にはLのマークがあり、顕著な低圧部が見られます。この低圧部が「アリューシャン低気圧」です。このアリューシャン低気圧は、冬季に、アリューシャン列島付近で常に低気圧が現れては発達することで、恒常的に気圧が低い状態となるために平均図で顕著に現れる低気圧です。このアリューシャン低気圧の辺りは濃い赤い色で塗られており、年々の変動が大きいことが分かります。この変動は、黒潮などの海流や偏西風、さらには熱帯などからの影響を受け、またさらにそれらに影響を与えているからです。

また、アリューシャン低気圧の北極点に関して対称の位置にも大きな低圧部があるのが分かりますか?これが「アイスランド低気圧」で、ヨーロッパ付近の気候に大きな影響を与えます。

さて、ここでもう一度日本周辺を見ると、西高東低の気圧配置がシベリア高気圧とアリューシャン低気圧の間で形成されていることがわかりますね。そして、この時期特有の北西の季節風がシベリア高気圧から放出された寒冷な空気であることも分かるのではないでしょうか。

 

JRAJCDAS

図:12月の平均海面気圧分布(1979年から2004年の平均値)。等値線は気圧を表し(4hPaごと)、赤い色はその26年間のばらつき具合(年々変動の大きさ)を示しています。