はじめに

 いまや「地球温暖化」は誰もが知っている言葉です。極地方の氷が融けているようす、強大化した台風やハリケーン、熱波や洪水、干ばつなど、地球温暖化がすでに進行していると感じられるような現象が世界のあちこちで起きていることは、毎日のようにマスコミでもとりあげられています。
 この「地球温暖化」ですが、世界各国の研究機関であらゆる角度から科学的な研究が行われた結果、石炭や石油などを燃やすことによって排出される二酸化炭素(CO2)などの人間活動に原因があることがほぼ確実であることがわかってきました。研究に携わる方以外の多くの人も原因がCO2にあると聞いて納得しているのではないでしょうか。しかし、それらはイメージとしてわかっているようでいて、実際はCO2が増加するとどうしてそのような現象が起きるのか、また本当にそれらの現象が地球温暖化に関係しているのかなど、実際は分からないことが多いのではないでしょうか。
 地球温暖化への対策が緊急を要する政治的にも主要なテーマとなったり、経済にも影響を与えるようになったりしてきています。これらを議論するには、地球 温暖化に関するきちんとした知識が必要です。ここでは最新の科学的知見をまとめた、国際組織IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による報告書(第4 次評価報告書, 2007年発刊)および気象庁による異常気象レポート2005などをもとに、わかりやすく解説をしていきます。まずは、地球温暖化のメカニズムを知ること から始めましょう。次に、人類が大量にCO2を排出し始めた産業革命の頃から現在まで、世界の気候がどのように変化してきたか、その実態を見てみることにします。最後に、地球温暖化の将来の見通しについて、予測に用いられる「気候モデル」の解説と、最新のモデル予測結果から得られたことを紹介します。


大気温度変化の3次元構造 トップページの図について (制作:気象研究所気候研究部 行本誠史)
大気温度変化の3次元構造です。地球温暖化により、対流圏は気温が上昇する一方、成層圏では気温が低下します。熱帯では上部対流圏で昇温が大きく、北半球高緯度では対流圏下層で昇温が大きい。このような気温変化の3次元構造に対応して大気循環が変化します。