7.日本の主要河川水中の人工放射性核種

 

 地球化学研究部では1960年代から河川水中の天然放射性核種(ウラン、トリウム、ラジウム)の濃度の測定を行ってきた。その成果は1964年に報告されている。

 人工放射性核種としては、1973年に日本の主要河川水中のプルトニウム濃度の測定結果を報告している。この報告は日本の河川水中のプルトニウム濃度としては先駆的なデータである。この研究の中で、降水や降下塵により地表に落下したプルトニウムは、土壌粒子(あるいは、そこに含まれる有機物)に吸着して、容易には流水により溶脱しないことを明らかにすることができた。その結果を支持するデータを1981年にも報告している。

 チェルノブイリ原子力発電所事故に伴う放射性フォールアウトの結果、河川水中の137Cs濃度の増加とともに134Csが検出され、フォールアウトの影響が河川水にも現れたことがわかった。