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エーロゾル粒子の組成に関する研究

大気中に浮遊するエーロゾル粒子(微粒子)は太陽からの光を散乱したり吸収したりします。また、雲の形成に必要な物質として働き、気候や気象に大きな影響を及ぼしています。エーロゾル粒子は、海や土壌、工場や自動車等から発生し、その後大気中で種々な反応により変質を受けます。このため、エーロゾル粒子は時間的、空間的に濃度、粒子の大きさ、物質の組成等が大きく変動します。このような変動はその複雑さのため、科学的にまだ充分には解明されていません。 信頼性の高い地球温暖化予測を行うためには、エーロゾル粒子が気候に与える影響の評価が不可欠ですが、エーロゾル粒子については未解明な部分が多く、研究の推進が期待されています。エーロゾル粒子の組成・混合状態を明らかにするため、航空機による観測や孤島(南鳥島)、山岳(富士山山頂)などでの観測を実施しています。また、観測で得られた試料は電子顕微鏡を用いた分析により、粒子毎にその組成・混合状態が明らかにされつつあります。さらに、エーロゾル粒子が水蒸気等との反応により変質する過程を明らかにするための室内実験を行っています。これらの研究により、エーロゾル粒子が気候に及ぼす影響が明らかになり、地球温暖化予測の高度化が期待されています。

Fig1 気象研究所による航空機観測(PACE-7)において、2000年2月14日09時36分から10時06分(日本時)に沖縄上空4.1-4.6 km(北緯26.1-25.8度、東経128.1-132.0度)で採集されたエーロゾル粒子の電子顕微鏡写真(右下のスケールは1μm)。偏西風の卓越した状態において採集されたもので、アジア大陸から輸送された鉱物粒子や硫酸・硫酸塩粒子が検出された。

Fig2 個々のエーロゾル粒子を構成する物質の混合状態を明らかにするため、2007年1月30日から2月6日までの期間、気象研究所において、大気エーロゾル粒子の揮発特性を測定した。大気エーロゾル粒子を60nm,100nm,200nm,300nmの4粒径に分級した後に加熱装置(Thermodenuder)に導入し、280度の温度で揮発せずに残った不揮発性部分の粒径分布を測定した。主な不揮発性物質の候補としては煤が挙げられる。この図は6例のデータを平均したものである。横軸は粒子粒径、縦軸は粒子中の不揮発性部分の粒径である。なお、100 nmは0.1μmである。個々の粒子における不揮発性物質の占める体積割合が100 %(図中の太い線)の場合は、両者の粒径は同じである。図には、この割合が50 %と10 %(破線)の場合にとる関係も示してある。ここで測定対象とした粒径60-300 nmの大気エーロゾル粒子は気象学的に重要であり、それらの多くが単一の物質からなるものではなく混合粒子として存在していることを示している。図を立体的に見たとき、横軸の区間(ΔlogD)と縦軸の区間(ΔlogD)で囲まれた部分の体積が個数濃度(cm-3)に相当する。


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