第4研究室>全球気候モデルによる地球温暖化予測


全球気候モデルによる地球温暖化予測

図2 シナリオ(SRES-A1B)実験における 2081-2100年平均の地上気温変化。(左)1月、(右)7月 .


気象研究所では1980年代から地球温暖化などの気候変化に伴う大気・海洋・陸面・海氷などの変化を表現する全球気候モデルの開発を行っています。全球気候モデルを用いた温暖化予測実験の結果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に提供され、また気象庁の地球温暖化予測情報等を通して公開されています。
全球気候モデル (MRI-CGCM2.3.2) を用いて19世紀半ばから現在までに観測された気候変化を再現する実験を行い、現在までに全球平均気温が 約0.7℃上昇してきたことをモデルはよく再現できています(図1)。このモデルを用いてIPCCが提案する いくつかのシナリオ(SRES)に基づく21世紀の気候変化を予測する実験を行いました。 この結果は21世紀の終わりに、シナリオによって1.5℃から2.8℃上昇することが予測されることを示しています(図1)。 また、モデルは気温変化の季節による違いや地理的分布も表現しています。例えば北半球高緯度では、 おもに海氷や積雪の変化に関係して、気温の上昇が冬には大きく夏には比較的小さくなっています(図2)。 さらに降水量の変化(図3)や大気の循環の変化(図4)を調べることにより、温暖化の詳しいメカニズムの解明を行っています。
fig1 図1 気象研究所全球気候モデル(MRI-CGCM2.3)による過去の気候変化の再現実験および IPCC シナリオ(SRES-A1B, A2, B2)実験における全球年平均地上気温の変化。 1961-1990年平均を基準としている。薄い色はアンサンブル実験によるばらつきを示している。

図3 シナリオ(SRES-A1B)実験における2081-2100年平均の7月の降水量変化。 1961-1990年平均との比率 (%) で示している。緑〜青色は増加、薄茶〜茶色は減少する地域を示している。 梅雨降水帯付近で降水が増加することが予測されている。 図4 シナリオ(SRES-A1B)実験における2081-2100年平均の1月の大気温度変化の3次元構造。 地球温暖化により、対流圏は気温が上昇する一方、成層圏では気温が低下する。 熱帯では上部対流圏で昇温が大きく、北半球高緯度では対流圏下層で昇温が大きい。 このような気温変化の3次元構造に対応して大気循環が変化する。

参考文献

  • 行本誠史, 2007: 大気海洋結合モデルを用いた再現実験・予測実験に見られる海面水温の長期トレンドと変動の変化. 測候時報, 74 特別号, S1-S10
  • 行本誠史, 2006: 地球温暖化に伴う北半球夏季の中高緯度循環の変化―気象研究所気候モデルMRI-CGCM2.3による実験から―,  月刊海洋, 号外44, 143-150
  • Yukimoto, S., Noda, A., Kitoh, A., Hosaka, M., Yoshimura, H., Uchiyama, T., Shibata, K., Arakawa, O., Kusunoki, S., 2006: Present-Day Climate and Climate Sensitivity in the Meteorological Research Institute Coupled GCM Version 2.3 (MRI-CGCM2.3). J. Meteor. Soc. Japan, 84, 333-363
  • Yukimoto, S., Noda, A., Uchiyama, T., Kusunoki, S., Kitoh, A., 2006: Climate Changes of the Twentieth through Twenty-first Centuries Simulated by the MRI-CGCM2.3, Pap. Metor. Geophys., 56, 9-24


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